理学療法士(PT)平川倫恵先生ー尿失禁に対するリハー 最終回

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医療の中でやる意義

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医療の中で、このようなリハビリを提供できることの意義は、医師との連携が取れることにあり、これは医師、理学療法士ともにメリットのあることだと思います。

患者さまにとっても、医師の診察を受けた後であれば、より安心してリハビリを受けられるのではないかと思います。

一方で、民間で関わっていく場合には、医師からの情報がないなかでクライアントの方と向き合っていかなければならず、これは互いに不安な点があるのではないかと思います。

私が普段から交流しているアメリカ在住のPTは、泌尿器科の医師と連携を取りながら自身で開業し、この分野に関するリハビリテーションを行っているそうです。

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現在日本だとウロギネ疾患に対する理学療法は診療報酬の適用外なので、民間や自由診療に頼らざるを得ないのが現状です。

自身は病院勤務の理学療法士としてはまず、ウロギネ疾患を有する女性に対するより良いサポートをしていきたいと考えています。

予防の分野に関しては、医療の中だけですべての方を対象とするのには限界がありますので、医療という枠にとらわれず様々な分野で活躍している方々と交流をもちながら取り組んでいくことが必要なのではないかと思います。

 
 
 
 

今後の活動について

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今現在行っている臨床に関してはこのままずっとやっていきたいと思っています。今医療の中でこの分野を行っている私たちが結果を出すことが、少しでも保険診療への糸口となればと願い、日々の臨床に励んでいます。

また、大学院で博士号を取得したこのスキルを活かし、臨床で得た新たな知識をもとに、この分野のエビデンスをしっかりと築き上げることが使命だと思っています。

ですので、積極的に今でも海外に足を運んで情報を仕入れてくるようにしています。ちょっと英語の話にもどりますが、私が英語を以前よりも話せるようになったきっかけがもう一つあります。

昨年のウロギネの国際学会で勇気をだしてアメリカのウィメンズヘルス認定理学療法士であるベス先生というPTに話しかけてみました。その先生がウロギネに関する勉強会をスカイプでやっているということで参加させてもらいました。それがきっかけで、英語は上達してきたなと思います。

結局は積極的に行動することで、すべてが繋がってきたなと思っています。そのためのコミュニケーションスキルとして英語が役に立ちました。これまでの全ての出会いも、積極的に声をかけてできた縁ですので、この部分に関する運は強いと思いますよ。笑

 

若手療法士・学生へのメッセージ

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この分野はPT養成校で習う機会もほとんどないですし、現状では保険が適用できる分野でもありません。そのため、病院で積極的に関わることが難しい分野でもあると思います。

ただ、必要な分野であるということは確信を持って言えます。私もこの分野に対する理学療法が1日も早く広がっていくように日々努めています。

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本年度より新たにウィメンズ・メンズヘルス理学療法部門が設立されましたが、この新たな分野に少しでも興味を持っていただけたら嬉しく思います。

私がここまでやってこられたのも、積極的に勇気を出して声を出し、志をもって行動することができたからだと思います。

ですので、そういった志は胸にしまうのではなく、積極的に発言し行動していってほしいと思います。そうすれば、新しい出会いを作るきっかけになると思いますよ。

<バックナンバー>

第一回:尿失禁の様々な要因について

第二回:情報社会の産物

平川倫恵先生経歴

【経歴】

平成20年3月 名古屋大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 卒業

平成22年3月 名古屋大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻

       理学療法学分野 博士課程(前期課程)修了

平成25年3月 名古屋大学大学院 医学系研究科 リハビリテーション療法学専攻

       リハビリテーション療法学分野 博士課程(後期課程)修了

       (リハビリテーション療法学博士 取得)

平成25年4月 亀田メディカルセンター ウロギネコロジーセンター 入職

平成25年9月 亀田京橋クリニック「女性のための骨盤底リハビリ外来」開始

現在に至る

【論文】

  1. 平川倫恵,野村昌良,三輪好生,清水幸子:骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術前後の尿失禁および過活動膀胱症状に関する調査.泌尿器外科 28:1081−1085,2015
  2. 平川倫恵,野村昌良,鈴木重行,清水幸子:腹圧性尿失禁に対する理学療法のエビデンス.理学療法学 41:312−319,2014
  3. 平川倫恵:骨盤底筋トレーニングの指導.泌尿器ケア 19:891-896,2014
  4. Hirakawa T, Suzuki S, Kato K, Goto M, Yoshikawa Y:Randomized controlled trial of pelvic floor muscle training with or without biofeedback for urinary incontinence. Int Urogynecol J 24: 1347-1354, 201
  5. 平川倫恵,加藤久美子,鈴木重行:腹圧性尿失禁に対する理学療法.難病と在宅ケア 18: 25-28, 2012
  6. 平川倫恵,加藤久美子,鈴木重行:女性泌尿器科外来における下部尿路リハビリテーション.Monthly book medical rehabilitation (148):61-67, 2012
  7. 平川倫恵, 鈴木重行, 加藤久美子:尿失禁診療における多職種協働, 理学療法士の立場から.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 16:318-319,2012
  8. 平川倫恵, 鈴木重行, 加藤久美子:女性腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋体操, バイオフィードバック療法.排尿障害プラクティス 19:122-128,2011
  9. 平川倫恵:腹圧性尿失禁に対する運動療法.理学療法学 37:292-293,2010
【著書】
  1. 平川倫恵:尿失禁,Ⅹ.ウィメンズ・ヘルス,理学療法診療指針,内山靖・他(編),医学書院,東京,pp475-477,2015
  2. 平川倫恵:骨盤底機能障害に対する基本的アプローチ.ウィメンズヘルスリハビリテーション,ウィメンズヘルス理学療法研究会(編),メジカルビュー社,東京,pp283-297,2014
  3. 平川倫恵:新しい分野への挑戦−尿失禁に対する理学療法−,臨床コラム,標準理学療法学 理学療法学概説,内山靖(編),医学書院,東京,pp160,2014
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