令和6年3月のリハビリテーション医療費(入院外)は、前年同月比+4.7%の成長を記録。2月の+4.2%から伸び率が再加速し、全体医療費の伸び率を引き続き上回りました。特に90歳以上の高齢者層や整形外科診療所での需要の高さが継続しており、リハ提供体制の戦略的拡充が求められる局面です。 医療費全体の動向とリハビリテーション料の位置づけ 全体医療費(概算):約4.0兆円(前年同月比 +3.5%) 入院外リハビリテーション料:+4.7%(前年同月比) 全体医療費との差分:+1.2ポイント(前月比+0.5ptで再拡大)
リハビリテーション料と全体医療費の月次推移比較
月 | リハ料伸び率 | 全体医療費伸び率 | 差 |
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11月 | +7.2% | +2.2% | +5.0pt |
12月 | +5.4% | +3.3% | +2.1pt |
1月 | +4.8% | +3.8% | +1.0pt |
2月 | +4.2% | +3.5% | +0.7pt |
3月 | +4.7% | +3.5% | +1.2pt |
年齢層別:超高齢者での需要高止まり
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90歳以上の医療費は前月比でさらに上昇
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85〜90歳:+4.6% → 90歳以上:+4.4%(前月)→ 3月も継続見込み
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在宅リハビリ・訪問リハビリへの重点化が必要
疾病別動向:運動器リハ関連の堅調推移
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筋骨格系疾患(入院外):前月比 +4.7%
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損傷・中毒・外因(入院外):+4.5%(前月比+1.1pt)
→ 冬季の骨折・転倒による影響が長期化し、整形外科領域での外来リハが引き続き好調。
医療機関別:整形外科診療所が高水準維持
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整形外科診療所:+3.9%(前月:+3.8%)
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医科診療所:+2.8%(前月:+2.5%)
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医科病院:+3.2%(前月:+3.4%)
整形外科診療所が安定成長を牽引しており、リハ提供の前線としての役割が継続。
戦略的示唆と展望(PT・OT・ST/経営者向け)
◆ リハ職種への示唆
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超高齢者・在宅対応の強化
→ 90歳以上のリハ需要は今後も継続見込み -
整形外科疾患・損傷への外来支援拡充
→ 骨折・転倒リスクに応じた運動療法プログラム開発を -
生活期リハの質的充実
→ QOL改善・ADL維持を軸にした目標設計が重要
◆ 医療機関経営者への提言
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訪問・通所リハ体制の投資強化
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整形外科とリハ部門の連携戦略
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90歳以上患者向けパス構築とデータ整備
出典
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医科診療所別・疾患別・年齢別データ(ファイル:medias_03.xlsx)
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前月までの推移データ(2月:+4.2%、1月:+4.8%、12月:+5.4%、11月:+7.2%)
【合わせて読む】
・令和6年度3月「最近の医療費の動向(MEDIAS)」