厚生労働省は5月21日、令和8年度診療報酬改定に関する疑義解釈資料(その6)を発出しました。6月1日の施行まで2週間を切ったタイミングでの公表で、別添1(医科)に問1〜22、別添2(歯科)に問1、別添3(訪問看護療養費)に問1〜3、別添4として「疑義解釈資料の送付について(その4)」(令和8年4月21日事務連絡)別添1の問14の訂正が示されています。リハビリテーション専門職の実務に関わる内容も複数含まれており、本稿では早期リハビリテーション加算の起算日ルール(別添1問16・問17)、地域包括ケア病棟入院料のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の医師研修要件(問11)、がん患者リハビリテーション料の医師経験要件(問18)、退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーションの併算定(問14)を中心に整理します。
早期リハビリテーション加算──起算日が「入院日」に変更されたことを受けた3パターンの運用整理(問16・問17)
令和8年度診療報酬改定では、早期リハビリテーション加算の起算日が「発症日等」から「入院日」に変更されました。今回その6では、入院後に疾患別リハビリテーション料の起算日が切り替わった場合の取り扱いが、3つのパターンで整理されました。
1つ目は、同一医療機関に入院を継続している場合です。問16では、入院中に異なる疾患の発症や急性増悪等を契機として疾患別リハビリテーションの起算日が切り替わっても、早期リハビリテーション加算の起算日は当初の入院日から変更されないことが示されました。
2つ目は、転院・再入院した場合です。問16の後段では、疾患別リハビリテーションの起算日切り替えの契機となった新たな疾患の発症等のために、入院中の患者が転院した場合、または退院していた患者が再入院した場合には、転院日または再入院日を早期リハビリテーション加算の起算日とすることが示されました。
3つ目は、外来で疾患別リハビリテーションを実施していた患者が急性増悪等で入院した場合です。問17では、外来で疾患別リハビリテーションを実施していた患者であっても、入院の契機となった疾患により疾患別リハビリテーション料の起算日が切り替わる場合、早期リハビリテーション加算の対象疾患の要件を満たせば、入院日を起算日として早期リハビリテーション加算を算定できることが示されました。
早期リハビリテーション加算の起算日については、その2(令和8年4月1日事務連絡・4月9日一部訂正)の問70で、令和8年5月31日以前に入院した患者の起算日と算定可能日数の取り扱いとして、①5月中に算定開始・6月1日時点で起算日から14日以内の場合、②5月中に算定開始・15日目以降の場合、③6月1日時点で未算定で改定前後の起算日が異なる場合、という3パターンが既に整理されています。今回のその6問16・問17は、改定後の起算日(入院日)を運用する際の追加論点に関する整理であり、両者を併せて確認する必要があります。
リハビリテーション・栄養・口腔連携加算──地域包括ケア病棟入院料 注14の医師研修要件が明示(問11)
令和8年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟入院料の注14に掲げるリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の施設基準では、常勤医師が「適切なリハビリテーション、栄養管理、口腔管理に係る研修」を修了していることが求められています。問11では、この研修に該当する具体例が示されました。
現時点で該当する研修は以下の2本です。
・日本リハビリテーション医学会「急性期病棟におけるリハビリテーション診療、栄養管理、口腔管理に係る医師研修会」
・日本リハビリテーション病院・施設協会「包括期病棟におけるリハビリテーション・栄養・口腔の一体的取組に係る医師研修会」
あわせて、地域包括ケア病棟入院料の注14の施設基準に係る研修においては、地域包括ケアシステムの中核的な役割を担い、生活の場への復帰について密に取り組む観点から、施設基準に定められた内容のほかに、医療と介護の複合ニーズを有する患者の緊急入院に際した早期からのリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的取組、維持期のリハビリテーションや生活の場への復帰のための実践的なケアの方法、介護保険のリハビリテーションへの移行や医療介護連携(通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションとの連携、これらのサービスを提供する施設に対する情報提供を含む)といった内容を含むことが望ましいとされました。
地域包括ケア病棟入院料の注14のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の医師研修要件としては、上記2本のいずれも該当する整理です。研修名称が「急性期病棟における」「包括期病棟における」と異なりますが、地域包括ケア病棟の注14加算の届出に当たっては、どちらの研修受講歴でも要件を満たすことが確認されました。
がん患者リハビリテーション料──廃止されたADL維持向上等体制加算の研修受講歴は引き続き有効、A233研修も該当(問18)
がん患者リハビリテーション料の施設基準では、専任の医師について「リハビリテーションに関して十分な経験を有すること」が求められており、平成22年3月29日事務連絡の疑義解釈資料(その1)別添1問134において、十分な経験の例として「リハビリテーション医学会等関係団体が主催するリハビリテーション医学に関する研修の受講歴」が挙げられていました。具体的には、日本リハビリテーション医学会主催の「急性期病棟におけるリハビリテーション医師研修会」等の、ADL維持向上等体制加算の要件として認められていた研修が該当するとされていました。
ADL維持向上等体制加算は令和6年度診療報酬改定で廃止されたため、過去に受講した研修の有効性が論点となっていました。問18では、過去にADL維持向上等体制加算の要件に係る研修として認められていた研修の受講歴は、引き続きがん患者リハビリテーション料の医師の経験に係る要件として有効であることが示されました。
あわせて、令和6年度診療報酬改定で新設された「A233」リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の医師要件である研修は、過去のADL維持向上等体制加算の研修内容を包含するものであるため、同様にがん患者リハビリテーション料の医師経験要件を満たすものと考えて差し支えないとの整理が示されました。
退院前訪問指導料──患家訪問中に疾患別リハを別時間で実施した場合は併算定可(問14)
問14では、「B007」退院前訪問指導料について、患家の訪問中に、当該患者またはその家族等に対して退院後の在宅での療養上必要と考えられる指導を行った時間とは別の時間に疾患別リハビリテーションを実施した場合、退院前訪問指導料とは別に疾患別リハビリテーション料を算定することが可能であることが示されました。
ただし、医療機関外で実施できる疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数を超えないことが条件とされています。患家での退院前訪問指導と疾患別リハビリテーションを同一日に実施する場合、両者の実施時間を明確に区分し、医療機関外の単位数上限の管理を行う必要があります。
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地域包括ケア病棟入院料+看護・多職種協働加算の経過措置(問12) 平成26年3月31日時点で10対1入院基本料等を算定していた病院では、地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている期間において、7対1看護配置の入院料および看護・多職種協働加算に係る届出を行っている場合の急性期病院B一般入院料・急性期一般入院料4の届出を行うことができないとされています。問12では、現に地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている病院において、新たに地域包括ケア病棟入院料の届出を行わない場合の取り扱いについて、平成26年3月31日時点で10対1入院基本料等を算定していた病院であって、令和8年3月31日時点で「A308-3」地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている病院については、新たに別の病棟で地域包括ケア病棟入院料を届け出ない場合に限り、急性期病院B一般入院料または急性期一般入院料4を算定する病棟において看護・多職種協働加算の届出が可能であることが示されました。看護・多職種協働加算は、その2問36で看護職員のみによる算定可否が整理された項目で、地域包括ケア病棟と急性期一般入院料の病棟を併設する病院での新規届出可否を確認する論点です。
精神科リエゾンチーム加算──「認知症又はせん妄の場合」と「それ以外の場合」のいずれか週1回(問7) 令和8年度改定で見直された精神科リエゾンチーム加算について、「1 認知症又はせん妄の場合」と「2 それ以外の場合」のそれぞれを週1回算定できるのか、両者のうちいずれかを週1回算定できるのかが論点となっていました。問7では、1と2のいずれか一方を週1回に限り算定することができることが示されました。精神科リエゾンチームにはリハビリテーション部門の職員が参画するケースもあり、算定回数管理上の論点として把握が必要です。
その4 別添1問14の訂正(別添4) その6では別添4として、「疑義解釈資料の送付について(その4)」(令和8年4月21日事務連絡)別添1の問14が訂正されました。当該問は地域医療体制確保加算2の施設基準における「臨床研修終了後の研修を地域の他の保険医療機関と連携して行うなど、地域で協働して医師の育成を図るための取組」の具体例に関するもので、専門研修基幹施設・連携施設としての連携実施、hands-onセミナーやカダバートレーニング等の実技研修機会の設定、指導医派遣、専門研修修了後の若手医師受け入れの4類型が示されました。リハ職の業務に直結する内容ではありませんが、その4で示された問番号の取り扱いが変更された点として、医師育成体制を施設基準とする加算の運用上の整理事項です。
まとめ・今後のスケジュール
疑義解釈その6では、6月1日施行を2週間後に控え、早期リハビリテーション加算の起算日ルールが「同一機関入院継続」「転院・再入院」「外来→入院」の3パターンで整理されたほか、地域包括ケア病棟のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算の医師研修例示、がん患者リハビリテーション料の医師経験要件における過去研修の継続有効性とA233研修の包含、退院前訪問指導料と疾患別リハビリテーションの併算定可否といった、リハ専門職およびリハ部門管理者の実務に直結する論点が示されました。
改定施行は令和8年6月1日。その1別添1の問29で示された回復期リハビリテーション病棟入院料における高次脳機能障害患者への情報提供体制の経過措置(令和8年12月31日まで)、その2別添1の問70で示された早期リハビリテーション加算の起算日に関する経過措置(令和8年5月31日以前入院患者の3パターン)と併せて、6月の運用開始に向けた確認を進める必要があります。今後も追加の疑義解釈が示される可能性があり、引き続き注視が必要です。
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