目次
- ピラティスが医療の世界でも認められるようになった理由
- ピラティスの基本原則—効果をもたらす6つの鍵
- 研究でわかったピラティスの具体的効果
- マットとリフォーマー、どちらが効果的?
- 理学療法士の視点で考えるピラティスの始め方
- 最後に:ピラティスは「動き方」を変える
- 参考文献
ピラティスが医療の世界でも認められるようになった理由
私が学生だった頃、ピラティスは「ダンサーや女優がやるエクササイズ」という印象でした。しかし今では、腰痛患者や術後のリハビリにも積極的に取り入れられています。
ジョセフ・ピラティスは自身のメソッドを「コントロロジー」と名付け、身体・精神・魂のバランスを目指しました。彼が100年前に提唱した方法が、現代の科学的検証に耐え、むしろその価値が再評価されているのは興味深いことです。
Saçlı & Çatalbaş(2025)による最新のシステマティックレビューでは、ピラティスが「柔軟性、バランス力、安定性、コア筋力の強化、そして動作の質の向上」に効果をもたらすことが確認されています。これは私たち理学療法士が目指すゴールと完全に一致しているのです。
ピラティスの基本原則—効果をもたらす6つの鍵
私がピラティスを臨床に取り入れて最も驚いたのは、「動きの質」に対する考え方です。単に筋肉を鍛えるだけでなく、「どのように動くか」に焦点を当てる点が秀逸です。
ピラティスの6つの基本原則は、
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コントロール:力任せではなく、精密に動きをコントロールする
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集中:「ながら運動」ではなく、動きに意識を集中させる
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流れ:ぎこちなさを排し、動きに滑らかさをもたらす
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呼吸:呼吸と動きを連動させる(私の患者さんが最も苦労する部分です)
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精密さ:「だいたいできた」ではなく、正確さを追求する
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センタリング:体の中心(私たちが「コア」と呼ぶ部分)から動きを始める
これらの原則は、ただ体を動かすだけでは得られない「動きの質」を高めます。転倒予防や姿勢改善に取り組む私のクリニックでも、この考え方は非常に重要です。
研究でわかったピラティスの具体的効果
機能的な動きの改善
機能的動作スクリーニング(FMS)は、日常生活やスポーツに必要な基本的な動きを評価するツールです。私も臨床でよく使います。
Saçlı & Çatalbaş のレビュー(2025)によると、4〜15週間のピラティスプログラムがFMSスコアを有意に向上させたことがわかっています。これは、スクワット、ランジ、肩の動きなど、日常動作の質が向上することを意味します。
私の経験では、特に中高年の患者さんは「動かし方を忘れている」ことが多いのです。ピラティスは、その「忘れてしまった動き」を取り戻すのに効果的です。
バランスと安定性の向上
Barker らの研究(2015)は、