助産師会の歴史
——— 日本助産師会の歴史を簡単に教えてくださいますか?
岡本先生:日本助産師会は、昭和2年大日本産婆会が創立された時期から数えると90年の歴史があります。
全県に独立した法人があり、無料電話相談などの公益事業をやっています。現在、日本で仕事に従事している助産師は35,000人ほどいて、そのうち会員は約10,000人います。
職業としての出発時から考えると、明治初期から100年以上の歴史がありります。
現在の医師法の元になっている医制が明治7年に出来た時、産婆もその法律の中に入っていました。
明治32年から別に産婆規則になりました。医師と同じくらいの歴史があります。
戦後から看護師から助産師になるという流れがアメリカからきていますが、それ以前は直接産婆になる教育制度でした。
ヨーロッパ等では現在も看護師の資格は必要なく、ダイレクト・エントリーと言って、直接助産師になれます。日本も戦前はそうでした。
その当時の試験は県の管轄になっていました。国家資格になったのは昭和23年からです。
昭和45年以前は、開業助産師による自宅出産が盛んでしたが、昭和45~50年頃になると病院・診療所に移行していきました。現在では自宅出産の割合が、約0.1%くらいです。
10年ほど前から、総合病院から産婦人科が急激に医師不足等で少なくなった時期が今でも続いていますが、自宅出産率はあまり増えていません。
その原因の背景には、やはり、高齢出産の急増によって、潜在的リスクが高いため、医師の元で出産するケースが増加しています。
助産師の開業
——— 資格取得者の増加率はいかがですか?
岡本先生:助産師の資格を取る方は増えています。
しかし、実習の関係で学生1人当たり10人程度の正常産を取り上げなければなりませんので、人数の制限がありますから急には増えません。競争率は4、5倍ですね。
需要はあるのですが、あまりにも助産師が少なく需要に追いつけていないのが現状です。看護師よりももっと足りない状況だと思います。
実は、助産師の仕事はお産だけではありません。思春期の方々へのいのちの大切さや性教育等の指導もありますし、更年期の方々への指導もあります。
女性のリプロダクティブヘルス&ライツに関わる一生涯の仕事として関わっています。
産後のトラブルのこともたくさんあり産後ケアも求められています。助産師は特に、診療所に不足しています。
——— 助産師は開業権があると伺いました。それでも、需要には足りていないのでしょうか?
岡本先生:開業はできますが、開業している助産師は、約2千人弱と多くないですよ。
入所施設を持ってお産を取り扱っている助産所も少しずつ減って、現在では約350ヶ所程度ですね。減った理由は幾つかあります。
まずは嘱託医になってくれる産婦人科医の減少です。法律的に、お産を取り扱う助産所を開業する場合、嘱託医師が必要になります。異常時の対応のための約束処方というのも必要です。
目次
[1]助産師会の歴史
[2]開業助産師の実際
[3]近年のお産について
[4]プロフェッショナルとは?