第二回:突然のスカウト【日本理学療法士学会 栄養・嚥下理学療法部門 運営幹事 | 中島 活弥先生】

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最終実習で受けた愛情

中島先生 最初に就職したのは、3年生の頃に実習でお世話になった、緑成会病院でした。3年の1期目には森山病院にお世話になり、実習初日に、「次の実習地はどこだ?」と、聞かれました。私は、前回実習の内容をお伝えしましたが「前の実習の評価は関係ない。俺は今のお前を知りたいんだ」と、いっていただきました。かっこいいですよね。

 

間違ったことをすれば叱責を受けましたが、よくできていた時にはムツゴロウさんが動物を愛すように褒めてもらい、非常に楽しかったことを覚えています。実は、その時のバイザーは私の2期目のバイザーの教え子でもあり、2期目の実習に向けた対策もここでは学びました。笑

 

2期目の実習では、当時は学生の間で噂になるほど厳しい病院として有名な緑成会病院(先輩方ごめんなさい)。この病院からは多くのご高名な理学療法士が輩出されている病院としても有名でした。確かに求められる能力は高かったように思いますが、厳しくも愛情を感じました。バイザー対策も完璧でしたし。笑

 

実習も終盤に差し掛かったある日、バイザーから呼ばれ「俺たちと一緒に働かないか?」といっていただけました。あまりの衝撃に、二つ返事で「はい」と、答えましたが、当時の住まいから通うためには2時間半ほどかかることを忘れていました。笑

 

当時神奈川県の奨学金制度では、神奈川県内に勤めることで、奨学金の返済免除がありました。しかし、それを投げ打ってでも東京にあるこの病院に就職したいと思いました。とにかく職場の雰囲気が良かったんです。先輩方の後輩への熱意が強かったですね。

 

 

—就職してどのような働き方をされていましたか?

中島先生 結局、緑成会病院には6年間お世話になりました。1年目は皆さんと同じく、一生懸命臨床を行い、2年目になった時、小平市障害者福祉センターへの出向を命ぜられました。最初は嫌で仕方がありませんでした。

 

もともと、医学を勉強したくて飛び込んだ世界で、この時期に出向するということは同年代の理学療法士から離されると思いました。実際には、行きはじめて半年ほどで、楽しくて仕方なくなり、もう1年延長してほしいと頼み込んだほどです。

 

障害者福祉センターでは、障害を持った方とリハビリテーションを通して陶芸を楽しんだり、流しそうめんのセットを竹から作ったり、施設にいらっしゃる利用者の方々が交代で、講師を務め、講座を開講する形を作ったりと非常に楽しかったです。

 

3,4,5年目はほぼ訪問リハを担当していました。とにかくその病院では「外に出ろ」と、外部活動を促され、数か所の保健所に赴き難病教室の講師をさせてもらっていました。6年目になり、いよいよ病院専属の理学療法士となるところなのですが、ある学生から「なぜ、平行棒内で5往復歩くのですか」「なぜお尻上げ10回なのですか」といった質問を受けました。

 

確かに運動強度を調べることはできます。しかし、現場ではこの辺りを無視しているケースが多いことに改めて気付きました。「これはもう一度勉強し直さなければならない」と思いました。ある時、実習地訪問に来られた東都リハビリテーション学院の教員に「学校の先生をやってみたいんだよな~」とつぶやいた後日、学科長の先生からご連絡をいただき、教員になるという道が出来てしまいました。緑成会病院の先輩方には反対されましたけど、最終的には快く送り出してもらえましたね。

 

教員になってすぐ、担任を任されることになりました。私は、教育のプロではありませんので、まず「眠くなる授業はしない」ということを考えながら授業を考えはじめました。学校では色々と問題になりましたけども、なるべく学生に近い教員であることを目指し、時間があれば教室にいることも多かったと思います。

 

ある日、学生たちから食事に誘われることがありました。そこで、担任しているほぼ全員の学生がサプライズで、長女の誕生を祝ってくれました。本当にうれしかったですね。

 

「私が目指していた学生と教員との距離感はこれだったんだなぁ」と、しみじみ思った日になりましたね。ある謝恩会で、当てたビンゴの景品である時計を、今もなお使っていますしね。ただ、今日は撮影もあるということで、ちょっといい時計をつけてきてしまいました。笑

 

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【目次】

第一回:苦い思いの実習と運命の出会いに恵まれた実習

第二回:突然のスカウト

第三回:呼吸ケアサポートチームの結成

第四回:呼吸の専門家がなぜ、栄養・嚥下部門へ?

最終回:持論

 

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中島先生のプロフィール

平成6年  東京衛生学園専門学校リハビリテーション学科 卒業 理学療法士 免許 

     財団法人 緑成会 緑成会病院 リハビリテーション部 入職 

      小平市機能訓練指導員、東京都医療技術員非常勤職員

平成12年 専門学校東都リハビリテーション学院 専任講師

      目黒区保健所 公害保健事業 

      呼吸器リハビリテーション 喘息管理コース講師

平成14年  理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 養成施設等教員講習会修了

平成16年  一般財団法人同友会 藤沢湘南台病院 リハビリテーション科  

      神奈川県厚木保健福祉事務所大和センター非常勤職員

平成18年  3学会合同呼吸療法認定士 取得 

藤沢湘南台病院 呼吸ケアサポートチームサブリーダー

平成27年  呼吸ケア指導士(初級) 取得     

平成28年  藤沢湘南台病院 呼吸ケアサポートチーム チームリーダー

〇所属学会

日本理学療法士協会

日本呼吸ケア・リハビリテーション学会

日本リハビリテーション栄養学会

〇公職

日本理学療法士学会 栄養・嚥下障害理学療法部門 運営幹事

〇研究会

医療と在宅呼吸管理勉強会 副会長

○執筆

・中島 活弥;訪問理学療法士からみた在宅介護者の暮らしと健康 (特集;重度障害児・者を介護する家族の暮らしと健康) 、リハビリテ-ション (403), 12-16,1998-05

・中島活弥,熊切 寛,徳田有美,他:理学療法士などによる 吸引業務に関する院内講習会開催とその評価.呼吸ケア,11:98-103,2013

・中島 活弥:臨床実習サブノート臨床実習のリスク 地雷を踏むな!・4 摂食嚥下障害.理学療法ジャーナル,9:888-895,2016

・中島 活弥、西川 正憲、熊切 寛、他:特集 呼吸器在宅医療のサイエンス地域に根差した呼吸器在宅医療・介護の体制作り―湘南東部医療圈での多職種参加型「医療と在宅呼吸管理勉強会」の目的―、THE LUNGperspectives,25(1),60-65、2017

【専門分野】

呼吸ケア(喀痰等吸引、排痰)、呼吸器リハビリテーション、リハビリテーシ

ョン栄養、栄養・嚥下理学療法

 

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