千葉豪雨で介護報酬に災害特例 訪問・通所リハの加算要件を柔軟に

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令和8年8月千葉豪雨を受け、厚生労働省老健局が介護報酬等の柔軟な取扱いを整理した事務連絡を発出しました。移行支援加算やリハビリテーションマネジメント加算が名指しで例示され、通所リハの入浴介助加算にも特例が示されています。

厚生労働省老健局は8月14日、令和8年8月13日からの大雨に伴う災害を受けて、介護報酬等の柔軟な取扱いを整理した事務連絡を発出しました。人員が確保できずに算定要件を満たせなくなった場合の例として移行支援加算が、定期的な会議を開けなくなった場合の例としてリハビリテーションマネジメント加算が、それぞれ名指しで挙がりました。浴槽が使えなくなった通所リハビリテーションでも、利用者のニーズを確認したうえで清拭や部分浴を提供していれば、入浴介助加算を算定できます。

千葉県21市4町に災害救助法 高齢者関係施設は41か所が被災

内閣府がまとめた発災直後の被害状況(8月14日11時現在)に、気象庁情報として経緯が記されています。千葉県では13日夕方以降に積乱雲が組織化して線状降水帯が発生。14日6時までの24時間降水量は県内で200ミリを超え、千葉市では観測史上1位を更新する360ミリ超を観測しました。13日19時30分から14日5時15分にかけて、レベル5の大雨特別警報と土砂災害特別警報が広い範囲に発表されています。

その後の被害状況(8月17日10時現在)によると、人的被害は死者10人(うち災害関連死1人)、行方不明2人、負傷者29人。住家被害は全壊2棟、半壊11棟、床上浸水709棟、床下浸水790棟、一部破損29棟の計1,541棟です。避難所は8自治体19か所に72人が身を寄せています。数値はいずれも速報値で、今後変わる可能性があります。

災害救助法は千葉県の21市4町に適用されました。千葉市、市川市、船橋市、館山市、松戸市、茂原市、佐倉市、東金市、習志野市、柏市、市原市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、四街道市、八街市、印西市、白井市、大網白里市、白子町、長柄町の19市2町が8月13日に公示され、富里市、山武市、印旛郡酒々井町、山武郡九十九里町の2市2町が8月14日に公示されています。法適用日はいずれも8月13日です。

被災した施設の数は、厚生労働省情報として同じ資料に載っています。医療施設は最大25施設で、8月17日9時時点は5施設。高齢者関係施設は最大41施設・現在38施設で、このうち床上浸水が24施設を占めます。障害者関係施設は最大21施設・現在19施設。こども家庭庁情報として、障害児施設10施設からも被害の報告が上がっています。

内閣府「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(令和8年8月17日10:00現在)」をもとに編集部作成

避難所で提供した居宅サービスも算定できる

事務連絡は、老健局の高齢者支援課、認知症施策・地域介護推進課、老人保健課の3課連名で出されました。被災地域が広範に及び緊急的な対応が必要であることを理由に挙げ、冒頭で「以下に示す取扱いは例示であり、その他の柔軟な取扱いを妨げるものではない」と断っています。

各サービス共通の項目では、避難所や避難先の家庭等で生活している要介護者・要支援者に居宅サービスを提供した場合も、介護報酬の算定が可能とされました。提供にあたっては市町村、地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業所等との連携を図り、できる限りケアプランに沿って必要な介護サービスを確保するよう努めることが求められています。

事業所が被災したり避難者を受け入れたりして、やむを得ず居室以外の場所で利用者を処遇した場合も算定できます。食堂、静養室、地域交流スペース等が例示されました。ただし本来処遇すべき場所以外でのサービス提供が長期的に行われることは適切でないとして、受け入れ先の確保に努めるよう求めています。

要介護認定については、被災して他の市町村に避難した人が新たに介護を必要とした場合、避難先の市町村が事務を代行し、事後的に避難元へ報告する取扱いが認められます。被保険者証を提示できない場合の扱いは別の事務連絡で示され、氏名・住所・生年月日・負担割合を申し立てることで、提示したときと同様のサービスを受けられます。

人員基準を満たせない場合 移行支援加算とリハマネ加算が例示に

職員の確保が困難になるなどして人員基準や加算の算定要件を満たせなくなった場合は、利用者の処遇に配慮することを前提に、当面の間、柔軟な取扱いを行って差し支えないとされました。人員基準欠如に係る減算は適用しないで差し支えありません。被災地以外の地域から被災地に職員を派遣したことで一時的に人員が不足した場合も同様です。

この項目で例示された加算に、リハビリテーション関連が2つ含まれています。移行支援加算(訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション)と、中重度者ケア体制加算(通所介護・通所リハビリテーション)です。ほかに認知症加算、認知症専門ケア加算、認知症チームケア推進加算、特定事業所加算、サービス提供体制強化加算、個別機能訓練加算が並びます。

運営基準を満たせなくなった場合の項目には、リハビリテーションマネジメント加算(訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション)が挙がりました。加算の要件になっている定期的な会議の開催が困難になったときは、適切な情報連携に努めることを前提に、当面の間、柔軟な取扱いが可能とされています。サービス提供前の文書による指示と提供後の報告を要件とする加算について、被災を要因として適切な指示・報告ができなかった場合も同じ扱いです。

事務連絡はこれらの加算名について、あくまで例示であり、一定の人員配置等を要件とする他の加算に同様の取扱いを妨げるものではない、と注記しています。挙がっていない加算が対象外になるわけではありません。

利用者側の変動にも触れています。避難者や新規利用者を受け入れて利用者の数・構成が変わり、要件を満たせなくなった場合は、災害に伴って新規に受け入れた利用者数を除外する等の扱いが可能です。定員超過利用に係る減算は適用しないで差し支えないとされました。被災地域以外の事業所が避難者を受け入れた場合も同様です。

浴槽が使えない通所リハ 清拭・部分浴でも入浴介助加算

サービス類型別の項目では、通所介護・通所リハビリテーション・認知症対応型通所介護・地域密着型通所介護・療養通所介護をまとめて扱っています。浴槽等の入浴設備が使用できなくなり入浴サービスを提供できなくなった場合でも、事業所が利用者のニーズを確認し、清拭・部分浴など入浴介助に準ずるサービスを提供していると認められるときは、入浴サービスを再開できるまでの間、入浴介助加算を算定できます。療養通所介護では、入浴介助を行わない場合の減算を適用しない取扱いが可能です。

月額包括報酬の対象サービスには日割り計算の道が示されました。対象には介護予防通所リハビリテーションが含まれます。事業所が休業して計画に基づく利用回数等のサービスを提供できなかった場合、算定できないとするのではなく、日割り計算による算定を行って差し支えないという整理です。算定対象日数は、月の総日数から災害の影響で休業した期間(定期休業日を含む)を差し引いた日数とされました。燃料の調達が困難で訪問・送迎に支障が生じた場合も同じ扱いになります。

ADL維持等加算については、評価対象者の初月または6月目のADL値が測定できなかった場合、その人をADL利得計算の対象外にできます。科学的介護情報システム(LIFE)に入力する「対象外とする理由」欄に、災害の影響で測定できなかった旨を記載することが条件です。

介護職員等処遇改善加算では、賃金改善の実施期間を令和8年8月以降に設定していた事業者が期間内の賃金改善を行えない場合、一時金等による事後的・追加的な改善が見込まれるなら、都道府県等の判断で期間内の改善額として扱えます。実績報告書の提出期限も、都道府県等の判断で延長が可能です。

診療報酬側は熊本地震に続く適用 範囲はDMATの待機地域で決まる

保険局医療課も8月14日付で事務連絡を出しました。マイナ保険証や資格確認書を紛失したり家庭に残したまま避難したりして提示できない場合、氏名、生年月日、連絡先、被用者保険なら事業所名、国民健康保険や後期高齢者医療なら住所を申し立てることで受診できる取扱いです。この事務連絡には、令和8年3月31日付の保医発0331第2号「災害発生時における保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて」が別添として添えられています。

保医発0331第2号は、災害ごとに個別の通知を出してきた従来の運用を改め、一定の基準を満たせば個別通知を待たずに取扱いを適用する仕組みです。適用基準は3つあります。対象となる災害は、日本DMAT活動要領Ⅳの2に定める「DMAT自動待機基準」が適用される災害。対象となる地域は、被災者の受け入れや被災地への派遣に伴う取扱いについては「DMAT指定医療機関が待機を行う地域」(対象地域)、被災地における保険診療等の取扱いについては「災害が実際に発生した地域又は特別警報が発出された地域」(被災地)です。対象となる期間は、災害発生日の属する月とその翌月とされています。

内閣府資料によると、今回は関東ブロックのDMATに自動待機基準が適用され、8月15日に千葉県以外の待機が、16日にすべての待機が解除されました。通知は「対象地域」を待機地域と定義するにとどまり、具体的な都県名を示していません。自院が該当するかどうかは、行政または所属団体への確認が要ります。

対象地域の医療機関に適用される項目には、リハビリテーション職に直接かかわる規定が並びます。被災者を受け入れて入院患者が一時的に急増した場合や、被災地に職員を派遣して一時的に人員が不足した場合、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を含む職種の数に1割以上の一時的な変動があっても、変更の届出を行わなくてよいとされています。届出を行わない場合は、その事情を記録して保管することが求められます。

「専従」として配置されている職員についても、被災地に派遣されて支援業務に従事したことのみをもって専従の要件を満たさなくなるものではない、と明記されました。特定入院料の届出病棟に診療報酬上の要件を満たさない状態の患者が入院した場合の扱いも示されており、回復期リハビリテーション病棟に回復期リハビリテーションを要する状態ではない患者が入院した例が挙がっています。この場合は当該患者を除いて施設基準の要件を満たすかどうかを判断します。

この包括通知が適用されるのは、7月28日に発生した令和8年熊本地震に続く形です。

特例が使えるのは8月と9月

診療報酬側の対象期間は、災害発生日の属する月とその翌月にあたる令和8年8月と9月です。その後も継続する必要がある場合は個別に取扱いを定めるとされています。ただし、災害救助法に基づく医療の扱い、避難所を巡回した診療、在宅医療の取扱い、仮設の建物での診療、保険薬局と訪問看護の一部の項目については、災害による事情が終了するまで適用が続きます。

介護報酬側の事務連絡は期限を明示せず、多くの項目で「当面の間」という表現を用いています。

呼び方には注意が要ります。厚生労働省は被害状況のとりまとめを第6報まで公表していますが、表題は途中で変わりました。同省のページには「令和8年8月14日より災害名称の変更があり、厚生労働省のとりまとめ報についても、8月15日のとりまとめより、名称を変更しております」と注記されています。第4報までが「令和8年8月13日からの大雨について」、第5報以降が「令和8年8月千葉豪雨について」です。8月14日付で出された一連の事務連絡の表題は、いずれも「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害」のままになっています(編集部)。

参考資料
1) 厚生労働省老健局高齢者支援課・認知症施策・地域介護推進課・老人保健課「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に係る介護報酬等の柔軟な取扱い(基準緩和等)について」(令和8年8月14日付 事務連絡)
2) 厚生労働省老健局介護保険計画課・高齢者支援課・認知症施策・地域介護推進課・老人保健課「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害による被災者に係る被保険者証の提示等について」(令和8年8月14日付 事務連絡)
3) 厚生労働省老健局介護保険計画課「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害により被災した要介護高齢者等への対応について」(令和8年8月14日付 事務連絡)
4) 厚生労働省保険局医療課「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害の被災者に係るマイナ保険証又は資格確認書の提示等について」(令和8年8月14日付 事務連絡)
5) 厚生労働省保険局医療課長「災害発生時における保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて」(令和8年3月31日付 保医発0331第2号)。同一内容の参考版が厚生労働省「災害発生時における保険診療・診療報酬関係の取り扱いについて」に掲載
6) 内閣府政策統括官(防災担当)「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(令和8年8月17日10:00現在)
7) 内閣府政策統括官(防災担当)「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(令和8年8月14日11:00現在)
8) 内閣府政策統括官(防災担当)「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に係る災害救助法の適用について【第3報】」(令和8年8月14日)
9) 厚生労働省「令和8年8月千葉豪雨について

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