みんな「何のために生きているのか」というところが曖昧
ー 前回お話しいただいたコミュニティの話で、確かに女性は比較的集まりやすいと思いますが、男性に関してはいかがですか?
福田先生:うーん。男性はどうなんでしょうね?
男性は上下関係で集まりますよね。同じ目的意識があると集まりやすいのかも。最近すごいなって思ったことが、ある時期から日中、図書館におじさんたちが大勢集まるようになり、どことなくおじさん臭いんです(笑)
このおじさんたちはかつて、会社でバリバリ働いていたんだろうなって思うと、男性はできるだけ仕事を続ける方がいいと思います。教える立場になっていただくとか。
男の人は、「人生」とか「生き様」とか好きですよね。でも自分のこととなると、あまりやらない。よほどビビらさないとダメなのかもしれないと思うこともあります。サウナで汗をかくことが健康だといまだに思っていますからね(笑)
結局のところみんな「何のために生きているのか」というところが曖昧なのがよくない。
リハビリテーションも一緒で「何のために」というところを、覚悟して聞かないといけません。その人の人生に寄り添う覚悟がないと、聞けないですね。
本当は「これからどんな人生送りたい?いままでこんな人生送ってきたよね。じゃあこれからこうしよう」ということを、関わるすべての人と共有するようにしなくてはいけないと思うのです。
関わるすべての人に問わないと、本当の意味での健康づくりやリハビリテーションをすることは無理でしょう。
男性(とくに社長さん)には、「死んでも叶わない夢を描いてそれに向かって生きてみませんか?」と提案しています。提案するにはまず、私自身が自分の生き方に責任を持つことが大事ですね。
そう、これがいいたかったんですよ(笑)
“理学療法士という職業を選んだのではない、理学療法士という生き方を選んだんだ”と、いつか言ってみたい(笑)。
子どもの進路相談。理学療法士を勧める?
ー ウィメンズヘルスケア事業に関して先生は今後どうなっていくと思いますか?
福田先生: どのようになるかは分かりませんが、ウィメンズヘルスは女性PTが、自分たちの働き方の新しい分野として提唱してきた流れがあるように思います。女性だからこそ実感を持って取り組める分野です。
私もアラフィフで更年期。女性としての転換期でもあります。そろそろいい年齢になってきましたし、同じパターンを繰り返していては、衰えるばかりですから、豊かな環境でワクワクしながら新しい挑戦をやり続けたいと思っています。
大学生の子どもがいるのですが、息子から「お母さんみたいな仕事がしたい」といわれたことがありました。友人から子どもの進路について相談をうけて「理学療法士ってどう?」と聞かれたときに、私ったら心から「いいよ」といえなかったのです。それがすごくショックで。
学生時代は、WCPTの理事をされていた森永敏博先生に学んでいたのですが、先生が学生だったころはGHQが派遣した教師から英語で授業を受けていたそうです。パイオニアの時代でした。
女性ならではの、今までと違う働き方もあるよねということを、試行錯誤しながらも示していきたいですね。新しい働き方を示せるパイオニアでありたいと思っています。
まず自分が胸を張って「いい仕事」といえるような業界をつくらなければと思います。
ー 若手の療法士や学生にアドバイスをお願いします。
福田先生:一番近い先輩と繋がっておくといいですね。本当に困ったときに、どこか相談できるところがあるといいです。自分の病院や施設以外にも。
私も本当に困ったときに、おなじ地域の、名前だけ知っているような先生に「一緒に勉強会させてください」とお願いして勉強会を開いてもらったことがあります。
繋がりがあるといいですね。あとは健康がなによりです。
ー 最後に先生にとってプロフェッショナルとはなんですか?
福田先生:本気で現場を見ている人だと思います。
【目次】
第二回:産業医と地域医療は視点が似ている
最終回:理学療法士という生き方を選ぶ
福田先生オススメ書籍
福田先生のコメント:心と体と世界とのあわいつながりについてかかれていて、私はこの本で、デカルトの二元論からはじまり、アフォーダンス理論や現象学的身体論、認知科学研究の全体像を、ようやくなんとなく理解することができました。
福田先生のコメント:働く女性や高齢の人たちが、一生幸せに豊かに生きられることをめざし、これまで私が数々の予防体操教室を運営しながらまとめてきた10秒ポーズという方法です。
運動療法の基礎を抽出し、日常生活動作につなげられるよう意識転換していきますので、運動習慣がなかった人でも取りくみやすい予防や健康づくりに使える内容になっています。
福田裕子先生プロフィール
1991年 京都大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業
1991年 京都南病院 理学療法士
1993年 光陽生協病院 理学療法士
1995年 鯖江ケアセンタ―みどり荘 理学療法士
2002年 今立町社会福祉協議会 理学療法士・介護兼務
2003年 今立町社会福祉協議会 理学療法士・ケアマネジャー兼務
2006年 越前市社会福祉協議会(市町村合併にともない)
2007年 放送大学教養学部発達と教育専攻卒業
2007年 独立開業
2014年 Soleilスタジオユウ開設
介護認定審査会委員5期。鯖江市健康づくり推進協議会委員2期。
医療・介護分野でリハビリテーション・運動機能向上関連事業・
Facebookページ:【1回10秒ポーズ】理学療法士とはじめる未来のカラダづくり研究会