近年、理学療法士や作業療法士のキャリアの多様化が進む中、その新しい潮流を牽引する一人が株式会社PORTの三橋さんです。彼は自らの経験を活かし、介護施設の紹介事業や自費リハビリ、療法士向けのセミナー開催など、多岐にわたるサービスを提供しています。今回、三橋さんにインタビューを行い、彼のキャリアの歩みや起業のきっかけ、そして「療法士キャリア3.0時代に必要なこと」についてお話を伺いました。
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今日は株式会社PORTの三橋さんにお越しいただきました。
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三橋さんは7月21日(日)のリアル臨床というイベントで「療法士キャリア3.0時代に必要なこと」というテーマで登壇されます。
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まずは三橋さんの現在の活動についてお聞かせください。
三橋さん:
よろしくお願いします。弊社では3つのサービスを提供しています。
三橋さん:
1つは介護施設の紹介事業、病院や地域包括支援センター、ケアマネージャーさんが主な相談対象です。
三橋さん:
もう1つは介護施設専門の自費のリハビリです。介護施設に入居した方で保険診療が受けられない場合、自費でリハビリを提供します。
三橋さん:
最後に、療法士向けのセミナーの開催です。
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そもそも、理学療法士になろうと思ったきっかけは何ですか?
三橋さん:
高校でテニス部に所属していた時、ACLや靱帯を損傷することがありました。
三橋さん:
それでリハビリに興味を持ち、当初は介護士を考えていましたが、高校の先生から理学療法士という医療資格があると教えてもらい、それがきっかけで目指すようになりました。
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理学療法士になってからのキャリアについて教えてください。
三橋さん:
最初は総合病院で働きました。ICUから療養病棟、回復期、外来まで幅広く経験し、リーダー業務も担当しました。
三橋さん:
そこで経営的な部分も学びました。その後、整形外科に勤めました。
三橋さん:
若い患者さんを見る機会が多く、副主任としてセルフエクササイズの動画サイトを作るなどの取り組みを行いました。
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なぜ起業しようと思ったのですか?
三橋さん:
整形外科で交通事故の患者さんの治療をしている際に、投資家の患者さんから「起業した方がいい」と勧められたことがきっかけです。
三橋さん:
また、保険外のリハビリサービスに魅力を感じ、自分の提供したいサービスを自由に提供したいと思いました。
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介護施設の自費リハビリを始めた経緯を教えてください。
三橋さん:
最初は健康関連の事業をやっていた時に、介護施設からの依頼がありました。
三橋さん:
千葉市では介護施設専門の自費リハビリを提供する業者が少なく、依頼が増えていきました。
三橋さん:
介護施設のニーズに応える形で事業を展開しました。
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コロナ禍での影響はありましたか?
三橋さん:
コロナの影響で外部の立ち入りが禁止され、9割の仕事がなくなりました。
三橋さん:
しかし、介護施設の紹介事業はニーズが増え、コロナ禍でも伸びました。
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介護施設の紹介事業の具体的な内容を教えてください。
三橋さん:
介護施設と利用者さんをマッチングするサービスです。ご希望やご予算、地域を考慮し、適切な施設を紹介します。
三橋さん:
インターネットだけでは得られない情報を提供し、専門家としての知識を生かしています。
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療法士が介護施設の紹介をする優位性は何ですか?
三橋さん:
医療も介護もわかることが大きな強みです。
三橋さん:
各施設の法律や対応できる医療行為の違いなど、専門知識を持っているからこそ適切な提案ができます。
三橋さん:
介護施設は13種類ぐらいあるのですが、訪問リハが入れる施設もあれば、そうではない施設もあり、医療資格者でないとわからない細かいサービスの違いがあります。
三橋さん:
そう言った意味で、制度の理解や疾患病態の理解がある療法士が紹介を行うことに意義があります。
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話を「療法士キャリア3.0時代に必要なこと」に戻しますが、療法士キャリア3.0時代に必要なことって三橋さんが考えるものは何ですか?
三橋さん:
保険外でのサービス提供でも、ニーズと国の求めることを理解し、対応していくことが重要です。
三橋さん:
特に介護と仕事の両立を支援するためのサービスが求められています。
三橋さん:
ビジネスケアラーといって仕事と介護を両立して対応している人がいて、この経済損失が増えています。
三橋さん:
「働いてる人を支える」いうところで、企業に介護の相談窓口が出来始めています。
三橋さん:
国もこの分野に積極的な投資を考えていることから、弊社として療法士の知識と経験を生かしたコミュニケーションの仕事を増やすことがミッションに掲げています。
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すごくイメージが沸きました。必要とされてますからね。
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今までいろんな人と会って話してきましたけど、三橋さんみたいな起業の人って稀ですよね。
三橋さん:
そうですね。リハ職の起業は介護保険事業か整体・パーソナルトレーニングなどが多いので、保険外の一般企業のようなお仕事は稀かもしれません。
三橋さん:
施設の紹介は、ベネッセやピタットハウスなども参入している事業ですが、医療資格でリハ職をこれだけ雇用している弊社は業界でも稀で、大手企業からあいさつも来ていただいたり、業界としても弊社の認知が拡大しております。
三橋さん:
保険外事業ですが、企業間取引が主で大手との取引も多いため収益も安定します。
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興味がある人は三橋さんに言えば話が聞けるんですか?
三橋さん:
そうですね。7月のリアル臨床にいらっしゃった際に気になることなどお答えさせていただきます。
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POSTでもこれから三橋さん目線の記事を発信していきますので、見て興味を持ってもらえるといいですね。
三橋さん:
ありがたいです。
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行くなら早く行ったほうがいいですよね、この分野は。
三橋さん:
転職してきたスタッフの声を聞くと、すごく勉強になると感じますね。
三橋さん:
施設紹介という住居の引越しに伴い、不動産や相続など様々な分野の事業者が連携をとるため、幅広い知識が身につき社会人として成長できる環境だと思います。
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療法士3.0のことについては7月21日のリアル臨床で話していただくとして、もう一つ聞きたいのが、三橋さんは健康経営もやっていましたよね。
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予防やりたいと言っても、「何次予防やりたいの?」って聞くと、みんな一・二・三次予防がわかってないんです。
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なぜ予防のリハビリはうまくいかないんですか?
三橋さん:
一番感じるのは、国の制度としてメンタルヘルスに力を入れてるところですね。
三橋さん:
メンタルヘルスで成功している精神科医がいて、話を聞いていると会社が伸びるんです。
三橋さん:
介護施設や企業でメンタルヘルスを導入すると国から補助金が出るんです。
三橋さん:
補助金でメンタルヘルスの研修を受けると会社にもお金が残るというスキームがあって、それが健康経営に参入する時の事業規模を変えるんです。
三橋さん:
いいなと思っても、本当にお金を出して従業員の時間を使ってやってくれる会社は少ないです。良い社長がいるところはやってくれますが、爆発的には増えません。
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1−2人はいるけど、100−200人でないと伸びていかないよね。
三橋さん:
そうですね。コロナで会社も難しくなった時に、支出が消されてしまうので。
三橋さん:
うまくいっているのは生命保険会社で、法人生命をバックに持っていて、健康経営は全部無料でやります。
三橋さん:
PTが健康経営専門でやるとお金を取っちゃいますが、健康経営は無料で提供し、最終的には法人生命に入ってもらうというパック商品が伸びています。
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それでは最後に、三橋さんにとってプロフェッショナルとは何でしょうか?
三橋さん:
社会やお客様目線のサービスをいかに提供できるかに尽きると思います。
三橋さん:
仕事ってどうしても事業者都合になることがあるかと思いますが、やはりサービスを受ける側の視点でお仕事できる方がプロフェッショナルだと思います。
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ありがとうございました。
三橋さん:
ありがとうございます。
【目次】
第一回:介護施設紹介事業(あんしんホーム)の成長戦略
第二回:リハビリ職の新しい職域〜知識と経験を活かした相談業務のお仕事とは?〜
7月21日はリアル臨床
10:45〜11:45 療法士キャリア3.0時代に必要なこと (会場:5F-B)
【演者】
波戸 真之介氏(株式会社ツクイ IT機器推進)
白畑 賢一氏(株式会社Luxem 訪問看護事業部 部長)
穴田 周吾氏(京都芸術大学大学院)
三橋 広大氏(あんしんホーム(株式会社PORT))