松井 亨先生 -起業理学療法士(PT) no.3-

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バックナンバーはこちら▽▽
no.1-「理学療法士を目指した理由」
no.2-「起業するまでに準備したコト」

私は人で悩みます。

新規ドキュメント 7_6
インタビュアー
:会社をやっていて1番悩むところって何ですか?

松井先生:1番悩むのは人ですね。

インタビュアー:人で悩むんですか?

松井先生:私は人で悩みます、ただ最も面白みがあるのも組織を構成している人です。

やはり企業経営者として人事を担当すると、先ほどの2対8の法則の様に双方とも肌感覚で合わないって事ありますよね。でもそこを、こちらから「好き」って歩み寄ると大抵の人は変わってくれます。ただし、ファーストインプレッションを変えるのって難しいので、その摩擦であったりズレだったりが、簡単に引き離されていく要因になるのだと思います。

例えば、高校の同級生とかは絆のようなモノで繋がっているようですが、年月が経つと不思議と連絡を取らなくなる人もいますよね。繋がりって言葉で表すことが難しいから、もしかしたら意思とは異なり繋がってないこともあるのでしょうけど。そうなると、踏み込んで行くのを難しいなって思った時に、地域の事もそうですが、『巻き込むなら巻き込まれろ』というのが私の中の理念でもあって、どんどんその人の人生とかに巻き込まれることによって、解決できるだろうと思っています。

そういう人との密着、その本当の信頼関係を作っていくことが難しく、度々悩みの種になることは少なくないです。私もそっぽを向くような姿勢は見せちゃいけないと思いますが、未熟な点も多いので『なんだそれは』と思われることもあると思うんですよね。

松井先生:マネジメントする側が変化する時代に合わせ、価値観を学ぶ姿勢を忘れないようにしたいと思っています。文化は時代の変遷とともに変化しているので、固定電話から『電話の取次ぎ方ができない』スタッフがどの会社にもいると思います。でもそれは、若者になるほど家の固定電話を使った経験が少ないから受けた電話を親へさえ上手に繋げない事実があるんですよ。それは育った時代の生活背景が異なるので、その環境をマネジメントする側が知っておく必要性は高いはずです。

自分が教えていく立場である時は、少し考えて、そういう価値観を受け入れる癖をつけておかないと「いまどきの若い奴らは」と自分とは同じ価値観を持ってない人を否定してしまうことになってしまうと思っています。難しいのはそれも含めて人の価値観があるので、やはりそれを共有していくことの難しさを感じていますね。

インタビュアー:人のマネジメントって1番難しいですよね。

松井先生:でも1番楽しいところでもあるのかもしれないですけどね。同じ志をもつ仲間が増えていくっていうのは。

私の役割〜地域の仲間や社員をワクワクさせること〜

新規ドキュメント 7_4

インタビュアー:プレイヤーからマネジメントになってきてる中で、今の自分の役割ってどの辺に重きがあるのかなっていうのが聞きたいです。

松井先生:僕の役割は、”地域の仲間や社員をワクワクさせること”だと思います。

その原動力は何かというと、人の為になったとかボランティアとか色々ありますが、目先のことではなくその先にあるストーリーだと思います。続けることで、そんな風になっていくっていうテーマがあり『ここでお金を得る、ここで成功体験を得る』っていうのもあるけど、それって不思議と継続的なモチベーションにはつながらないんですよね。

それってすぐ失うものだと思うので、ずっとここにあるテーマを大事にする、それをどんどん話して伝えていく。初対面の人には話すべきではないとも思うのですが、慣れていくと倍以上に話せていく自分も知っているから、そういうワクワクさせるようなことないかなーって常に扁桃体イジメ続けています。

もちろん療法士の社会的価値を上げることも私の最大の目標なので、そういったことをどんどんテーマとして伝えていくと仲間が共に奮い立ってくれますよね。良いことも悪いこともあるのですが、人が集まってくれていることを実感すると同時に、そんな共通理念に巻き込むためのアウトプットを繰り返す時間を大切にしています。

今後の展望

創業時

インタビュアー:スミレ(通所介護)の話は聞いたんですけど、なぜ、次は訪問看護ステーション開設しようと思ったのですか?

松井先生:理由は単純ではありますが、通所は自立支援の高い方、いわゆる要支援の方が大半なので、ここまで差別化すると当然受け入れられない方が出てきます。もちろん、それも戦略ではあります。訪問事業は資金、資本力も必要なため、最初からオープンさせるにはハードルが高いこともあり、通所がある程度軌道にのってから訪問を立ち上げようと考えていたことも理由です。

通所では自立支援型を強く押しているので、メニューもある程度自分で選択して決めて頂いていたのを、重度者や認知症の方々にはいかがでしょうと断りの件数が増えてきました。だから、この方達を救わなければという思いが募ってきた頃、つまり2年後に訪問事業をオープン出来たのは良かったですね。それで地域のリハビリニーズに対応できる幅が広がりました。

インタビュアー:今後はどんなことを考えていますか?

松井先生:今後考えているのはサービス高齢者住宅や小規模多機能ですね。今の訪問サービスは24時間対応ができてないんですよ。今後、本当に地域に密着していくためには24時間対応可能にして、小規模多機能、最後のターミナルを平成30年までにどう作っていくかっていうのが私たちの課題です。いわゆるサービスのデパート化ですよね。この地域で弊社(EMIAS)が提供する事業で予防から終の住処まで作っていきたいと思っています。

インタビュアー:葬儀屋までですね。葬儀屋というとネガティブなイメージを皆さんもちますが大事ですよね。亡くなるまでの最後の10年間をここで過ごした時に自分史みたいなのを作って葬儀で流してあげるといいですね。認知症になった時もスミレにいた時の写真とかあると思い出す機会があっていいですよね。

松井先生:ぜひそういうのも作っていきたいですよね。

インタビュアー:事業を進めていくあたって地域に溶け込む工夫はどのようにしていきましたか??

松井先生:ここ熊本市は平成24年に政令指定都市になり、隣接する市町村に合志市や菊陽町があります。大切なのはその市町村で縄張り意識をもつのではなく、他の良い部分を取り入れ吸収することです。

私も在宅医師や薬剤師、民生委員、自治会長など地域に関わらずその地域のリーダーの方々と多く出会い、いつでも周りに巻き込まれる体勢を作っていきました。その結果、こちらからもアクションを起こしたいときに巻き込めるんですよね。工夫と言えばこの繰り返しで、先日9月には「ジャムカフェ」という移動型カフェを開催し約200名の参加者を動員することができました。地域に声をかけることで、事業所が得意とする事を持ちよってもらえる。

例えば、スピットではアロマケア、スミレでは体力測定等、高齢者だけでなく、小さな子達が地域を支えていくためにこういう仕事に就きたいというのを思ってもらいたくて。やはり巻き込むと流れに乗ってくれやすいですよね。そして次はそれを事業化していくことが継続可能性を高めることだと考えています。今はキャッシュポイントがないですけれど、地域の仲間が一丸となって活動した結果『あなたの街には私たちがいます』という我々の思いを地域の人たちにわかってもらえたことが収穫です。それが私の取り組んでいる地域に溶け込むための工夫です。

実際に、車で15分くらい行くと、すぐ御利用者と職員が繋がったりします。そういうのはすごいと思いますし、生まれ育った町に恩返しができている喜びを感じますね。

(続く)

松井 亨先生 プロフィール

熊本県出身

理学療法士
●合同会社EMIAS 代表
●地域活性化プロジェクト ジャムカフェ理事
●地域包括ケア推進リーダー
●介護予防推進リーダー

2007年 西日本リハビリテーション学院卒業 理学療法学科
医療法人社団星輝会 松原リウマチ科・整形外科入職

2012年 オーストラリアへ海外留学

帰国後、施設運営コンサルタントとして活動



2013年 合同会社EMIAS設立

光の森リハビリセンターsmile-スミレ- 開設

2015年 光の森リハステーションspito-スピット- 開設

《バックナンバー》
第1回▷▷no.1-「理学療法士を目指した理由」
第2回▷▷no.2-「起業するまでに準備したコト」
第4回▷▷no.4-最終回「プロフェッショナルとは?」
 

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