理学療法士になったキッカケ
川内先生 手術をしてその後にリハビリテーションを受けたのが理学療法士との出会いです。
中学3年生のときにラグビーをしているときに肩を脱臼したことがありました。
整復後も、日常生活の中のちょっとしたことで脱臼するくらい、支障が出ていました。
結局、手術をすることになって、術後に理学療法を受けました。
その後、高校3年になって進路で悩んだときに、これから求められる職業ということもあり、理学療法士になろうと決めました。
川内 雅和
医療法人での通所リハビリ・通所介護の立ち上げに関与、通所リハの管理者として勤務を経験。 一般社団法人LICOS 代表理事 光プロジェクト株式会社 取締役 枚方市通所・訪問リハビリテーション連絡協議会 会長 枚方市介護認定審査員
■一般社団法人LICOS 既存の社会資源(商業施設)を、「買い物する場所」から「誰でも安心してウォーキングできる場所」へと進化させることを、企業へ提案。地域で、リハ職が活躍する未来を創ることをミッションに掲げ活動中。
■光プロジェクト株式会社 お買い物とリハビリを組み合わせた、生活リハビリ=「ショッピングリハビリ」を全国で展開。また、福祉用具の機器開発や大学と連携し、ICTを活用したソフトウェアのプロモーション支援等を行っている。
■枚方市通所・訪問リハビリテーション連絡協議会 自立支援型地域ケア会議へのリハビリテーション専門職の派遣を実施。 平成29年4月から開始される、リハビリテーション専門職による総合事業を市と共同で事業計画を作成中。
老健で感じた、ある違和感
理学療法士になって新人の頃は、法人の中で老健・急性期と異動があり、その後、通所介護・通所リハの立ち上げにも参加しました。
ただ、老健で勤めていたときに、違和感を感じたんです。
老健だと通所・入所の方を含めて200人近くリハビリを提供していくのですが、そうするといつしか「どれだけ多くの人にリハビリを提供できるか」といったような感じになっていて。
そうなってくると一人の方に対して1単位しかとれませんので、できることとなるとベッド上でマッサージや、平行棒内歩行くらいの単純な運動だけ。
ぼやっと違和感を持っていました。
ショッピングリハビリを始めた理由は
通所リハを利用されていた脳梗塞片麻痺の利用者さんが、杖歩行が何とか自立になったタイミングで、「グランドゴルフをもう一回やってみたい」と依頼がありました。
そこで私のほうから、病前から所属されていたグランドゴルフをやっていたチームの皆さんに連絡を取り、「私が付き沿うので一緒にさせてください」とお願いして、車椅子で参加してみました。
いざ連れて行くと、最初は「久しぶりやねー」って盛り上がりました。
しかし、結果的にはこの方が継続的にグランドゴルフに参加することはできなかったんです。
理由は、ゴルフ仲間から、「もう少し歩けるようになったら」とか、「もうちょっと麻痺が治ったら」と、もっとリハビリ頑張ってねっていうチームのメンバーからの励ましの声でした。
脳梗塞のこの利用者さん、急性期、回復期、生活期へとリハビリを頑張ってやってきたことで、「杖歩行でなんとか歩ける」までに回復したけど、今の身体機能でグラウンドゴルフに参加するとみんなに迷惑をかけてしまう…。こんな風に感じられていたのだと思います。
我々理学療法士は、ICFの理念を元に歩行障害がある場合には、グラウンドゴルフの「運営・管理や事務」を担ってもらえるように役割づくりを提案したりすることができます。でも、医療・介護またリハビリテーションの概念等の教育課程を経験していない一般の方々からすると、こういった提案を企画することが非常に難しいのだと感じました。
通所リハ・訪問リハなどで、活動・参加の目標を持ったプログラムを実施していますが、それを受け入れる地域側の準備も必要だと感じました
まず、自分が地域と接点をもつことから。
それでどこからよくしていくのかと考えたときに、”買い物”という当たり前に行う行為がありました。
だれでもアクセスしやすい商業施設さんに、「地域には家に引きこもっている高齢者がたくさんいる」ということを感じてもらう。
そこから始める必要があると考えて、ショッピングリハビリを始めました。
ショッピングリハビリとは?
ショッピングリハビリとは、一言で言うと買い物に特化した生活リハビリだと思っています。
例えば、買い物で棚の上のほうにあるペットボトルを取ろうとしている利用者さんがいたとします。付き添っているのがヘルパーさんだと、利用者さんがもたついたときに、手伝ってしまいますよね。
私たちはそれを、利用者さんにトライしてもらうことを重要視しています。危なかったら、立位を支えてあげたり、それをヘルパーさんに指導したりしています。
買い物自体がリハビリになります。
利用者さんにとっても、「これができてこれができない」という自己内観の機会にもなります。
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