【12/1】促通反復療法(川平法)の基礎| 川平和美先生の講習会はこちら
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促通反復療法(川平法)研究所を渋谷に開設
———先生は、促通反復療法(川平法)の研究所を渋谷(東京)に開設されましたが、どういった経緯で開設したのですか?
川平先生:私は研究者、教育者として鹿児島大学で医師や医学生を指導してきました。その中でもっと効果的なリハビリテーションを開発・普及させたいと考えて、促通反復療法(川平法)や色々な治療法を考案して提唱しています。
しかし、大事なことはそれを皆さんに使って貰って、患者さんに恩恵がないといけません。そうでなければ自己満足ですよね。それで、私は大学を定年退職した後も講演や実技講習で全国各地を駆け回っています。
ですが、やはり一日の講習だけだと伝える人の数と習得度に限りがあります。だから普及促進の場として、鹿児島大学霧島リハセンターが研修生(2週間)の受け入れを始めたわけですが、後任の下堂薗恵教授が続けてくれています。
川平先生:そしてもう一つの活動拠点として、東京に促通反復療法(川平法)研究所を開いたというわけです。促通反復療法(川平法)研究所の目的は、リハ医やPT、OTにより効果的なリハの知識と技術を伝えることです。さらには、回復期病棟を退院された方(陳旧例)でもっとリハを受けたいと希望される方への治療の場でもあります。
また、その治療成績を検討して、より効果的な治療法を研究し発表することもあります。つまり、教育・診療・研究の三本を柱に据えてこのラボを作りました。
—— 今、こちらでリハを受けている患者さんは発症からかなり年月が経った方が多いですか?何か疾患の特徴はあるのでしょうか?
川平先生:リハの対象者としては、脊髄損傷、脳卒中が中心になります。その脳卒中の患者さんの中には、現在、回復期病棟に入院しているけど、専門的な治療を受けたいとのことで来られる方もいます。
しかし、基本は退院された方が中心ですね。
—— だいたい、どのくらいの治療時間になるのですか?
川平先生:1回の治療が2時間(27,000円)としています。理由は、遠方から来られる方もいるので1時間だと短いですし、1回の治療で急性効果を感じて貰うことが重要です。
その時間の中で、促通反復療法(川平法)と電気刺激や振動刺激を併用し、さらにはロボットを用いた訓練プログラムも組み、最も効率的な治療を提供しようと日々取り組んでいます。
—— 昔はどうしても、ボバース・PNFなど外国からの技術を輸入することが中心だったのですが、最近では日本の理学療法士が海外で講演したり、日本の技術を外国へ伝えている現状が徐々にではありますがみられます。川平法も世界に向けて発信していく予定なのですか?
川平先生:促通反復療法(川平法)のテキストの英訳本を出版予定ですし、中国語の紹介書籍も準備中です。ここ数年、訪中しての普及活動を進めていますし、アメリカでの臨床研究を進めています。本格的なヨーロッパやアメリカでの普及活動は若い人に任せていきたいと考えていますね。
療法士の皆さんに期待すること
—— 最後に先生から日本の療法士にメッセージをお願いします。
川平先生:私が療法士の方々へ抱く希望を述べます。とにかく色々な治療理論があり、その治療成績の報告とそれらの総決算である治療ガイドラインがあります。科学的に有効性が確認されたものの中で、どれが良いのか迷うこともあるかと思います。
だからこそ、実際にやってみてどれくらい効果があるか、患者の負担(効果/治療時間)と受け入れは良いかを経験することが重要だと思います。少なくとも二週間は同じ治療を続けてみて、効果はあるのか確認しながら、ダメならもっと他の治療はないのかと本気で考えていって欲しいです。
そうすると、その過程で得る知識や技術が増えていき、どんどんと実力が伸びていくと思います。一方で、批判的な言い方をするならば、とにかく周りをキョロキョロと見て、周りと同じことをしていればいいという考え方が一番有害です。
あるいは自分がいまできることをそのままやって、ただリハの時間が過ぎればいいと考えている療法士が一番有害ですね。もっと良いものはないかと常に模索し、文献を探したりジャーナルを読んだり、常に新しい知識や技術を取り入れて試してみることが大事なのです。
論より証拠ですね。「論より証拠」を大切にすることが、皆さんの成長に不可欠です。いくら理論を学んでも、やってみてその効果を確かめないと机上の空論に騙されます。そうして、日々たくさんのことを取捨選択していかなければ、患者さんに良い医療は提供できません。
自己満足で終わってしまうことが一番良くない。そう言った点を厳しく考えてもらって臨床にあたって欲しいと思います。日本のリハ医療の環境は、世界で一番優れていると思います。国民皆保険があって、回復期病棟があって、そして診断するためのCTやMRIなどの機器が多数あって、どこでも画像が撮れる。
そして、たくさんのPT、OT、STがいます。世界で一番恵まれた環境であり、そこで行われる医療は世界一でなければいけないのです。ところが、そうではない部分があります。
そこを、みんなが世界一であるのが当たり前だという意識でぜひ臨床を診て欲しい。あるいは知識と技術の向上を目指して欲しいと思います。
プロフェッショナルとは?
川平先生:私が考えるプロというのは、「その時代の一番良い知識・技術を習得し、それをいつでも提供できるだけの実力が備わっている人」です。常に努力する人がそうだと思います。
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川平 和美先生 ご略歴
1974年 鹿児島大学医学部 卒業
1988年 鹿児島大学医学部 リハビリテーション医学講座 助教授 (併任 : 霧島リハビリテーションセンター)
1990年 京都大学霊長類研究所 神経生理部門 留学
1991年 National Institute of Health (NIH) 留学
2005年 鹿児島大学大学院 リハビリテーション医学分野 教授
2013年 定年退職
現在:
鹿児島大学 名誉教授
鹿児島大学大学院 客員研究員
国際医療福祉大学大学院 特任教授
藤田保健衛生大学 客員教授