日本病院団体協議会(日病協)は20日、代表者会議後に記者会見を開き、政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2025について議論した結果を報告しました。望月泉議長(全国自治体病院協議会会長)は、医療費増加の要因として従来の「高齢化の範囲内」に加え、新たに「医療の高度化」が明記されたことを高く評価しました。
骨太方針で医療の高度化を明記
望月議長は会見で、骨太方針の第3章「中長期的に持続可能な経済社会の実現」において、社会保障関係費の伸びの要因として「高齢化と高度化等が存在する」と記載されたことに注目しました。従来は「高齢化の範囲内」という文言でしたが、「医療の高度化」が追加されたことについて、「医療費上昇の原因は高齢化だけでなく、高度化が大きな要素になっている。これがちゃんと入ったことが評価される」と述べました。
また、「賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう的確な対応を行う」との文言も盛り込まれ、「高齢化による増加分に相当する伸びに、こうした経済物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と本文に明記されました。
望月議長は「各病院団体が要望書等を出しながら、政治家などにお願いした結果、経済物価等々を踏まえた対応に相当する増加分を加算するという文言が入ったのは第一歩」と評価する一方、「財源の確保がまだまだ必要で、油断はできない」と慎重な見方も示しました。
中医協委員に小坂氏を推薦
会見では、診療報酬実務者会議(6月18日開催)で中医協委員の後任について議論した結果も報告されました。候補者3名による話し合いを2回実施しましたが結論に至らず、最終的に選挙により全国自治体病院協議会副会長の小阪 真二氏が選出されました。代表者会議で承認を受け、厚生労働省に推薦することが決定しました。
小坂氏の任期は10月末からで、それまでの期間は学習のため中医協に出席する予定です。
物価上昇への対応求める
質疑応答では、経済物価対応分の診療報酬への反映について質問が出ました。望月議長は「ベースアップ評価料2.5%では今の賃上げには対応できない。だいたい今4%ちょっと超えるような賃上げになっている」と指摘し、現行制度では病院の持ち出しになってしまう現状を説明しました。
また、「米だって何だって上がっているのに、医療だけは公定価格で上がっていない。物価に対応して経費がかかるので、公定価格の中の価格を物価に対応して上げてほしい」と要望の趣旨を説明しました。
望月議長は最後に、「これだけ病院の経営が悪くなっているので、やり続けないといけない。診療報酬改定に結びつくが、年度内にも何らかの形で動いていただかないと、年度内でもう少し息切れする病院が出てきそう」と述べ、早急な対応の必要性を強調しました。
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