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中東情勢が揺さぶる医療現場──日病協、診療報酬「追加改定」要求へ舵 消費税・再生医療も3テーマで一致

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日本病院団体協議会(日病協)は4月17日、記者会見を開き、中央社会保険医療協議会(中医協)に関連する3つの論点について議論の内容を報告しました。中東情勢を背景とした医薬品・医療材料の価格高騰や欠品懸念を踏まえ、令和9年度を待たず「基準改定」を含めた診療報酬上の対応を求める方針で一致。病院経営の動向はリハビリテーション部門の運営環境にも直結するだけに、現場にとっても目が離せない議論となっています。

新体制でスタート 議長に菅野氏、副議長に池端氏

4月から日病協の議長に就任したのは、全日本病院協会会長の菅野氏。再任となります。副議長には日本慢性期医療協会副会長の池端氏が就いた。池端氏は中医協委員としての経験を持ち、「その経験を生かして議長を補佐したい」と挨拶しました。

焦点1:物価動向と「基準改定」― 実調を待たず対応要求へ

最大の焦点は、令和8年度診療報酬改定後の医療機関の経営状況調査(実調)の扱いです。

菅野議長は、令和7年12月24日の大臣折衝事項を示し、実際の経済・物価動向が改定時の見通しから大きく変動した場合、令和9年度予算編成において加減算を含めた調整を行うと明記されている点を指摘。「急激な物価上昇があった場合には基準改定も含めて考えていただけると理解している」と述べました。

今回の実調は令和8年6月から9月の4か月分を臨時調査する予定ですが、菅野議長は「そこまで待てるのか」と疑問を呈し、中東情勢を踏まえた独自の調査結果も根拠に、基準改定を含む対応を強く求めていく方針を明らかにしました。

焦点2:中東情勢、病院現場に具体的な影響 ― パラフィン・ホルマリン・給食包装材

会見では、各病院団体へのヒアリング結果として、現時点で「欠品」は発生していないものの、複数の分野で深刻な懸念が出ていることが共有された。

菅野議長が具体的に挙げたのは次の品目です。

  • 病理分野:パラフィン、ホルマリンなどの石油製品。大きな病院ほど納品に困っているとの声
  • 慢性期・介護施設:おむつの欠品懸念
  • 病院給食:クックチル・クックサーブ用の特殊な包装材。来週からの欠品発生を示唆する情報も
  • 改修・改装:塗装材など建築資材の納期・価格の悪化

質疑では、日本医療法人協会の伊藤氏が「欠品はないというのは現時点の認識か」と確認。これに対し菅野議長は、「現時点で欠品はないが、在庫が尽きれば1か月、2か月先には欠品が出る可能性は十分ある」と応じ、パラフィン・ホルマリン、病院給食の包装材について「すでに発注しても来週から入荷できないかもしれないという病院が現に存在する」と明かしました。

伊藤氏はさらに、「ゴールデンウィークを控え、必要以上の発注を避けるよう厚生労働省から通知が来ている。コロナ禍のマスク不足のような悪いイメージもあるが、歯を食いしばって余計な注文は我慢すべき」と現場への呼びかけを強調しました。

リハビリ現場にとっても、給食・衛生材料の供給不安は回復期・慢性期病院の入院運営に直結する問題であり、病理材料の不足は病院全体の診療機能に波及しかねません。

焦点3:消費税問題、分科会で検討へ

2つ目の論点は消費税です。中医協総会で、吉田中医協会長から「病院の消費税については消費税分科会の場で検討を進めたい」旨の発言があったと報告されました。

社会保険病院関係の大塚氏は、「病院団体はこれまで課税ゼロ税率などを主張してきたが、今回の議論はどのような対応が望ましいかを含めた議論になるのか」と質問。菅野議長は、「そういうことになる」と応じ、政治サイドでも検討が始まっているとの報道を「追い風」としてゼロ税率を推していきたいとの考えを示しました。

一方、池端副議長は、「消費税分科会は診療報酬の配分を議論する場であり、そもそも(課税ゼロ税率は)ダメだという議論になりかねない」と指摘。分科会での議論の行方次第では、ロビー活動を含め、日病協としての働きかけが必要になるとの認識を示しました。

焦点4:再生医療5品目、条件付き承認に

3点目は、中医協で議題となった再生医療関連です。保険収載に向けて5品目が申し出られ、条件付きの承認が出ていると報告されました。菅野議長は、iPS細胞を用いた再生医療について「国家戦略としての位置づけもある」としつつ、「医師・医療機関としての倫理観のもとで、患者にとって本当に安全なのかを注視していく」と述べ、今後の薬価・材料価の動向が日本の医療費全体に与える影響を懸念しました。

まとめ・今後の展望

今回の会見で示された日病協の基本姿勢は、①物価急騰時の基準改定を含む診療報酬上の対応を強く求める、②消費税問題は分科会の議論を注視しつつゼロ税率を推す、③再生医療の保険収載には倫理観を持って臨む ― の3点です。

実調は令和8年6月〜9月の4か月分を臨時調査する予定ですが、中東情勢次第では、この結果を待たずに基準改定を要求する局面も想定されます。病院経営の動向は、リハビリ部門の人員配置や設備投資にも影響することから、PT・OT・STの各職種にとっても、今後の中医協および消費税分科会の議論は注視すべきテーマとなります。

中東情勢が揺さぶる医療現場──日病協、診療報酬「追加改定」要求へ舵 消費税・再生医療も3テーマで一致

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