キャリアコンサルタントが徹底サポート

【対談インタビュー】専門家が“つながる”からこそ生まれる価値

68 posts

介護の現場には、制度だけでは解決できない"リアルな課題"が数多く存在します。

そんな中、各分野の専門家が集まり、情報発信を行っているYouTubeチャンネル「ゆるっとかいご」。前回は代表の髙橋様にゆるっとかいごの魅力と生い立ちについてインタビューいたしました。

今回はそのメンバーである、司法書士の村山先生と、介護支援専門員の佐賀様に、各々のお仕事内容と現場のリアルと活動の価値について語り合っていただきました。

左 司法書士 村山 様  右 介護支援専門員 佐賀様

個別インタビュー① 佐賀様(介護支援専門員)

「視聴者」から「メンバー」へ

三橋
まず、ゆるっとかいごに関わったきっかけを教えてください。
佐賀様
もともと私はケアマネジャーとして、勉強になるYouTubeを探していて、「ゆるっとかいご」を視聴者として見ていたんです。その中で村山先生の動画なども見ていて、「すごく分かりやすいな」と感じていました。その後、「未来をつくる介護カフェ」で高橋さんと出会い、お声がけいただいたのがきっかけです。正直、かなり舞い上がりましたね(笑)。
三橋
出会うべくして出会った仲間ですね。素晴らしいです。

引き出しが増えることで、現場が変わる

三橋
実際に関わってみて現場の変化はいかがでしたか?
佐賀様
一番大きいのは「引き出しが増えたこと」です。司法書士、介護士、元行政職員、看護師、社会福祉法人の方など、それぞれの専門家の視点があるので、同じテーマでも見方が全然違うんですよね。その知識を現場の利用者様やご家族に還元できているので、まさに"三方よし"の状態になっています。さらに、利用者様に「このYouTubeを見てください」と自信を持って言えるようになったのも大きいです。以前は「専門家としてどうなんだろう…」と遠慮がありましたが、今はむしろ最適な情報提供ツールになっています。

介護の"隙間"を埋める仕事 ケアマネが見ている「本当の困りごと」とは

三橋
佐賀様の現在のお仕事について教えてください。
佐賀様
メインは居宅介護支援で、ケアマネージャーとして担当の利用者様のお宅を毎月訪問し、ケアプランを作成しています。ただ、年々制度改正もあり、サービスの体系が変化する中で、利用者様に合った選択肢を丁寧に探すことがより重要になっています。地域によってはサービス事業所自体が減ってきている現状もあります。

制度では埋められない「生活の現実」

三橋
現場で感じる課題はどのあたりにありますか?
佐賀様
一番大きいのは、「生活そのものを支える部分が制度ではカバーしきれない」という点です。例えば、ご家族の分の掃除や洗濯、食事の準備、ペットの世話といったことは、介護保険では対応できません。
三橋
確かに、そこが一番大変な部分ですよね。
佐賀様
そうなんです。実はおむつ交換や入浴介助よりも、家事の方が圧倒的に負担が大きいケースが多いんですよね。

解決策としての「自費サービス(家政婦)」

佐賀様
そこで私たちは、家政婦による自費サービスなどもケアプランに組み込んでいます。週2回の掃除・洗濯、買い物や調理、柔軟な生活支援、こういったサービスを組み合わせることで、初めて"生活が回る状態"を作ることができます。
三橋
費用感はどのくらいでしょうか?
佐賀様
週2回の利用で、月8万円前後です。決して安くはないですが、その分ご家族の負担軽減、生活環境の改善、精神的ストレスの軽減につながります。

資料 佐賀唯衣子 様 提供

ご家族の負担は「見えないストレス」

三橋
現場で特に感じることはありますか?
佐賀様
ご家族の負担は、目に見えないストレスとして蓄積していきます。例えば「片付けなきゃいけない」「やらなきゃいけない」と思いながらできない状態が続くと、自己否定や疲労につながるんです。
三橋
非常にリアルですね…。
佐賀様
はい。だからこそ、"家事を外注する"という選択が、生活全体を救うこともあると感じています。

印象に残っているケース

三橋
印象的だったケースはありますか?
佐賀様
ご家族関係が崩れかけていたケースですね。介入して生活が整い、遠方のご家族が来るたびに状況が改善していった結果、「家族全員の命を救ってもらった」と言っていただけたことがあります。ケアマネの役割は、単にサービスを組むことではなく「ご本人・ご家族の想いを形にすること」だと思っています。
三橋
どのように形にしていくのでしょうか?
佐賀様
例えば、ご家族の中には「本当はもっと関わりたい」「何かしてあげたい」という想いがあっても、それをうまく表現できないことがあります。それを拾い上げて、最適な形にするのもケアマネの仕事です。介護が終わった後に「もっとできたんじゃないか」と後悔するご家族は少なくありません。だからこそ"関われる余地"を残したケアプランを作ることが大切だと思っています。
三橋
私たちも常日頃からケアマネジャー様にお世話になっておりますが、ご家族の想いを拾い上げて現場で活躍する姿がとてもカッコ良いと思います。

個別インタビュー② 村山様(司法書士)

「共通の想い」から始まったプロジェクト

三橋
村山先生はゆるっとかいごにどのように関わりましたか?
村山様
ゆるっとかいごの立ち上げメンバーは3名で初期に私がジョインしました。「もっと情報を届けたい」という共通の想いがあって、コロナをきっかけにYouTubeに移行しました。

"分かりやすさ"を追求した結果

村山様
YouTubeで一番良かったのは、「伝え方が圧倒的に磨かれたこと」です。代表の髙橋さんから「それじゃ分からない」とバシバシ言われるので(笑)、一般の人に伝わるレベルまで内容を削ぎ落としていく必要があるんです。その結果、セミナーの質も大きく上がりました。

専門家同士の"即相談できる環境"

村山様
もう一つ大きいのは、専門家同士で気軽に相談できることです。生活保護なら詳しい専門家へ、介護はケアマネへ、といった形で、すぐにリアルな答えが得られる。これは現場では非常に価値があります。

介護と密接な関係の「家族信託」とは? "まだ間に合ううちにやる"という選択肢

三橋
村山先生の専門領域でもある「家族信託」について、現場でのリアルな必要性を教えていただけますか?
村山様
家族信託って、まだまだ一般の方には「聞いたことはあるけどよく分からない」という状態だと思うんですね。ただ、現場で感じるのは「もっと早く知っていれば手遅れを防げたケースが本当に多い」ということです。
三橋
具体的にはどんなケースが多いのでしょうか?
村山様
一番多いのは、認知症になってからお金が動かせなくなるケースです。例えば、自宅を売って施設に入りたい、介護費用を捻出したい、こういう場面で、本人の判断能力がないと何も進まないんですよね。
三橋
確かに、現場でもよく聞く話です。
村山様
そうなると「成年後見制度」を使うことになりますが、後見人がつくと柔軟な資産運用ができない、ご家族の意向が通りにくいなどの制約が出てきます。その前にできるのが「家族信託」です。

"元気なうちに決める"という仕組み

村山様
家族信託は簡単に言うと「元気なうちに、財産管理を信頼できる家族に託しておく仕組み」です。例えば、親が元気なうちに「この不動産は子どもに管理を任せる」と決めておけば、将来認知症になってもスムーズに動かせます。
三橋
まさに"事前準備"ですね。
村山様
そうですね。ただ、日本はどうしても「まだ元気だから大丈夫」と先送りしてしまう文化があるので、結果として間に合わないケースが多いです。

YouTubeが"気づき"を生む

三橋
ゆるっとかいごでの発信は、この分野にも影響ありますか?
村山様
かなりあります。動画を見て「初めて家族信託を知りました」「今のうちにやらなきゃと思いました」という方からの相談が増えています。実際に、そのまま依頼につながるケースも多いです。
三橋
情報が"届くべき人に届いている"感じですね。
村山様
そうですね。しかも、動画を見てから来るので、ある程度理解した状態で相談に来ていただける。これはすごく大きいです。

資料 村山澄江 様 提供

介護と「お金」の問題は切り離せない

佐賀様
現場でもすごく感じます。介護って結局、「お金」と切り離せない問題なので、施設に入るか、在宅で続けるか、こういった選択にも大きく関わってきます。
村山様
そうなんですよ。だからこそ、ケアマネさんや現場の方にも「家族信託」という選択肢を知ってほしいと思っています。
三橋
まさに"早く知ることが価値"ですね。

■対談パート「ゆるっとかいごのチーム力!」

三橋
皆さん本当にバランスの良いチームですよね。
村山様
大きいのは「ギブの精神」です。利益目的ではなく、純粋に情報提供したい人だけが集まっている。だから崩れないんです。
佐賀様
確かに、誰かが得をしようとすると、このバランスは崩れますよね。
三橋
それぞれの専門性が活きているのも特徴ですよね。
村山様
そうですね。しかも"リアルな現場の知識"がある人ばかりなので、AIや本では分からない「実際どう動いているか」が共有できるのが強いです。
佐賀様
ケアマネとしても、「何でも相談される立場」なので、この環境があることで自信を持って対応できるようになりました。
三橋
まさに「専門家の集合知」ですね。

「シャドーワーク」という言葉について

三橋
最近よく「シャドーワーク」という言葉を聞きますが、お二人はどう感じていますか?
村山様
この前の勉強会でも「それってシャドーワークですか?」って聞かれました。確かにそう見える部分もあるんですが、佐賀さんのような動きって、単なる"余計な仕事"というよりは、自分の知識として積み上がっている部分も大きいと思うんです。
佐賀様
私はあまりシャドーワークって意識していなくて、目の前の人のために必要なことをやっているだけなんですよね。
三橋
現場では「負担になるのでは?」という声もありますよね。
村山様
でも実際は逆で、何も知らずにトラブルが起きてから対応する方がよっぽど大変です。事前に少し知っているだけで、その後がかなり楽になります。
佐賀様
一度経験してしまえば、次は同じことを調べなくていいので、結果的に効率は上がります。
三橋
全部を深く知る必要はない、ということですか?
佐賀様
はい。全部理解する必要はなくて、「ここはこの人に繋げばいい」とわかっていれば十分です。実際、お願いできる先が増えて、ケアマネとしての業務負担感はむしろ減っています。
三橋
それは現場のイメージと逆ですね。
佐賀様
そうですね。「増える」より「楽になる」が近いです。専門家へのトスアップの方法を知ることでどんどんケアマネ業務が楽になるのを感じます。
三橋
素晴らしいですね。ぜひ現場の方のシャドーワークのイメージが変わるといいですね。専門家と繋がっていて助かったケースはありますか?
村山様
友人が「親が倒れたから仕事を辞めるべきか」と悩んでいたとき、佐賀さんに相談したら「辞めなくていい、遠隔でできることがある」とアドバイスをもらえました。結果的に、その友人は仕事を辞めずに済みました。
三橋
大きな違いですね。
佐賀様
私自身も、「どこまで自分がやるか」「どこから専門家に頼むか」が分かるようになって、すごく動きやすくなりました。

この記事を読んでくださる方へ メッセージ

三橋
最後に、この記事を読んでくださる方へ一言ずつお願いします。
村山様
私のミッションは、「介護や相続の"まさか"をなくすこと」です。知らなかったことで困る人を減らしたい、そのためにはやっぱり"予防"が一番大事だと思っています。だからこそ、少しでも知ること、そして必要な人に繋がることを大切にしてほしいですね。
佐賀様
私からは、「一人で解決しないでください」とお伝えしたいです。これはご家族だけじゃなくて、私たち専門職も同じで、一人で抱え込む必要はないと思っています。一つ繋がれば、そこからどんどん専門家と繋がっていくので、まずは誰かに相談すること。そして自分自身も、その"最初のつなぎ役"になれたらいいなと思っています。
三橋
最後まで素晴らしいコメントありがとうございます。お二人のお仕事内容から向き合う姿勢、ゆるっとかいごの魅力をより理解することができました。本日はありがとうございました!

今回の対談から見えてきたのは、単なる情報発信ではない「構造的な価値」でした。専門家同士がつながることで知識が拡張し、現場に即したリアルな情報が共有される。発信が信頼となり、自然と仕事につながる。そして何より、ご家族・ご本人・専門家の"三方よし"が実現する。

「ゆるっとかいご」は、単なるYouTubeチャンネルではなく、素晴らしい価値を提供している専門家の集合体です。ぜひ皆様の学びの一つにゆるっとかいごのYouTubeをご覧ください。

URL:https://www.youtube.com/@yuruttokaigo

司法書士 村山澄江 様
認知症サポーター、経営心理士、承継寄付診断士
司法書士村山澄江事務所(東京都千代田区外神田2丁目18番5号光洋ビル3F)代表
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員/簡裁訴訟代理関係業務認定会員

1979年名古屋生まれ。2003年司法書士試験合格後、2010年に独立開業。祖母との思い出を原点に、高齢者家族の支援に力を注ぐ。成年後見や家族信託などを通じて、これまでに1,500件を超える相談に対応。介護や相続の「まさか」をなくすことを使命に、高齢社会の課題解決に取り組んでいる。経済産業省「OPEN CARE PROJECT」に参画し、日経新聞などメディア取材も多数。著書に『今日から成年後見人になりました』『認知症に備える』(自由国民社)がある。

佐賀唯衣子 様
有限会社ハートフルケアサービス 居宅介護支援事業所 管理者/主任ケアマネジャー/品川区認知症地域支援推進員/佐賀家政婦紹介所 代表取締役

品川区で介護職として26年、うち13年はケアマネとして在宅介護を支援。自身の父の在宅介護経験から、「家族介護」に悩む家族に寄り添う活動を展開している。品川区認知症家族勉強会運営のほか、家族介護者を応援するYouTube「ゆるっとかいご」に出演中。

【対談インタビュー】専門家が“つながる”からこそ生まれる価値

Popular articles

PR

Articles