バックナンバー:藤波英司先生-福井県作業療法士会 会長 No.1 ⇦こちらもぜひごらんください!
大きな病院で学ぶことは減ってきているのか?
藤波先生:私たちの基本は医療です。
常に私たちは医療や保健、福祉、教育などの分野においても医学的根拠を求められます。
今、日本作業療法士協会では「第二次作業療法5ヵ年戦略」を実施し、作業療法5・5計画を重点的スローガンに、身近な地域生活の場に5割の作業療法士を配置しようとする働きかけを行っています。
実際、地域で働く作業療法士は3割程度と言われていますが、福井県においてもそのようです。
病院以外で働く作業療法士を増やす中においても、より専門的な技術や知識を学ぶことは必要だと思いますので、大きな病院は教育機関としての役割も大きいと思います。
県士会では、各病院の所属長や職員に声をかけて、県士会の役員になっていただいています。
そうすることで、協会や県士会の動きをよく理解してもらいながら、病院で後輩指導にあたってもらっています。
悩んでいる後輩たちへ
藤波先生:ひと昔のように、卒業後病院に就職といったような状況とは違って、今は、活躍できる場所の選択肢が多いですし、就職後も私たちには多様なニーズが求められていて、どの道を選択するべきか悩むこともあるかと思います。
私の場合は、最初に就職した病院で、厳しくも優しい先輩や医師のもとで、医療やリハビリテーションをしっかり学ばせていただきました。
その経験が、今の仕事に大いに活かされていると思っています。
いろいろな環境や状況があると思いますが、常に前向きに自分自身の専門性を見つけて行くことが重要ではないかなと思います。
特に経験の浅い若い作業療法士には、丁寧に指導してくださる先輩や医師がいる病院で、急性期から回復期、地域リハビリテーションなど、様々な病期においてもしっかり学べる施設で自分を磨くことをお勧めします。
知識や技術を学び経験を重ねる中で、自分の本当にしたいことや、役割が見つかると思いますし、その経験は、どの分野に行っても間に合うものです。
気を付けたいのは、大きな組織にいると、知識や技術、コミュニティがその組織の中で完結してしまい、限られてしまいがちになることです。
それは組織以外の地域や社会に出た時に苦労するポイントでもあります。
一つ例を挙げると、私は今の会社を始めて8年ほどになりますが、それまでは名刺交換の必要性もなく、積極的にしたことがありませんでした。
今は、多くの方々と名刺交換を切っ掛けにしながら仕事仲間を増やし、連携して仕事ができています。
こういったことは、一般社会において当たり前のことです。
「井の中の蛙」という言葉がありますが、大きい組織の一員であっても、若いうちから社会にどんどん出て行って、仲間を増やし、情報をたくさん得て、広い視野で自分の進むべき道を開拓してほしいと思います。
最終回に続く・・
藤波 英司先生
一般社団法人福井県作業療法士会 会長有限会社ハートフルケア 代表取締役