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理学療法士がBリーグトレーナーになるにはコネが必要なのか?【島根スサノオマジック|眞田 崇】

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*Bリーグ:ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(略称: B.LEAGUE)の略。日本のプロバスケットボールリーグ

ワチガイ
Bリーグ所属のチームで理学療法士(以下PT)は働いているのでしょうか?

 

眞田さん

BリーグはB1〜3リーグまで約50チームあります。その中で、私が把握しているPTは10名位いると思います。

 

ワチガイ
結構働いているんですね。チームによって違うと思いますがどんなことをフロントから求められるのでしょうか?

 

眞田さん

そうですね!求められることはチームによって多少異なります。GMやHC(ヘッドコーチ)の考え、そのシーズンのチームスタッフの編成によっても自身に求められることや役割が変わってきます。

 

眞田さん

1番求められることはチームが勝つために、自身の役割プラスその時々で何ができて何が必要か常に考えて動くことはどのチームからも求められます。

 

ワチガイ
チームによるかもですがトレーナーの中で役割分担とかあるんですか?

 

眞田さん

Bリーグのトレーナーは主にメディカルとストレングスに分けられています。メディカルスタッフの主な役割>コンディショニングチェック、怪我や体調などの救急対応、病院帯同、テーピング、トリートメント、リハビリ、その他

 

眞田さん

ストレングススタッフの主な役割>試合・練習時のチームのウォーミングアップ、コンディショニング調整、ウェイトトレーニング、シーズンオフ時のトレーニング計画、その他

眞田さん

Bリーグで働くPTはメディカル担当の方がほとんどだと思います。メディカルスタッフが多いチームだと3〜4人います。その中で、シーズン中の役割分担、求められることをフロント側から話しがあります。

 

眞田さん

そのような場で、PTがリハビリ担当になり、怪我人の状況や復帰プランをスタッフ全体に共有し選手もチームも円滑に進むようにしていってほしいと言われたりします。

 

ワチガイ
理解できました。どんな怪我が多いのでしょうか?

 

眞田さん

1番多いのはやはり足関節内反捻挫、あとは大腿部の打撲、そこから打撲をかばうことで起こる二次的な怪我です。練習を休む程の捻挫は、1シーズンで多くて今まで3件程です。

 

眞田さん

バスケは接触がとても多い競技であるため小さな打撲から練習や試合を休ませる程の打撲もあります。これが意外と厄介で大腿部の打撲は、スクワット動作や片脚動作が困難になる時もあります。本人の痛みが減ってきたから練習再開となると色々な部位で庇って、足関節捻挫や肉離れ、腰痛などに繋がる恐れがあるので注意が必要です。

 

ワチガイ
試合に何度か観戦に行ったことがありますが結構コンタクトがあったりして怪我が多いイメージでした。シーズン中だといろいろあって大変ですよね。

 

眞田さん

コーチングスタッフからみたら選手を使う立場であり、その時のチーム状況や成績によって、どうしても少しでも使いたい選手であったりするケースもあります。 もちろんトレーナーも全力を尽くす前提で、小さな怪我の場合でも早目に試合に出すことで、何か他の怪我をしてしまう可能性がある時はスタッフ間でコミュニケーションが普段より必要となると感じます。

 

眞田さん

選手本人、トレーナーからみて本来のパフォーマンスが出せないなら試合に無理して出る必要はないと1番に思います。またこれが優勝に近づく試合や2部に降格してしまう試合だった場合、レギュラーシーズンの試合と違う復帰方法を考えて選択するかもしれません。これもその時の判断になります。 難しいですね。

 

ワチガイ
ですよね。プロとして怪我人が多いとか復帰に時間がかかるとかは監督、選手のフロントからの評価も下がりますもんね。PTもプロとして採用されているので契約とかはシビアなのでしょうか?それとも病院とかと一緒で無期雇用の社員なのでしょうか?

 

眞田さん

そうですね!怪我人が多い、復帰が遅いが続くと評価は下がり、現場やフロントは他に誰か必要かもしれないと、考え始めますよね。戦力が足りないと勝てる試合を落とすことになってしまうので。。

 

眞田さん

契約に関しては、無期雇用の社員ではなくPTも選手同様にプロ契約になるので、単年または複数年の契約になります。

 

眞田さん

僕の場合は、今チームのウォーミングアップやトレーニングを担当しているのですが、毎日15分のウォーミングアップ一つで、フロントやコーチ、選手から良くも悪くも評価が一瞬で変わると思ってやっています。例えば、アップの次の練習メニューにスムーズに入れているのか、いないのかなどに繋がってきます。

眞田さん

ウォーミングアップも休み明け、今日は練習強度が上がる日、試合前日などで考えたりします。その中でも選手やスタッフの方たちに協力していただいて楽しくやらせていただいています。またチームによっては選手が通う提携している病院からPTを派遣していただいて、練習に来ていると聞いたことがあります。

 

眞田さん

今までで次の契約更新で1番重要だと感じたのは、そのシーズンの自分のいるチームの成績だと思いました。チームの成績が良いってことは、一言でチーム全体で上手くいっていたってことだと思います。

 

眞田さん

PT的にも自ずと怪我人が少なかった、怪我からプラン通り復帰できた、そうすることによってチームのプラン通り進めて、ストレスが少なくシーズンを過ごせたことに繋がっているんじゃないかと思います。もしかしたらキャラクター的にチームにハマっていたスタッフもいるかもしれない。

 

眞田さん

難しいと感じるのは、成績は上位でないにしろ怪我人が昨シーズンまた数年で最も少なかった、PT的には最高なことなのに、フロントから評価されても良いのに、そこまで重要視されない場合もあります。(めちゃくちゃ高く評価してくれる場合もあります)

 

眞田さん

実際、それでも次の契約は更新しないといったことがある世界です。これは誰が悪いとかでなく、次のチーム編成に当てはまらなかったケースだと思います。

 

ワチガイ
昨年いたチームは優勝して今季からのチームを成績上位と伺ってます。今後、Bリーグで働きたいPTは何をすればなりやすいのでしょうか?

 

眞田さん

おかげさまで昨季は宇都宮ブレックスでBリーグチャンピオンになる経験ができて、今シーズンは島根スサノオマジックに来て地区1位を現在キープできています。

 

ワチガイ
すごい経験ですね。

 

眞田さん

今後Bリーグで働きたいPTが何をすればなりやすいかということに対しては、まずチーム関係者に自分自身を知ってもらうというところが第1歩だと思っています。どんなに良い考え方やスキルを持っていても存在を知られなければ始まりません。

 

ワチガイ
ツテやコネ入社みたいのはあるのですか?

 

眞田さん

ツテがある人が必ず入れるわけでもなく、ツテがなくてもチームに問い合わせたり、履歴書を送ったり、この方法でBリーグに入って働いている方はけっこういると思います。問い合わせてみることで、今シーズンは難しいけど来シーズンはメディカルスタッフを増やしたいからもう少ししたら連絡してくださいなど、また見学はできるかなど聞いてみないと常に分からないことだらけです。

 

眞田さん

あとは履歴書をチームに送っても本当にGMまで届くか不安な場合、レターパックでチームのGM宛に送る話しも聞きます。そうすることでGM自ら開けないとならないため確実に履歴書を目にしてもらうことができます。そう考えたら自分でチームに聞いて回るのが1番早い方法かもしれません。

 

ワチガイ
PTで良かったことや強みはありますか?

 

眞田さん

PTの強みはスポーツ現場で選手が怪我した際に、復帰経過がある程度わかることだと思います。そうするとどのようにリハビリを進めていったら良いか選手、コーチ、フロントに説明ができてチームに安心感をもたらすことができます。

 

眞田さん

僕も最初整形外科で勤めていましたが怪我した人がどのようにスポーツ復帰していくのか、症例数を多くみれたことが現在にもいつの間にか繋がっている気がします。なので、将来スポーツ現場で働きたい目標がある方で、現在は病院勤務しながらでも目の前のことをやっていると自然とスポーツ現場で活用できることは身についてくると思います。

 

ワチガイ
個別的に評価からプログラム組み立ては大事になるので日々の臨床を大事にすることは大切ですよね。

 

眞田さん

テーピングは選手によって様々なので足関節や膝のテーピング練習は普段から必要です。また普段行う評価や傷害予防の知識がスポーツ現場で更にPTの必要性を高めてくれると思います。

 

ワチガイ
今後、Bリーグを目指しているPTの方に一言よろしくお願いします。

 

眞田さん

BリーグでPTが働ける環境は整っていると思います。純粋にバスケが好きな方、関わりたい方、チームスポーツで働きたいと思っている方に向いている現場だと思います。もちろんチームに入ればパートタイムでない限り他で働きながら、というのはなくなります。

 

眞田さん

僕が若い時からスポーツ現場でトレーナーは食っていけない、という言葉を何度も聞いてきました。ただ今の現実は自分の報酬が1年で何百万と変わってきたりする場合もあります。勝ち負けがつく厳しさもありますが好きな競技に毎日触れて、生活も今と1年後で変わるかもしれないと想像できるなら夢を持って働けるエリアかなと思います。

 

眞田さん

興味はあるけど自分にはちょっと難しそうだな、やってみたいけど、辺りでもし踏みとどまっている方がいたら難しく考えないで周りやチームに聞くことから始めることをオススメします。

 

眞田 崇プロフィール

車椅子バスケケットボール 男子日本代表トレーナー(2010-16)
島根スサノオマジックアスレティックトレーナー(2019-20)
宇都宮ブレックス ストレングス&コンディショニングコーチ(2020-21)
宇都宮ブレックス ストレングスコーチ兼ヘッドトレーナー(2021-22)
島根スサノオマジック 理学療法士兼アシスタントストレングスコーチ(2022- )

写真協力:島根スサノオマジック

眞田さん執筆記事

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理学療法士がBリーグトレーナーになるにはコネが必要なのか?【島根スサノオマジック|眞田 崇】

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