「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針(案)」|パブコメ募集

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厚生労働省は平成31年3月に「難聴児の早期支援に向けた保健・ 医療・福祉・教育の連携プロジェクト」を立ち上げた。さらに指針となるものとして、「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基 本方針」を作成するにあたりパブリックコメントを令和3年12月10日(金)から令和4年1月9日(日)まで集めている。

▶︎https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210313&Mode=0

 

難聴児支援の基本的な考え方 

<早期発見の重要性>

難聴は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には、音声言語発達等への影響を軽減することや、手話等の言語・コミュニケーション手段の獲得を円滑にし、難聴児の今後の社会生活をより豊かにすることにつながると考えられるため、早期に発見し、療育につなげることが重要である。

 <保健、医療、福祉及び教育の連携>

難聴児の早期発見・早期療育推進のためには、都道府県及び市区町村の保健、医療、福祉及び教育に関する部局や医療、療育及び教育機関等の関係機関、医師会等医療関係団体が連携し、専門職連携教育※2から多職種連携※3に向かうことが重要である。地域における保健、医療、福祉及び教育各分野の専門職及び行政機関が顔の見える関係に基づくコミュニケーションを通じて、各々の役割を理解し、協力する関係を構築するに当たっては、必要に応じて行政機関が関係者の調整等を行うことが望ましい。関係者間での連携体制を構築するため、多面的な発達の評価に基づきあらゆる言語・コミュニケーション手段の選択肢が保障され、また、選択後の寛容性が担保されることが重要である。

<本人及び家族等を中心とした支援> 

難聴児支援においては、本人とその家族等を中心とした早期支援が、言語・コミュニケーション手段の獲得や家族等の不安軽減等につながる。最終的な意思決定権は本人にあるが、本人が乳児である場合はその家族等が意思決定を行うことを認識し、難聴に関する知識をもたない状態から、難聴児本人の多面的な発達等の評価等の情報を正しく理解し、意思決定できるようになるまで、関係者で本人及び家族等に寄り添った支援を行うことが重要である。

<学校や障害児通所支援事業所等関係機関における取組の重要性>

難聴児とその家族等に寄り添った教育や支援の実現のため、障害特性の十分な理解に基づく一人一人に応じたきめ細かな教育や支援が行われることが重要である。したがって、難聴児の支援には関係者の専門性※4の育成が求められる。また、軽中等度難聴児や人工内耳装用児においては通常の学級に在籍することがあるため、特別支援学校のセンター的機能の活用や難聴特別支援学級の専門的な知見を活用した支援、通級による指導の活用及び難聴児への支援を行っている障害児通所支援事業所(難聴児向け児童発達支援センター※5その他難聴児が利用している事業所をいう。以下同じ。)に勤務する専門性をもった職員(言語聴覚士等)の支援や協力が重要である。

<切れ目ない支援の必要性> 

難聴児は、難聴に伴う学習面や心理面への影響により、就学や就労等の段階で課題に直面することがある。本人の持つ力を十分に発揮するため、必要な支援が成長の各段階で提供されるよう、様々な専門家が協力しつつ、支援が途切れてしまうことのないよう配慮する必要がある。

<多様性と寛容性>

聞こえる、聞こえにくい、聞こえないに関わらず、多様性を認め合う寛容性をもった社会、聞こえる人も聞こえにくい人も聞こえない人も共に生きる共生社会づくりが重要である。言語は思考の礎にもなる重要な要素であることを認識し、それぞれの難聴児が本来持つ力を生かして習得できる言語は何かということに立ち返り、言語・コミュニケーション手段の選択肢が限定されることなく、どの選択肢も保障・尊重されることが望ましい。また、どのような選択をしても、難聴児の発達に関する理解に基づく療育及び教育が受けられる環境を整えていくこと、本人が 成長した時に自身の言語・コミュニケーション手段を自ら選択し、決定するという過程を保障することが重要である。

*2 複数の領域の専門職に就く者が連携及びケアの質を改善するために、同じ場所で共に学び、お互いのことを学び合うこと。(引用:令和2年度障害者総合福祉推進事業「難聴児の言語発達(コミュニケーション)に資する療育に関する調査研究事業報告書」)

*3 複数の領域の専門職に就く者が各々の技術と役割をもとに共通の目標を目指す協働のこと。(引用:令和2年度障害者総合福祉推進事業「難聴児の言語発達(コミュニケーション)に資する療育に関する調査研究事業報告書」) 

*4ここでいう専門性とは、聴覚、視覚の感覚機能を最大限に活用して音声、手話、文字による筆談など多様な方法で基礎的関係を築き、難聴児の認知、言語、心理等発達全般について支援し、家族と連携しながら長期的な視点で難聴児本人の障害認識、自己実現、社会参加を促す知識及び技術のことを指す。

*5 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成 24年厚生労働省令第 15号)第6条第4項等に規定する「主として難聴児を通わせる指定児童発達支援事業所」をいう。以下同じ。

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