神奈川県理学療法士会は1月22日、神奈川トヨタ自動車と「高齢者の安全な運転支援」を目的とした連携協定を締結しました。自動車販売店と都道府県理学療法士会がタッグを組むのは全国初の試み。免許返納に伴う活動量低下という社会課題に対し、リハビリテーション専門職の知見を活かして「運転寿命」の延伸を図る新たなモデルケースとなります。
「免許返納」のジレンマに専門職がアプローチ
神奈川県理学療法士会と神奈川トヨタ自動車の間で結ばれたこの協定は、高齢ドライバーの安全運転支援を主眼に置いています。

左:安藤栄一社長、右:内田賢一会長
近年、高齢者の自動車事故対策として免許返納が推進されています。一方で、移動手段の喪失は外出機会の著しい減少を招き、結果として運動機能や認知機能の低下(フレイル)につながるという「負の連鎖」がリハビリテーション現場でも懸念されてきました。
今回の連携は、単に「運転をやめさせる」のではなく、「安全に運転できる身体機能を維持する」ことに焦点を当てています。神奈川トヨタが行う高齢運転者向けの講習等の場に理学療法士が関与。専門的な知見に基づいた情報提供や身体機能へのアドバイスを行うことで、高齢者が長く安全に運転を続けられる環境づくりを目指します。
予防理学療法の新領域へ 両代表のコメント
締結式において、両組織の代表はそれぞれの立場から連携の意義を強調しました。
神奈川県理学療法士会の内田賢一会長は、臨床現場等で機能低下してから関わるのではなく、その手前の段階で介入することの重要性を指摘しています。
「(体が)動けなくなる前にしっかりと関わっていくことで、われわれの力を県民の健康維持に携えると思っている」(内田会長)
これは、地域包括ケアシステムの中で求められる「予防」の観点を、自動車販売店という生活に密着した民間企業との連携で実現しようとする動きと言えます。
一方、神奈川トヨタ自動車の安藤栄一社長は、顧客へのサービス向上という観点に加え、専門職への信頼感に期待を寄せました。
「専門家の意見というのは、大変お客様は心強く信頼があると思っている。人々が移動する自由・楽しみということが、多くの人に広がっていければいい」(安藤社長)
まとめ
今回の協定締結により、今後は神奈川トヨタが開催する講習会等で、理学療法士による具体的な指導や啓発活動が展開される見通しです。
「移動の自由」を守ることは、高齢者のQOL維持に直結します。モビリティ企業とリハビリテーション専門職によるこの全国初の連携モデルが、今後どのように地域住民の健康寿命、および運転寿命の延伸に寄与していくのか、その成果が注目されます。






