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「日本はまだ3年制課程にとどまっている」と指摘|田中まさし議員が質疑

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24日参議院予算委員会にて田中まさし議員が質疑を行いました。日本のリハビリテーション専門職の教育課程について、「世界理学療法連盟に加盟する126カ国の約86.5%が学士以上の課程を設けているのに対し、日本はまだ3年制専門課程にとどまっている」と指摘し、グローバルスタンダードに合わせた高度化の必要性を強く訴えました。その他、防災基本計画にリハ専門職が明記されていない点、日本のリハ先進技術等をアジア等への支援として推進すべきなどの質疑なども行われました。以下、質疑応答を全文文字起こしでお伝えします。

*前半部分に政治資金問題に対する指摘と質疑がありましたが割愛しています。

全文文字起こし

【田中議員】

復興に関しての質問であります。私も奥能登の方を しばらく見てまいりました。非常に甚大な被害が各地に広がっており、がれきの撤去、道路の復旧がまだ進んでいない状況の中で、現地の方から今後長期化していくこの復旧・復興への不安を覚えていらっしゃる方が数多くいらっしゃったと思っております。また、支援が今後少なくなっていくのではないかと危惧されている方も非常に多くいらっしゃるということでありました。

地域に暮らす方々、被災者の方々のこの気持ち、復興への思いをしっかりと前に向けていく必要があるのではないかと思っております。地域の住民あるいは事業者、行政が一体となって我が町の将来を見据えて、創造的かつ弾力的な復興へと歩んでいかれることを政府としてしっかりと支援すべきではないかと思います。その上で、復興基金の創設もしっかりと必要であるのではないかと考えますが、総理のご見解を伺います。

【岸田内閣総理大臣】

ご指摘の復興基金ですが、この復興基金というものは国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応する例外的な措置としてこれまでも実施されてきたものであります。よって、まずは国による支援策これをしっかり充実させることこれが第一であります。スピード感を持って国による支援策を充実させ実施していくことが大事であると考えております。

しかし、その上でご指摘の復興基金については、昨日の震災復旧・復興支援本部においてお示ししたように、地方議会の日程等を踏まえまして、6月をめどに設置できるよう取り組みを進めていきたいと考えています。

【田中議員】

ありがとうございます。よろしくお願いいたします。続きまして防災基本計画についてお伺いしたいと思います。今年の3月7日の委員会で防災救助法についての質問をさせていただきました。今日は防災基本計画について伺いたいと思います。

(パネル1をご覧ください) 日本災害リハビリテーション支援協会による調査です。この東北地方太平洋沖地震における支援状況を資料に示させていただきました。4月14日時点で理学療法士974チーム、人員にして5,784名の方が支援に当たりまして、避難所の環境整備、転倒転落の防止、生活不活発状態の改善等の多岐にわたる役割を発揮していただいております。

一方、防災基本計画には、日本災害リハビリテーション支援協会やリハビリテーション専門職の職能団体は明記されておりません。また、国が行う研修や人材育成支援の対象にもなっていないという状況であります。地域の高齢化とともにこれらの専門職の支援はますます重要になってくると考えております。

このリハビリテーション専門職がその役割を強く自覚し、総合的かつ有益な支援を行うためにも、これら専門職の職名や団体名、国等が研修等の支援を実施することを防災基本計画に明記すべきだと私は考えております。松村大臣のご見解を伺いたいと思います。

【松村防災担当大臣】

お答え申し上げます。その前に、今回の東北地方太平洋沖地震におきましても、理学療法士の皆様方、今、田中委員からお話があったようにチームを組んでいただいて、大変なご支援をいただいております。改めて感謝を申し上げたいと思います。また、田中委員におかれましても、発災直後からいろいろとアドバイスをいただいておりますことにも感謝を申し上げたいと思います。

その上でお尋ねの防災基本計画でございますが、これは災害対策基本法に基づき毎年見直しを行う観点から、各省庁の施策の進捗状況等について点検いただき、議論を進めているところでございます。高齢化が進む中で災害対応におけるリハビリテーション関係の皆様方の専門職の必要性、重要性は非常に高まっていると思っております。

私といたしましても今回の災害対応を振り返る中で防災力を高める方策について総合的に検討してまいりたいと考えております。ご指摘いただきましたリハビリテーション関係の専門職の皆様方を防災関係に位置づけることにつきましては、所管する厚生労働省としっかりと協議をしてまいります。

【田中議員】

はい、ありがとうございます。通告はしていないんですが、松村大臣からですね、厚生労働省としっかり連携していくというお話でございました。武見敬三厚生労働大臣、ぜひしっかりと連携の上、ご検討いただければと思いますが、いかがでございましょうか。

【武見厚生労働大臣】
防災大臣としっかりと連携をして厚生労働省としてもしっかりと検討していきたいと思います。

【田中議員】

ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

続きまして、ユニバーサルヘルスカバレッジに関連して何点か質問させていただきます。SDGsのゴール3に位置付けられておりますこのユニバーサルヘルスカバレッジ。これは全ての人が適切な予防、治療、リハビリテーション等の保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられるということを指します。

2016年のG7伊勢志摩サミット、G7神戸保健大臣会合で我が国が首脳会談級の主要テーマとされ、国際社会、国際機関と連携してアジア、アフリカ等での確立を支援すること、さらに国際的議論において我が国が主導的な役割を果たしていくことを表明されています。昨年の第76回WHO世界保健総会でもこのことが挙げられており、日本の役割は非常に重要であると思っております。

健康というものは幸福な生活そして経済活動、国力の基盤であると私は思っております。国内の健康増進、アジア、アフリカ等におけるユニバーサルヘルスカバレッジへの支援について、総理のご見解を伺います。

【岸田内閣総理大臣】

ご指摘のユニバーサルヘルスカバレッジですが、まず日本においてはすでに国民皆保険を実現しており、さらに全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現を目指して国民健康づくり運動「健康日本21」これを推進しています。引き続き国民の健康増進に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

その上で、日本は長年、世界全体のUHCの達成に向けて国際的な議論を主導してきました。委員御指摘のG7伊勢志摩サミットに加えて、私が議長を務めた昨年5月のG7広島サミットでも、各国のUHCの達成に向けて貢献していく重要性について認識が共有され、また昨年9月の国連総会でのUHCハイレベル会合において、私自身国際社会の取り組みをさらに主導していく決意を表明いたしました。

これを受けて先般、日本政府はアジア、アフリカ等の途上国のUHC達成に向けた取り組みを支援するために、WHOさらには世界銀行と連携しUHCナレッジハブを2025年に日本に設立することこれを表明したところであります。UHCの達成には財政・保険当局が連携して対応することが重要であり、国際的に先進的な取り組みとなるようWHOそして世界銀行と連携していきたいと考えています。今後とも世界でのUHCに日本として主体的に取り組んでいきたいと考えています。

【田中議員】

ありがとうございます。ナレッジハブは私も大変期待しておりますので、ぜひ力強いリーダーシップでお願いできればと考えております。

続きまして、ユニバーサルヘルスカバレッジに関連して質問させていただきます。昨年の第76回WHO世界保健総会では、保健医療システムにおけるリハビリテーションの強化に関する歴史的な決議が承認されたということであります。この決議では、保健システムにおけるリハビリテーションの拡大と統合、プライマリーケアにおけるリハビリテーションの重要性、それから災害への備え、対応の重要性を強調しております。

リハビリテーションは、ユニバーサルヘルスカバレッジの必須項目であります。WHOによれば、世界にはリハビリテーションが有効な健康状態にある方が24億人いると推定され、現在そのニーズはほとんど満たされていないということが指摘されています。

我が国におけるリハビリテーション専門職によるプライマリーケアの対応には若干の課題はまだありますけれども、日本の先進的なリハビリテーションシステムをアジア、アフリカ等への支援として推進していくことについて、武見大臣のご見解を伺いたいと思います。

【武見厚生労働大臣】

ユニバーサルヘルスカバレッジに含まれますリハビリテーションにつきましては、WHOの総会において決議が承認されたことは承知しております。そしてUHC達成のため各国の保健システムの強化が極めて重要であると認識をしております。

我が国では医療保険や介護保険においてリハビリの提供に対する報酬上の評価も行っております。またチーム医療やタスクシフト・シェアの推進とともに地域包括ケアシステムの推進を図る中で、リハビリ専門職は予防から療養、生活期に至るまで幅広く活躍をしております。

我が国としてはユニバーサルヘルスカバレッジを積極的に推進してきた立場からも、このリハビリ専門職が活躍する包括的な社会システムについて、我が国の経験をアジア、アフリカ等にも共有していくことは極めて重要と考えているところであります。

【田中議員】

ありがとうございます。武見大臣はUHCの第一人者でいらっしゃいますので、ぜひ高い知見をもとにリードしていただきたいと考えております。

続きまして、UHCと関連したリハビリテーション専門職の教育に関しての質問であります。我が国の理学療法士、あるいは作業療法士の数は世界のトップランクであります。例えば、我が国の理学療法士数は、アジア・西太平洋地域の国の平均と比べ約10倍と、非常に多い状況であります。

しかしながら、日本の専門職の教育はグローバルスタンダードに追いついておりません。理学療法士、作業療法士などリハビリテーション専門職のグローバルスタンダードは最低でも学士教育でありますが、我が国ではまだ3年制専門課程というふうになっております。

(パネル2をご覧ください)
世界理学療法連盟に126カ国が加盟しておりますが、教育課程を調べた126カ国について示しました。約86.5%は学士以上であり、3年制課程はわずか約13.5%、この13.5%に我が国の教育が入っている現状であります。

専門職団体では、すでに東アジア13カ国と協定を締結して、日本の教育や技術を支援したり、国内に招聘して研修をする機会を設けているところであります。しかしながら、アジア・アフリカは学歴社会でありまして、この日本の質の高いリハビリテーションをアジア・アフリカに提供しようとした時に、この教育課程がバリアになっている状況にあります。アジアのいくつかの国では既に学士教育に移行しているところもあり、我が国の教育よりも上回っている状況で、国際通用性が担保できない状況が今あるという状況であります。

日本のリハビリテーション専門職教育、これグローバルスタンダードに高度化していく必要があると私は考えておりますが、武見大臣のご見解を伺いたいと思います。

【武見厚生労働大臣】

厚生労働省におきましては職能団体、学校協会、臨床従事者等を構成員とする検討会を開催し、求められる知識・技能の変化や臨床や教育の現場の状況等を踏まえながら、理学療法士カリキュラムなどの見直しを行っているところでございます。

委員ご指摘の理学療法士の養成期間を現行より延長することについては、平成29年の検討会において、国際的な水準等も踏まえた検討が必要であるとの意見があった一方で、令和2年度から新カリキュラムによる影響を見極めるべきであるとの意見や、他の医療職の養成機関とのバランスにも留意すべきだといった意見もございました。

この各国での医療事情が異なる中で、我が国においてどのような教育内容が適切であるのか、また専門職を目指す方々や養成施設への影響を踏まえまして、これを慎重に検討する必要があると考えております。まずは令和2年度からのこの新カリキュラムをさらに単位数を増加させて、内容を充実させた影響をしっかりと見極めていきたいと思います。

【田中議員】

ありがとうございます。内容は充実していくんですが、非常に多い教育量を同じ3年制で教育するということは、一つ一つの内容が薄くなるという可能性があるわけです。国民に質の高い医療を、保健サービスを提供するという観点ではそれを合わせてしっかりとご検討いただければなと考えております。

続きまして、リハビリテーション機器や福祉用具の海外展開について伺います。このユニバーサルヘルスカバレッジ、アジア健康構想などに賛同する業界団体あるいは企業などが国際的な展開会合など様々な取り組みを行っていらっしゃると思います。WHOはリハビリテーション2030のイニシアティブにおいて障害を持つ人々に対するリハビリテーションのアクセシビリティの改善を目指しています。

世界トップの高齢社会の我が国にはですね、視覚障害あるいは聴覚障害の課題の支援機器、杖、義足、補装具様々な支援機器がありますこれらの生活自立を支援する機器の積極的な国際展開推進すべきではないかと私は考えますが、我が国としてどのような取り組みをしていくべきかを含め、武見大臣のご見解を伺いたいと思います。

【武見厚生労働大臣】

我が国の保健医療福祉分野の豊富な知識、経験、技術を諸外国と共有をし、官民で連携して国際展開を図っていくことは極めて重要であると思います。こうした考え方の下で、厚生労働省では経済産業省とも連携をしながら、日本企業が製品やサービスをグローバルに展開できるよう、様々な取り組みを進めております。

具体的には、人材養成の観点から、日本の専門家の現地派遣や、諸外国からの研修生を日本の医療機関等で受け入れることを通じて、リハビリ機器や技術の現地での普及を促進しております。また、経済産業省においても、産業振興の観点から、ヘルスケア製品・サービスの振興や海外展開に向けた実証調査などを行っているものと承知しております。

民間の企業戦略に基づく海外進出と政府による施策を組み合わせて官民が連携してこの国際貢献を果たしていくということが重要であり、各国の状況も踏まえつつグローバルな課題に対して的確に対応していきたいと思います。

【田中議員】

はい、ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。

次に、インクルーシブ教育に関連して伺いたいと思います。インクルーシブ教育は我が国でも障害の有無に関わらず全ての子どもたちにとって良い効果をもたらすという考えの下で、共生社会の形成に向けてインクルーシブ教育システムの構築のために特別支援教育を推進すべく各種の政策を進めておられます。

一方、日本のインクルーシブ教育の体制不備に関してはですね、国連より是正勧告が出ていると思います。障害者権利条約の批准国である我が国の提出したレポートに対して国連障害者権利委員会より見解書が発出されていると思います。この中の教育に関する項目の中で、教育体制のあり方について医学的な診断に基づく障害のある子どもたちにおいて通常の環境での教育が受けられないようにし、隔離された特別支援教育が継続していることなど6項目の指摘がされています。

政府はですね、全ての人が生きがいを感じられる多様性のある社会、そして包摂社会の実現に取り組まれていますが、この国連からの指摘を踏まえ、我が国のインクルーシブ教育の現状をどう考え、どう取り組まれていくおつもりか、岸田総理のご見解を伺いたいと思います。

【岸田内閣総理大臣】

インクルーシブ教育については、政府において障害のある子どもを包容する教育を推進すべきであるというご指摘の障害者権利委員会の勧告の趣旨、これを十分受け止めてインクルーシブ教育システムの推進に向けた取り組みこれを進めているところです。

具体的には、障害のある子どもの自立と社会参加を見据え、障害のある子どもとない子どもが可能な限り共に学べる環境の整備を進めています。さらに今年度からは、特別支援学校と地域の小中学校等を一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルこれを創設して取り組みを進めていると承知しています。

今後とも学校において子ども一人一人の障害の実態や教育的ニーズを的確に捉え応える指導や支援が提供できるよう取り組んでまいります。このように、この障害者権利委員会の勧告の趣旨これを政府としましてもしっかり受け止め、具体的な施策を進めていきたいと考えます。

【田中議員】

ありがとうございます。やっぱり一人一人の成長と可能性を最大限に発揮できるような特別支援教育、政府先頭でしっかり頑張っていただければなと心から願っているところでありますので、どうかよろしくお願いできればと思っております。

続きまして、この特別支援教育におけるリハビリテーション専門職に関して伺いたいと思います。特別支援学校は在籍する生徒に教育を施すだけではなく、地域の幼稚園、小中高等学校の要請に応じて在籍する生徒の教育に関する助言・援助、いわゆるセンター的機能を担うとされています。

文部科学省ではですね、特別支援学校がセンター的機能を有効に発揮するためには高い専門性を有する教員が適切に配置されることが必要とされています。このことについては、本当に現場からも数多くのご意見を私も頂戴しているところであります。

(パネル3をご覧ください) 国立特別支援教育総合研究所が行いました、全国の小中学校における肢体不自由特別支援学級の学級担任を対象にした研究報告書によりますと、今後活用したい特別支援学校のセンター的機能に係る上位3項目を赤い字で書いております。「姿勢や体の動き、運動・体育に関すること」72.3%、「技術活動の指導の実際に関すること」70.1%などと並んでいるところであります。

障害を持つ児童生徒、個々への学級担任による教育指導をより充実するという観点から、姿勢や動作、技術活動や環境調整などを専門とする理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等を特別支援学校に配置して、センター的機能を発揮すること、また特別支援学級は通級での指導においても、これら専門職による支援を推進すべきと考えますが、盛山大臣のご見解を伺いたいと思います。

【盛山文部科学大臣】

各自治体や学校におきましては、学校における自立活動の指導の充実につなげていくため、障害のある児童生徒の姿勢や歩行、日常生活や作業上の動作等について、理学療法士や作業療法士などの専門家から教員が助言等を受けながら具体の指導例を行っているところでもございます。

文部科学省においては、このような取り組みを促進するため、各自治体等において外部専門家を活用した指導体制を整備できるよう、理学療法士、作業療法士などの外部専門家の配置に係る経費を令和6年度予算に拡充して計上するなど、その支援の充実を図っているところです。

また、特別支援学校の専門的な知見や経験などを生かし、小中学校等の教員や保護者に対する指導・助言等を行うセンター的機能の強化に向けては、都道府県教育委員会等へ通知を発出し、その取り組みを促すとともに、特別支援学校のセンター的機能の強化のための教員定数の加配措置などを講じているところです。

これらの取り組みを通じて、引き続き小中学校等に在籍している障害のある児童生徒への支援の充実に取り組んでまいります。

【田中議員】

ありがとうございます。保護者の方からも非常に多数のご要望、ご提案をいただいているところであります。一人一人の子どもが健やかにしっかりと成長していく、そんな特別支援教育の充実に向けて大臣先頭にしっかり頑張っていただければと思います。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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