今の実習について
ーー 吉田先生は今の実習についてどう思いますか?
吉田先生(以下:吉田) まず今と昔の実習を比べるのはよくないと思いますね。例えば、昔のレポートは手書きで今の時代はパソコンですよね。そして、わからないことがあればGoogleで検索すればなんでも出てくるし、それをコピー・アンド・ペーストもできる。
僕はそれでも悪くないと思うんですよね。ただ、それを言葉で説明できて考えを自分の中に落とし込めるようにできれば何も問題ないと思うんです。今の実習と昔の実習は、育ってきた環境も違うので、それは気にしているところですね。
ーー 吉田先生の実習はどんな感じだったんですか?
吉田 いや〜僕の実習の時は大変でしたよ。睡眠時間1時間で一週間とか、よくある眠れない実習でした。でも、バイザーの先生がすごく真剣に患者さんと向き合い、懸命に私に指導してくれたのでモチベーションが途切れることなく継続して良い実習を過ごせましたね。
今でもバイザーの先生の名前は覚えています。どんな担当患者さんだったかももちろん覚えています。何年経っても覚えているのかもしれません。それくらい実習は一生心に残ることだと思います。
ーー そうですよね。僕も実習の事は鮮明に覚えています。笑
吉田 学生にとって実習は、理学療法士になりたいかどうかの境目になるくらいのキーポイントになると思うので、その分バイザーも学生との関わり方に気をつけないといけないことも多いですよね。
実習がうまくいかなくて理学療法士にならない人もいますからね。
実習の目的とは?
ーー 吉田先生は実習の目的をどう捉えていますか?
吉田 僕はいつもテーマがあって、その実習生が実習を終えた時に理学療法士って素敵な職業だなとか希望を持てたりするようにしたいと思っています。
自分たちが習ってきた学校の知識や技術は患者さんを良くしたり、笑顔にすることができることだよって。今まで勉強してきたことがこうやって現場に還元できるんだよって。 学校では実感できなかった体験をたくさんさせてあげたいと思っています。
だから実習の目的は、現場を見せてあげることと希望を持たせてあげる事をテーマとして取り組んでますね。
ーー 具体的にどのようにして希望をもたせるのですか?
吉田 これ僕の中の方法があってですね、実習って最初来た時は緊張するじゃないですか?知らないところに2ヶ月もいないといけない、しかも評価されているという緊張の中で。
そうなると学校では出来たROMやMMTができなくなったりします。学生のパフォーマンスが落ちてしまうということです。だから最初の1週間はその場に慣れさせるためにも褒めます。基本的には褒めて、絶対にけなさない。まずはその場に慣れさせて、実習生が100%のパフォーマンスが出せるようにします。
その後、多くの実習生が問題として壁に当たるのが統合と解釈の部分ですよね。学校であまり勉強できないですからね。自力で壁を乗り越えてくる学生さんもいれば、サポートが必要な学生さんもいます。それは実習生を見てサポートします。
【吉田先生の実習スタイル】※評価実習の場合(4週の場合)
1週目:現場に慣れさせる。学生のパフォーマンスを100%引き出す。
2週目:学校教育と臨床現場の壁に悩む時期。悩んで失敗をする時期。
3週目:悩みの時期から成功体験を積み上げる時期。
4週目:この実習で出来た成功体験や成長を一緒に振り返り終わる。
次のページ>>実習生の自殺問題に関してどう思う?
吉田直紀先生経歴
<資格>
・理学療法士
・JARTA SS ランクトレーナー
・PHI Pilates マットⅠ&Ⅱ、プロップス、バレルインストラクター
・NLP プラクティショナー
・LAB profile プラクティショナー
<経歴>
2008年〜早稲田医療技術専門学校卒業
2008年〜昭和大学横浜市北部病院 勤務
2009年〜いちはら病院 勤務
<スポーツ活動>
トレーナー活動
・千葉県高校男子バスケットボール部 トレーナー
・茨城県高校男子バスケットボール部 トレーナー
・茨城県高校野球部 トレーナー
クライアント:
女子サッカー、男子サッカー、陸上競技、格闘家、ボクサー、野球選手など多数
2015年より理学療法士がスポーツ現場に出るための知識や技術をシェアする勉強会「Tsukuba Sports Physio Trainers」を立ち上げた。今後は外部へ向けての情報発信と他職種も含めた地域スポーツへのサポートも行っていく。
<その他 情報発信>
Twitter:https://twitter.com/kibou7777
ブログ:「理学療法士のカラダブログ」http://reha-basic.net/
キーワード
#スポーツ#実習#課題