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臨床で考えたい急性腰痛と慢性腰痛の境界線②~MRIがない施設における腰下肢痛症例の治療経過~

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『慢性疼痛でも生物学的要因が混在していても構わない』という慢性一次性疼痛の定義があるように、臨床で見える痛みは原因が混在していることが多く、医療者を悩ませます。

週の真ん中水曜日の江原です。週の真ん中水曜日の江原です。前回の続き急性腰痛と慢性腰痛との境界線について書いていきます。前回は病期と疼痛の臨床所見から考えられる急性疼痛を繰り返す慢性疼痛を例に、生物学的な痛みを引き起こす明確な組織損傷について書きました。

 

理学療法だけでなく医師の治療に対する反応も急性疼痛を繰り返す慢性疼痛の判断材料になるため、理学療法以外の治療法についても触れていきます。慢性疼痛と急性疼痛を明確に分ける手段としての診断的治療に関しては、次の論文がわかりやすいのでそこからご紹介したいと思います。

 

山口県腰痛スタディから慢性腰痛と急性腰痛を振り返る

腰痛の85%は原因不明という定説を覆すきっかけを作った整形外科医・鈴木秀典先生の山口県腰痛スタディを読むと、慢性腰痛にある急性腰痛要素を診断的治療で評価すべきと改めて感じることができます。

 

以前にも記事を書きましたが、この論文では原因不明な非特異的腰痛に分類された患者のうち、およそ4分の3は整形外科医が行う丁寧な診察により腰痛の原因部位を特定可能と述べています。

 

原因不明な慢性腰痛は85%でしたが、この論文において非特異的腰痛は約22%となっています。研究の対象患者は病期は急性期から慢性期と幅も広く、疼痛原因の特定について示しているのみで治療成績には言及していません。

 

したがって、診断された疼痛原因は経時的に診ていかないと本当に疼痛原因だったかどうかは判断できないと言えます。しかし急性腰痛と慢性腰痛との境界線を示す例の1つとして結果を示しています。

 

モデル症例 慢性腰下肢痛

本日の記事ではモデル症例を用い、慢性腰下肢痛の治療経過、痛み原因の変性について説明していきます。治療経過と各アプローチの反応が重要だと考えています。


・患者情報 50歳代 男性 職業デスクワーク

臨床で考えたい急性腰痛と慢性腰痛の境界線②~MRIがない施設における腰下肢痛症例の治療経過~

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