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単筋エクササイズブーム
中村先生 インバランスが原因で肩関節にインピンジメントが生じ痛みを訴えている人に対して、カフエクササイズをするのは常識ですが、僕は疑問に思っています。普段からカフエクササイズのような運動を日常生活で行っている人なんていませんよね。でも、問題なく過ごしている人もいっぱいいます。
その人はカフエクササイズをしていなかったから、インピンジメント障害が起きたのでしょうか。後療法ならいざ知らず、保存療法で単筋のエクササイズを指導するのはどうも違和感があります。
前にも腸腰筋ブームがあり、足を高く上げて歩く運動がテレビで取り上げられて流行った時期もありました。ただそんな筋肉の使い方をすることは日常生活ではまずありません。
医療業界に10年くらい勤めていると、なんとなくそういうことに麻痺するというか、みんながしているからいいだろうみたいな部分がありますね。理学療法士は原因を考えずに起こっている機能障害だけで人を捉えがちな傾向があると思います。
研修を受ける側の問題
中村先生 前はPNFやメイトランドコンセプトなどの研修に10万20万払って参加するのが当たり前の時代でした。ボーナスつぎ込んでましたね。内容もよくわからずチラシ紙切れ一枚で申し込みをしていましたし、その研修に関する情報もSNSなどもありませんでしたから受けた人からの直接の口コミのみでした。
今はいろいろ丁寧すぎて、ネットを見ればたくさんの情報が溢れています。そうなってくると受講生は甘えてきますよね、確実に。
丁寧にするほど、与えられるのが当たり前になって、受け身の姿勢になっていきます。研修を受ける側がそんな感じでは理学療法士の質は下がっていく一方だと思います。あと、説明が丁寧な先生が”良い”先生で、受講生が理解できなければ”悪い”先生になってしまっていますが、それもおかしい話です。
理解できないのは受講生側の勉強不足な部分が大きいと思います。勉強は自分で本を買って読んで、臨床で模索してそれでも分からないことがあるから研修に行くのであって、配布資料を貰って喜んでいるような人の成長はそこそこでしょうね。
今は、すぐに答えを欲しがる方たちが増えたように思います。妊娠について学んだら妊婦がわかるのかって話です。
いろいろ聞いてみると「分かりません」とすぐ答えますが、何が分かっていて何が分からないのかということが言えないので、教える側も困ってしまいます。そういう姿を見ていると、「これは伸びないだろうな」と思います。
“なんちゃって理学療法士”の増加
中村先生 私は今、病院やクリニックで働いているわけではなく、スタジオで働いています。仕事の対象は”患者さん”ではなく”一般人”なので、理学療法士業界に対してどうこうしようとかいう考えはなくなりました。
理学療法士という資格に信頼して仕事を依頼しているわけではなく、”私”や”会社”に信頼をして依頼してくれているので、「理学療法士業界に対して何かしなくては」という思いは全然ありません。
理学療法士の方はよく「理学療法士の○○です」と自己紹介しますが、資格に頼って生きているように感じ、危険なことではないかと思っています。例えば、テレビに出ている料理人は”調理師免許”持っていますが、「調理師の◯○です」なんて言いませんよね。
”料理人”という名称が資格を超えているのです。
せっかく医療人なのだから、理学療法士ではなくて”治療家”という肩書きの方がプライドがあってカッコイイとは思いませんか?今は、2,3年目くらいの理学療法士が”理学療法士”ということを前面に出してセミナーをやったりしていますが、いったい何を教えられるのかな思います。
僕らの時代は5年目で勘違いして天狗になり、10年目で謙虚さが出ると習いました。実際に僕もそうでした。数年の臨床経験者が医師で大腕振ってるのを見たことがありますか?今のPTの現状はかなり異常だと感じます。逆にいえば年配者の威厳がないのです。技術より政治を重要視しているからです。
やはり医師は何と言っても医術がものを言います。オペの下手な方が外科の教授にはならないですね。
理学療法は技術がイマイチでも論文や肩書きがよければ上に立ってしまいます。専門制度も患者をどれくらい直したかではなく、論文や学会にどれくらい出たかが評価されるところからもよくわかりますね。
このままいくと、”資格にすがるなんちゃって理学療法士”がますます増えていくんだろうなと思っています。
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中村尚人先生 プロフィール
株式会社P3 代表取締役
身体と心の運動に取り組み、予防医学の実現を目指すヨガ講師
理学療法士として医療・介護分野にて臨床経験を積む中で、病気になってからよりも、病気にならないようにする事の重要性に気付き、予防医学の実現のためにヨガとピラティスのスタジオを立ち上げる。自らまとめ上げたピラティスメソッドやウォーキング法の指導者育成をはじめ、執筆活動、各種講演、日々の運動指導に携わる。