#4 アメリカの理学療法士のお金事情|青柳 洪作先生【世界で発見!こんなところに療法士】

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学費について 

まともに払うことになればとても高いです。そしてPrivateスクールの方がPublicスクールよりも一般的に高いです。

 

各大学院のサイトにそれぞれ授業料は明記されていますので、調べることができます。

ちなみに私の場合は以下となります。

 

イリノイ大学シカゴ校(Public大学院:MSコース)

単位数によりTuition Range(授業料の範囲)がI~IVつに分かれており、少なくとも始めの1年はRange II以上となります。その大学院がおかれている州出身の学生はIn State Tuitionをとなり各段に安いですが、当然留学生はOut State Tuition。

 

各セメスターでRange Iで$11,860+キャンパス使用手数料($600)ほどかかります。Range IIだと$7,907+キャンパス使用手数料。

 

FallとSpringセメスターで約$25,000(約280万円)それにSummerもクラスをとるとなると+$7,000、つまり1年間の合計で$32,000 (約360万円)となります。

 

カンザス大学メディカルセンター(Public大学院:PhDコース)

単位数によりますが、私の1年目の授業料はFallセメスター:$5,301、 Spring セメスター: $3,780、 Summerセメスター: $3,570でした。つまり1年間の授業料合計は $12,651(約150万円)です。

 

ちなみにカンザス大学メディカルセンターのDPTコースの授業料はIn Stateで年間約200万円、Out Stateで350万円かかります。 

 

さて、ここからが注目です。

 

MS/PhDコース、特にPhDコースはGTA(Graduate Teaching Assistant)やGRA(Graduate Research Assistant)として仕事ができる可能性が高いです。DPTの授業に携わったり、所属している研究室の研究に携わる仕事です。

 

仕事が貰えると学部や所属する研究室の予算が大きく作用しますが、学費免除(または一部免除)と給料がもらえます。給料は最大で月$2000貰えます。これは大きいです。

 

理由は2つ、1つ目はもちろんお金。授業料と給料が「貰える」ので、事実上、上手くいった場合、年間約400万円貰えることになります。

 

2つ目は仕事の内容。

 

GTAの場合:実際のアメリカ養成校の授業に携わることができ、新たな臨床的知識・技術が手に入りますし、英語で教える経験もできます。

GRAの場合:研究の全てに関わりますので、研究者としての訓練ができます。

 

また頑張りが認められばPublicationで共著者になれます。GTA/GRAのポジションが貰えることがベストなシナリオです。更に忘れてはならないのが奨学金の存在です。

 

担当アドバイザーに相談するといいろんな奨学金を紹介してくれます。少額なものもありますが無いよりはマシです。ちなみにアメリカの奨学金は返済義務のないお金です。これらの仕事にありつける可能性はPhDの方がMSコースよりも高いです。

 

そして週20時間、図書館やジムなど、キャンパス内で働くことも許されています。時給は$10ぐらいです。最後になりますが、DPTの場合、地元のアメリカ人でもまず学費免除や奨学金は貰えません。彼らはアルバイトをして少しでも授業料の足しになるように稼いでいます。

苦労したこと 

英語、文化、そして教育システムの違い、ライフスタイルの違いから様々な壁に出くわしました。渡米して間もない頃は違いを認識し、受け入れることに戸惑い、辛い思いをしました。

 

始めの1年は何回悔し涙を流したかわかりません。何を言っているのか分からない、自分の言いたいことが伝わらない、そして何がアメリカのスタンダードなのかわからない、これらのことに滅入ったこともありました。

 

1人で行く場合は経験したことのない孤独感も味わいます。いろいろと具体的なことを挙げればきりがありません。

 

しかし、これらのことは素晴らしい経験なのだということが後になって分かります。強く、たくましくなり、一日でも早くそのことに気づけるようになることが大切です。

 

実際にその境地に達すれば、アメリカでの環境はそれまでの人生で経験したことのない素晴らしいものと変わります。

 

青柳 洪作先生プロフィール

職歴

2015.8~:カンザス大学メディカルセンター
 Research Assistant in Clinical Orthopedic Rehabilitation Research Laboratory

研究プロジェクト:

 STRUCTURAL BRAIN IMAGING IN PEOPLE WITH LOW BACK PAIN

 The use of Yoga for Lumbar Spine Post surgery Management  Teaching Assistant in Doctor of Physical Therapy Program

役割:テクニカルアドバイザー、非定期レクチャラー 担当科目:整形外科系リハ I、II、III、中枢系リハ II、Evidenced-Based Practice

 

学歴

2005.3独立行政法人 仙台医療センター付属リハビリテーション学院 卒業

2010.2:保健衛生学(理学療法) 学士取得

2015.5:イリノイ大学シカゴ校卒業・修士取得

 

▶︎アメリカの大学院について詳しく知りたい方はこちら

#4 アメリカの理学療法士のお金事情|青柳 洪作先生【世界で発見!こんなところに療法士】

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