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回復期リハの実績指数を厳格化──支払側意見、休日リハ徹底と急性期3日以内開始も提起

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30年ぶりの大型プラス改定(+3.09%)の内実は、「賃上げの確実な履行」と「成果なきリハビリの淘汰」という厳しいアメとムチです。1月21日の中医協総会(公聴会)では現場から賃上げ原資の検証を求める声が上がる一方、支払側は回復期リハビリテーション病棟の実績指数厳格化と病床数絞り込みを正式に要求。急性期リハにも「発症3日以内開始」「休日中断回避」の要件化が突きつけられました。

賃上げ+1.70%、「絵に描いた餅」にしない検証が鍵

改定率+3.09%のうち、+1.70%が医療従事者の賃上げ分として措置されました(令和8年度・9年度の2年度平均)。点数が上がっても、現場のセラピストや看護師の給与明細に反映されなければ意味がありません。

日本労働組合総連合会石川県連合会事務局長の高村伸幸氏は、「人材確保には十分な処遇改善が不可欠。スタッフ一人ひとりに確実に賃上げが届くよう、実績を検証できる仕組みが必要だ」と主張しました。

病院経営の視点からは、金沢医療センター院長の阪上学氏が発言。物価高騰下で病床利用率を極限まで高めざるを得ない現状を危惧し、「病床利用率75〜80%程度でも経営が成り立つ診療報酬体系が必要。余裕のない経営体質は、災害や新興感染症発生時に即座に医療崩壊を招く」と訴えました。

回復期リハ病棟、「重症受入れ×回復実績」の厳格評価と病床絞り込みへ

支払側が提出した「令和8年度診療報酬改定等に関する1号(支払側)の意見」は、リハビリテーション医療への選別と集中を鮮明に打ち出しました。

意見書は、現役世代人口の急速な減少を踏まえ、「急性期治療後の専門的なリハビリテーションに特化した医療ニーズは縮小していく」と明記。その上で、回復期リハビリテーション病棟について「重症患者を集中的に受け入れ、身体機能を確実に回復させた実績をより厳格に評価し、全体として病床数を絞り込むべき」と断じています。

具体的に突きつけられた要求は4点です。

  • 実績指数の厳格化:重症患者割合や実績指数の計算方法を是正し、適切な基準値を設定する
  • 入院料2・4への基準導入:従来は緩やかだった下位区分にも実績指数の基準値を新設する
  • 除外範囲の厳格化:実績指数計算から除外できる患者の範囲を狭める
  • 休日リハの徹底:365日リハビリテーションの完全実施

リハ職については「活動領域を広げ」、多職種配置の急性期一般病棟、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟で専門性を発揮する視点も必要と記載されています。回復期リハ病棟に閉じこもるのではなく、各病棟への分散配置を促す意図が読み取れます。

急性期リハ、「発症3日以内開始」を要件化──休日中断も許されず

急性期のリハビリテーションにも厳しい要件が求められています。支払側意見は、早期リハビリテーション加算・初期加算・急性期リハビリテーション加算について「発症日から3日以内に開始」を要件として規定するよう要求。休日にリハを中断しない体制確保も急性期病棟に求めるべきと明記しました。

運動器リハについては、回復期リハ病棟と同様に他病棟でも算定上限を1日6単位とするべきと記載。ベッド上訓練は「評価の適正化と算定上限の厳格化が必要」、退院時リハビリテーション指導料は「入院中にリハを実施した患者に算定を限定するべき」としています。

漫然としたリハビリテーションは報酬上の評価から外される──極めてシビアな改定となる公算が高まっています。

議論のポイント:DXによる人員配置緩和と地域医療アクセス

医療DXと人員配置基準

金沢医療センター院長の阪上学氏は、医療DX導入による業務効率化に関連し、人員配置基準の柔軟化を求めました。DX導入コストと厳格な人員配置コストの「二重負担」が病院経営を圧迫しているためです。センサーやAI活用により業務が効率化された場合、夜勤配置などの基準を緩和すべきという主張です。

これに対し、日本労働組合総連合会石川県連合会事務局長の高村伸幸氏は慎重姿勢を崩しません。人員配置の緩和が医療安全への不安や現場スタッフのさらなる負担増、ひいては離職の連鎖につながりかねないとの懸念からです。

地域医療構想とアクセスの確保

阪上氏は急性期機能の集約化についても言及。単に人口規模だけで「〇〇万人に1箇所」と機械的に線引きすることへの懸念を表明しました。能登半島地震の被災地・石川県からの参加者が多かった今回の公聴会では、平時の効率性だけでなく、有事の医療継続性が強く意識されました。

まとめ・今後の展望

今回の公聴会と支払側意見書により、2026年度改定の輪郭がはっきりしてきました。賃上げ原資としてのプラス改定は確保された一方、リハビリテーション部門には「明確な治療成果」と「プロセス管理(早期介入・休日実施)」がより強く求められます。

中医協での今後の協議は、「評価指標(実績指数の算定方法・基準値・除外範囲)」「提供体制(365日・休日リハ)」「早期介入(発症3日以内)」を軸に、具体の制度設計が問われる局面に入ります。これらの意見を踏まえた「短冊(個別改定項目の具体案)」が示され、点数設定の議論へと移行する見込みです。回復期リハ病棟の実績指数ボーダーラインがどこに引かれるか、注視が必要です。

▶︎中央社会保険医療協議会 総会(第643回)

回復期リハの実績指数を厳格化──支払側意見、休日リハ徹底と急性期3日以内開始も提起

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