第一回:時代は予防を求めていた【産業理学療法研究会前代表|高野 賢一郎先生】

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———先生が理学療法士になられたきっかけを教えてください。

 当時、リハビリテーションという言葉はあまり一般的ではなく、本で初めてそれを見たときには「カッコいいなー」と、素直に思いました。横文字ですからね(笑)それをきっかけに、理学療法士という資格を知るわけですが、調べると電気や水、光などを利用して治療などを使うと書いてあり、理系の私はより一層憧れました。

 

それから北九州の専門学校を卒業して、今の関西労災病院に就職することになります。

 

 

———なぜ、関西労災病院に就職されたのですか?

 都会に憧れたんです(笑)ですから最初は、東京にでも行こうと思っていました。学校の先生から、東京での就職は当時あまりないからと、ここを紹介されたわけです。蓋を開けてみれば、ちっとも都会ではありませんでしたが(笑)

 

 

就職してから、10年後にスポーツ整形ブームの兆しを感じはじめました。当時はACLを中心にスポーツ理学療法にも関わっていましたが、外来時間に来院できるスポーツマンは決して多くなく、アスレチックリハにおいては、その後が一番重要であるにもかかわらず、その場がありませんでした。

 

そこで、全国に先駆け、近隣のフィットネスクラブのトレーナーや大学のコーチ達と協力しながら、「阪神アスレチックリハビリテーション研究会」というものを立ち上げることになりました。

 

医師をはじめ、我々理学療法士、トレーナー、鍼灸師などを交え、それぞれの専門分野の話をしてもらうような講習会を開いていました。それから、しばらくアスレチックリハの普及活動を続け、全国的に広まってきた頃合いを見計らって解散する形になりました。

 

日本の企業の安全に対する取り組みが功を奏し、命に関わる労災事故が激減し、労災病院の労災患者も数%にまで減っていきました。しかし、過重労働によるVDT障害や腰痛、メタボリックシンドローム、うつ病などの疾病が増加してきました。当然ですが、この分野に対しても注力していかなければいけない時代に突入していきます。

 

そもそも、私が勤める病院は、労災と名がついているにもかかわらず、労災患者は数%しかいませんでした。当然ですが、この分野に対しても注力していかなければいけない時代に突入していきます。

 

時代は予防を求めていました。そこで11年前に勤労者予防医療センターが設立されました。同時期に全国の32箇所の労災病院に勤労者予防医療センターと勤労者予防医療部が設立され、当時39歳の私が任命されました。

 

*目次

第一回:時代は予防を求めていた

第二回:最も腰痛予防をできていない職種が医療福祉関連職員だった

第三回:今一番増えている労災事故は転倒事故

最終回:産業理学療法士になるために取得しておきたい資格

 

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高野 賢一郎先生プロフィール

略歴

・昭和59年、九州リハビリテーション大学校卒業

・同年、理学療法士として独立行政法人労働者健康福祉機構 関西労災病院リハビリテーション診療科に就職

・平成12年、阪神アスレチックリハビリテーション研究会設立

・平成16年、関西労災病院 勤労者予防医療センターに移籍
産業保健分野の理学療法士として活動

・平成23年5月産業理学療法研究会設立(H25年5月に一般社団法人化)

・平成26年4月関西労災病院 治療就労両立支援センターに異動

・現在に至る。

資格

・運動器における専門理学療法士(日本理学療法士協会認定)

・内部障害における専門理学療法士(日本理学療法士協会認定)

・作業管理士(産業保健人間工学研究会認定)

・第一種衛生管理者

・介護支援専門員

最近の研究発表              

Stiff shoulder pnd lower back pain in different occupations, and the use of exercise for their preventation;ER-WCPT congress2016

ゴルフ場における新人と熟年キャディの体力と転倒事故の調査;第64回日本職業・災害医学会学術大会2016

最近の執筆  

日本のこれからと理学療法 企業で働く理学療法士;理学療法学42巻4号 365-369;2015

産業理学療法の展開;総合リハビリテーション 43(6), 527-534, 2015;医学書院

労働災害の予防;予防理学療法学要論_第3章-6 、P151-160、2017.1.25;医歯薬出版株式会社

主催する研究会/所属学会研究会

産業理学療法研究会/産業理学療法部門、予防理学療法学会、日本職業・災害医学会

産業保健人間工学会、日本産業衛生学会、日本衛生学会、アスリートケア研究会

 

第一回:時代は予防を求めていた【産業理学療法研究会前代表|高野 賢一郎先生】

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