大学院に行く理由
― 大学院に入ってからはどうでしたか?
今井先生 大学院に入ってから今までで一番勉強したと思います。大学時代にやってなかったので。笑
修士の時からずっと、森岡先生と大住先生にメインで指導を受けています。とてもしんどくて苦しいこともありましたが、本当に感謝しています。
― 畿央大学大学院はどのような環境ですか?
今井先生 畿央大学大学院のメリットは、研究分野が一つではなく多岐にわたっている点だと思います。痛みの研究でも、私は急性疼痛、大住先生は慢性疼痛や難治性疼痛、他にも神経障害性疼痛など。同級生には、姿勢制御や心理・環境など様々な研究をしている人がたくさんいます。
その環境下で研究していると、いろんな人から意見をもらうことができます。もちろん、同じ痛みの研究をしているメンバー同士で集まり、話すこともありますが、他の分野のいろんな視点からも意見をもらうことが出来るのはすごく勉強になります。
実際、他の分野の研究発表を聞いていて、自分の研究にも応用できるのではないかと思うことも多いです。そういう人たちと関わる中で、あらゆる視点で考えるようにもなるので、視野も広がると思います。
― 結婚相手は研究のことについて理解はあるんですか?
今井先生 その辺はすごく理解してくれていて、いつか「すごい研究者になる」と漠然と期待しているのではないでしょうか。笑
最近は、週に1回ゼミに行くくらいで、あとは病院でデータをとるので、そこまで帰りが遅くなることも無くなってきました。
家では、集中して勉強するために、夜は子供と一緒に早く寝て、朝の3時半から4時ぐらいに起きて出勤までの時間に勉強するようにしています。
それ以外の時間は、勉強は一切にしないと決めました。切羽詰まっているときは別ですが、帰宅後は子供と一緒に遊んだり、お風呂に入れたり普通のパパです。笑
― 研究に対するモチベーションというのはどこにあるんですか?
今井先生 最初は研究自体に対してはあまり意味があると思っておらず、学会発表をし続けることが重要だと思いながら研究していました。博士課程に進学し、ようやく、自分がやりたい研究が出来て、それを発表してまた周りの人からたくさん意見をもらうことが面白くなりました。
最近では、モチベーションがあるから研究すると言うよりは、臨床していて気になることがあるから調べているって感覚です。何か分かれば面白いですし。
― 尊敬する研究者はいますか(理学療法士で森岡先生以外)?
今井先生 大住先生(研究センター特任助教)と石垣(大学院同期)さんです。二人とも研究熱心で、いつも良い刺激を受けています。
― 急性期の痛みの最近のトレンドがあれば教えてください。
今井先生 最近のトレンドはわかりませんが、急性期からしっかりと患者教育を行うことが重要だと思います。
今までの基本的な理学療法で十分に治る人もいますが、それに当てはまらない人も多くいます。となれば、「最初からマネジメントしていったほうがいいよ」ということです。
― 先生にとってプロフェッショナルとは?
今井先生 怖がらずチャレンジし続ける人。
ー完。
【目次】
第一回:森岡ゼミがターニングポイント
第三回:患者と後輩のマネジメント
今井先生による痛みの基礎知識から術後遷延性疼痛について
◎なぜ痛みの知識がリハビリテーションに必要か!?
◎あらゆる痛みに対する理学療法の考え方を知る
◎人生の経験を通じて、痛みの概念を学ぶ
慢性疼痛の持続している人は非常に多く、難渋しています。
痛みは適応的な役割を果たす反面、健康に悪影響を及ぼすこともあります。
そんな薬にも毒にもなる痛みについて、多様な側面から解説します。
また、術後疼痛に対する理学療法士としての考え方についても解説します。
痛みは誰にでも起こります。
痛みの知識を得ることが、患者に適したリハビリテーションを可能にすることでしょう。
■解説:今井 亮太(大阪河﨑リハビリテーション大学)
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今井亮太先生のプロフィール
河内総合病院リハビリテーション部 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室博士後期課程
*学歴
2011年 畿央大学健康科学部理学療法学科 卒業
2011年 医療法人河内友紘会 河内総合病院リハビリテーション部
2015年 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室修士課程 修了
2017年 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室 博士後期課程 在学中
*論文
・今井亮太,中野英樹,森岡 周:物体の視覚的提示に伴う腱振動刺激による運動錯覚時の脳活動-fNIRS研究-.理学療法科学.2012, 27(4): 401-405.
・Imai R, Hayashida K, Nakano H, Morioka S. Brain Activity Associated with the Illusion of Motion Evoked by Different Vibration Stimulation Devices: An fNIRS Study. J Phys Ther Sci. 2014 Jul; 26 (7): 1115-9.
・今井亮太,大住倫弘,平川善之,中野英樹,福本貴彦,森岡周.橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える効果‐手術後翌日からの早期介入‐.理学療法学.2015. 42(1)1-7.
・今井亮太,大住倫弘,森岡周.腱振動刺激による運動錯覚が痛みに与える効果.日本運動器疼痛学会誌.2015. 7(2). 213-218
・Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Influence of illusory kinesthesia by vibratory tendon stimulation on acute pain after surgery for distal radius fractures: A quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2016. 30(6),594-603
・Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2017.31(5):696-701
・Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. The influence of trait anxiety and illusory kinesthesia on pain threshold. J Phys Ther Sci. 2017 29(7)1236-1241
・Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the post-operative neural activities of distal radius fracture patients. NeuroReport. 2017. in press.
*受賞
第48回日本理学療法学術大会 優秀賞
第18回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 優秀賞
第7回日本運動器疼痛学会学術大会 奨励賞ポスター賞
第20回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 優秀賞
第7回学術誌掲載 理学療法学 最優秀論文賞(日本理学療法士学会)
*学会活動
一般社団法人 日本ペインリハビリテーション学会 代議員