グアテマラの文化及びリハビリテーションの現状
(中米有数の観光地である町、世界遺産アンティグアの街並み)
こんにちは。
私は2015年7月からグアテマラ共和国に理学療法士として派遣されています。
本日からグアテマラの文化や特徴、リハビリテーションについて、現地に滞在している私の視点から少しお伝えしていきます。
グアテマラ、ときいてコーヒーを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。中米に位置しているこの国では、高原地帯ということを活かしてコーヒーの生産が盛んに行われています。中米というと暑いイメージをもたれるかもしれませんが、常春の気候で一年を通して涼しく過ごしやすい国です。
グアテマラの特色として、全人口の約半数がマヤ民族系の先住民であるということです。
彼らは現在でも、美しい民族衣装(ウィピル)に身を包み生活をしています。そして、マヤ民族の人々は各地域により異なる言語を用います。グアテマラは、スペイン語以外にも22の公用語を持つ、多文化国家なのです。
(民族衣装(ウィピル)に身を包み、伝統的織物をする女性たち)
グアテマラのリハビリテーションをお伝えする前に、
グアテマラにおける格差社会と人々の抱える問題について触れておきたいと思います。グアテマラにおける貧困率は56%と他の中南米諸国と比較しても高く、また5歳未満の児童における栄養失調率は48%と約半数に上ります。
特に、山間部に住む先住民族の人々の間では、その割合は格段に高くなります。
(グアテマラの9歳児の身長。慢性的な栄養失調は心身の発達を妨げます)
グアテマラにおけるリハビリテーション認知度
グアテマラ都市部において理学療法士の認知度は比較的高いように感じます。資格制度がいつ始まったのか詳しくはわからないのですが、近年では主要国立大・私大にて療法士のカリキュラムが積極的に組まれるなどしています(詳細はグアテマラにおけるリハビリテーション教育にて)。
一方、リハビリテーションといえばマッサージ?と聞かれるといった点は、少し前の日本と同じかもしれません。
グアテマラにおける療法士の働きかた
グアテマラでは公立私立ともに病院に療法士を設置しているところは極少数です。私が活動している県では、公立病院に一人だけ配置されており、おそらく私立病院ではリハビリテーションの概念は皆無です。
中南米全体で活動している慈善団体「テレトン」が運営するリハビリテーション施設(各県内に一箇所)が主なリハビリテーションの実施場所といえます。では育成校を卒業した療法士はどこへ行くのかというと、
①リハビリ職につかない、②知り合い等にリハビリを実施し収入を得る、③個人のクリニックを持つ、の3点が挙げられます。
医師の指示の元で、という法規制がないことも関係しているのでしょう。リハビリテーションのニーズは確実に存在する一方、貧困や栄養失調など、命に関わる問題に追いやられている印象です。
リハビリテーションのレベル
首都近郊のリハビリ施設では多様な設備、最新のテクニック等を用いているところもあるということですが、基本的にはクリニックでの整形・神経疾患の患者を対象とし、物理療法・徒手療法が中心にリハを実施しています。
総合病院においてはベッドサイドリハを少しずつ行っているようですが、これにはオーダーを出す医師の理解が圧倒的に不足しているようです。この問題は日本でも同じですね。
全体を通していえることは、徒手的な技術は積極的に学ぼうとする傾向にありますが、評価に対しての知識・興味がとても少ないということです。
まとめ
駆け足になりましたがグアテマラの文化・生活レベル的背景及びリハビリテーションについて書かせて頂きました。
現在1年以上住んでいるこの国ですが、基本的には人がとても慎ましく穏やかな国です。読んでいただいた皆様が少しでもグアテマラに興味を持って頂けたら幸いです。
ありがとうございました。
*目次
【Vol.1】グアテマラの文化及びリハビリテーションの現状
【Vol.2】グアテマラのリハビリテーション教育について
【Vol.3】グアテマラの住環境について
【Vol.4】グアテマラの福祉装具について
仲村 佳奈子 先生 ご経歴
2011年北里大学理学療法学専攻を卒業。その後4年間埼玉医科大学総合医療センター及び医療型障害児施設カルガモの家にて勤務。
2015年7月より青年海外協力隊 理学療法士隊員としてグアテマラに派遣されている。