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自分の痛みを理解することの重要性

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慢性疼痛患者に診断される筋骨格系疾患は、必ずしも痛みの原因になっていません。患者にとっては過信すると誤ったよりどころになってしまうことがあります。痛みを知ることの重要性について書きます。

週の真ん中水曜日の江原です。痛みの原因をしっかり理解している患者は、リハビリへ適切に取り組んでいるように感じます。原因がわからなくても慢性疼痛であることを理解し、運動療法を継続されている方も同様です。痛みに固執し、原因追求にこだわる方はリハビリの進行や症状の改善も停滞しがちなように思います。本日は痛みを正しく理解することの重要性について書きたいと思います。

 

痛みの教育(Pain Neuroscience Education)

慢性疼痛には認知情動面(破局的思考、運動恐怖など)の関与が指摘されています。患者にとっては痛みは耐え難く、得体が知れない恐ろしいものと感じやすいものです。

 

例えば腰痛であればレントゲンやMRIを見せながら、腰椎の変性・変形について説明をされることによりこの痛みは変形のせいに違いないと感じ、負荷をかけまいと活動を減らしてしまいます。

 

そのような誤った信念によって、さらに痛みが増悪したり改善しにくくなる悪循環に陥ります。慢性腰痛に推奨される治療に認知行動療法がありますが、近年はPain Neuroscience Educationが提唱されて痛みのリハビリテーションに提供されている報告を見るようになりました。

PNEは疼痛強度や機能障害、痛みの破局的思考、運動恐怖を軽減させること、全身の疼痛閾値を上昇させること、情動面に関する前帯状皮質をはじめとする脳活動の過興奮が減少することが報告されている。

参考文献より引用

痛みを正しく理解する援助で、痛みを修飾する心理社会的要因が改善させることができます。

 

誤った信念の修正と行動に関しては認知行動療法もありますが、深くこじれた痛みの信念に関しては専門家の指導が必要で、導入にはやや障壁が大きいと感じています。

 

神経系の理解

感作

脳機能

侵害刺激と痛みの違い

具体的な治療への理解

 

と痛みや慢性疼痛の特徴を理解させて、段階的に元々行っていた活動へ復帰させるのはリハビリのセラピストにも実施しやすいものと考えています。

 

変形性関節症のリハビリテーションにおける痛みの教育

今から10年以上前に変形性関節症のリハビリテーションアウトカムについて書かれたシステマティックレビューでは、教育、運動、減量は長期的に有効であり、費用対効果の高い第一選択治療法として支持されていると報告しています。

・参加者の多くがOAの原因について困惑し、痛みが改善される可能性があると聞き驚いていた。

・運動や減量が有効であることは認めつつも、激しい運動が(OAの)原因となりうると考えている。

・一方で適度な運動が有効であることを受け入れることは困難であると考えている

・鎮痛剤への依存に対する恐れ、膝関節注射に関する情報への誤解も見受けられた。

参考文献より抜粋

変形性関節症も3つの痛みのメカニズム、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛が混在していると報告される疾患であります。骨棘、関節裂隙、滑膜、骨病変、靭帯などの骨関節要因や、神経障害性疼痛、中枢性/末梢性感作が指摘されています。

 

上記引用にもあるように、これまでに行われてきた『軟骨がすり減っているから』『骨が飛び出ているから』という侵害受容性疼痛に限局したような説明は破局的志向や運動恐怖を高めてしまうかもしれません。

 

変形性膝関節症の痛みも患者説明をしっかりと行い、治療やリハビリテーションの利益を受けられる可能性が高まります。

 

痛みの教育とドロップアウト

自分の痛みを理解することの重要性

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