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リハビリテーションもDX化! 運動麻痺患者への最適なロボットリハビリプログラムを自動で提案するシステムを開発

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<ポイント>

・運動麻痺※の程度を調べるだけで、最適なロボットリハビリプログラムの提供が可能に。

・誰でも簡単にプログラムを提供できるため、ロボットリハビリのさらなる推進に期待。

<概要>

脳卒中は、発症後一命をとりとめたとしても、運動麻痺などの重い後遺症が残るため、継続的なリハビリテーションが必要です。近年、正しい動作を繰り返し行えることから、ロボットを用いたリハビリが世界中で推奨されています。しかし、運動麻痺の程度に合わせた適切なリハビリを提供するためには、リハビリだけでなくロボットを扱うための技術や知識も必要なため、医療者なら誰でも簡単にプログラムを提供できるシステムが求められています。

大阪公立大学大学院リハビリテーション学研究科の竹林 崇教授らの研究グループは、経験豊富な医療者がリハビリロボットReoGo-Jを用いて、対象者312名の運動麻痺の程度に合わせて提供したプログラムデータを収集。統計手法による分析から、医療者が運動麻痺の程度を調べるだけで、最適なリハビリプログラムが自動提案されるシステムを開発しました(図1)。本システムにより、誰でも簡単に最適なリハビリプログラムが提供できるようになることで、ロボットリハビリのさらなる推進や、効果的なリハビリの練習量確保、医療者の負担軽減に繋がることが期待されます。

本研究成果は、2024年10月28日に国際学術誌「Scientific reports」のオンライン速報版に掲載されました。

図1 従来のロボットリハビリの提供スキーム(左)と本研究で開発したDXシステムによるスキーム(右)

研究者からひとこと

運動麻痺で手が使えなくなってしまった対象者さんへの効果的なリハビリを、誰でも提供できるようにするために、本プログラムを開発しました。ReoGo-Jは、本研究グループによる大規模な研究で、これまでに二度、米国心臓/脳卒中学会の機関誌「Stroke誌」に取り上げられるなど、脳卒中後の運動麻痺に対して効果が証明されているロボットです。多くの脳卒中後の患者さんのより良い生活を支えるために、再現性のある効果的なロボットリハビリが世の中に広がって欲しいです。(竹林 崇教授)

<研究の背景>

脳卒中は発症後、重い後遺症が残り、家族によって何かしらの介護が必要となる病気といわれています。特に、多くの対象者の片側の手足に運動麻痺が生じるため、それらに対するリハビリがとても重要です。現在、運動麻痺に対してロボットを使ったリハビリ(ロボットリハビリ)の効果が世界中で認められ、多くのガイドラインでも推奨されています。しかし、適切なロボットリハビリを提供するためには、ロボットを扱うための知識や技術が必要です。また、どの医療者でも最初から簡単に最適なリハビリプログラムを提供できるわけではなく、リハビリ業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められています。

<研究の内容>

本研究では、リハビリのプロフェッショナル達が ReoGo-J(帝人ファーマ株式会社が開発したロボット)を用いて、312名の対象者の手の運動麻痺の程度に合わせて選別したリハビリプログラムのデータを収集し、項目反応理論という統計手法により分析しました。その結果、昔から医療者が一般的に使用している脳卒中後に生じる手の運動麻痺の程度を調べる検査を行うだけで、ロボットが最適なリハビリプログラムを自動で推薦してくれるシステムを世界で初めて開発しました。こ のDXシステムを使うことで、従来の検査さえ実施できれば、ロボットを使った経験が全くない医療者でも適切な手の運動麻痺に対するロボットリハビリを提供することができます。

上肢用ロボット型運動訓練装置『ReoGo-J』

<期待される効果・今後の展開>

本研究による画期的なDXシステムの普及により、効果的なロボットリハビリを、誰でも、どの施設でも適切に提供できるようになることで、脳卒中後の手の運動麻痺の機能予後の改善や、周囲からの介護量の軽減に繋がる可能性があります。ReoGo-Jは効果が証明されているにも関わらず、経済的な理由から2023年4月に取り扱いを終了しています。リハビリ現場では、医療者や対象者からロボットの販売の再開を求める声が多く上がっているため、本成果がより多くの企業に届き、開発や取り扱いが再開されることを願っています。

<資金情報>

本研究の一部は、帝人ファーマ株式会社からの支援を受けて実施しました。

<用語解説>

※ 運動麻痺…

脳から手足に繋がっている神経が損傷し、思った通りに動かせなくなる症状。

<掲載誌情報>

【発表雑誌】

Scientific reports

【論文名】

Automatic setting optimization for robotic upper-extremity rehabilitation in patients with stroke using ReoGo-J: a cross-sectional clinical trial

【著者】

Takashi Takebayashi, Yuki Uchiyama & Kazuhisa Domen

【掲載URL】

https://doi.org/10.1038/s41598-024-74672-2

詳細︎▶︎https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-14479.html

注)プレスリリースで紹介している論文の多くは、単純論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎました。 さらに研究や実験を進める必要があります。十分に配慮するようにしてください。

リハビリテーションもDX化! 運動麻痺患者への最適なロボットリハビリプログラムを自動で提案するシステムを開発

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