大久保敦子先生−ライフサイエンスの研究を行なう理学療法士(PT)−最終部

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研究をはじめるためには

POSTインタビュアー今井:「基礎研究をやりたいです」という学生さんや若手療法士はどうしたらいいんでしょうか?

大久保先生:療法士って、高校を卒業して学科を選ぶ時点で、職業を選ぶことになりますよね。ただ、養成校によっては実験環境がないところもあるので、元々やってみたいという希望があれば、そのような学校を選ぶしかないような気がします。どういう研究室があるか、どういう実験ができるのか、を調べて学校を選ぶ必要がある。理学療法士になっていく段階で興味を持った人は、その後例えば大学院で理想の研究室のあるところを選ぶというやり方になってくると思います。

インタビュアー今井:先生のように大学で教えながら研究をされる方は多いですか?

大久保先生:私が所属している大学は比較的、研究活動を教員に強制しない方です。でも大学の教員ってそもそも研究ありきの立場なんです。研究もやって教育もやるという仕事で、そこは切って離せない部分ですね。国から科学研究費を獲得することを大学側から期待される、つまり、資金を獲得して社会に役立つ研究をしてねと言われる立場です。それによって大学自体の評価も上がります。研究費を取れる教員がどれだけいるかというのは大きなアピール力になりますね。研究活動によって大学も喜んでくれるし社会貢献にもなるということで、どんどん盛り立って、競争し合っていい研究がたくさん生まれていくといいなと思います。

POSTインタビュアー今井:国から予算を頂く際に、どういう点を押さえた方が良いということはありますか?

大久保先生:国民の皆さんの税金を使わせて頂くということですから、具体性が大事になります。なぜ今その実験をやらなければいけなくて、どういう意義があって、こう進めていくから、いくら下さい、という話が必要なので、なんとなくの計画ではお金は下りません。「理学療法分野ではまだこういうことがわかっていないから、だからやらなければいけないんです」という強いアピール力が必要になります。疑問があって、解決したい気持ちがあって、組み立てるデザイン能力があって、それをアピールできる文章力があることが強みになると思います。具体的にこうしたら出来るからいくら欲しい、という交渉ができる形に慣れていかないとお金の獲得は難しいでしょうね。

インタビュアー今井:私たちの業界は保険点数が決まっていて、その中で、お金を自分で獲得できるという能力は大事なんですね。なかなか、私たちの業界は苦手な部分なのかも知れません。

大久保先生:保険点数や自分の仕事でのお給料は決まっている、しかも、社会的に診療報酬って徐々に下がってきているじゃないですか。でも、下がっているのは、自分たちが出した結果や成果を国にきちんと示すのを怠ってきた結果ではないかと感じます。意味がある治療をやっているのに、数値的な成果を示せてこなかったために地位が下がってきているのではないでしょうか。研究に携わっている人が出していくべき結果、アピールして行くべき対象として、もっと‘国’を意識するべきだったのではないかと。言い方は良くないですが、アピール下手だったのではないかと感じてしまいます。一回下がってしまった評価や地位を取り戻すのはとても大変なので、もっともっと国へのアピールが必要だったのではないかと思うし、今からでもやるべきだと思います。

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働く女性療法士について

POSTインタビュアー今井:この業界で女性が今後働いていくために女性の働き方についてどうお考えですか?

大久保先生:他の女性教員とも話すことですが、「女性療法士」としてくくるということに違和感があるという意見があります。その質問、男性には聞かないでしょ?という。「男性療法士の働き方」って話はしないですよね、という違和感。仕事人として性別を区分けをする必要はないんじゃないかという考え方の人も多くいると思います。

結婚や出産・育児でも、ライフイベントが起こることは男性だって同じじゃないかと思う人もいると思うんです。女性だから、体力がないから、守ってもらわなきゃ…という気持ちは個人的にはないです。ただ妊娠などの状況にある人に協力体制の整っている職場だといいなと思いますけどね。

難しいですよね、デリケートな部分なので。色んな考えがあると思うので、発言することが非常に難しい。そんなふうに感じるのも、教員の世界も、理学療法の世界も、男性社会だからなのかな。同じように働いているよと思うけれども、女性だからって甘く見てもらっているところも悔しいけどあったりして、自分の中でも‘女性として仕事をして行くこと’には、プラスとマイナス、両面の気持ちがあるように思いますね。

インタビュアー今井:先生ならではの視点ですね。白も黒もということではなくてグレーゾーンがある。間、中間が重要なんだよってことですね。条件によって変わってしまうということを理解する必要があると個人的には思います。

大久保先生:これだけ、人の中で仕事をしなければいけない環境で、色んな人がいる中で、自分の立ち位置をどうするべきか。個人的には、この仕事には‘柔軟さ’が必要だと感じています。患者さんとも、学生さんとも、教員仲間とも、違う職種の人とも、上手にやって行かなければいけない。なので、状況に応じて柔軟に表出の形を変えることは必要。でも、大切なのは、自分のぶれない‘核’の部分があること。それさえあれば、別に相手が男性でも女性でも、教員でも学生でも、年上でも年下でも、ちゃんとやって行けるのではないかと思います。

だって、人がいて、必要とされる立場があって成り立っている仕事ですから。ある程度の柔らかさが必要な職種なのではないかなと思います。

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 大久保 敦子先生経歴

帝京平成大学 健康メディカル学部 理学療法学科 講師 最終学歴:広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 主な研究項目:理学療法学,分子生物学 主な研究業績: ・動画で学ぶ関節可動域測定法「ROMナビ」増補改訂第2版 /有限会社ラウンドフラット/共著/2013.06 ・物理的環境下における筋芽細胞の分化応答 /バイオメカニズム学会誌 Vol.27,No.2,p72-75/共著/2003.05 ・Physical stress by magnetic force accelerates differentiation of human osteoblasts(査読付) /Biochem Biophys Res Commun Vol.311,p32-38/共著/2003.08 ・Clinorotation prevents differentiation of rat myoblastic L6 cells in association with reduced NF-kappa B signaling.(査読付) /Biochem Biophys Acta Vol.1743,p130-140/共著/2005.03 ・Expression of MicroRNA-146 in Rheumatoid Arthritis Synovial Tissue(査読付) /Arthritis&Rheumatism Vol.58、p1284-1292/共著/2008.05
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