ー トレーナーとしてのやりがいはなんですか?
相浦先生:試合に勝つ度に、自身が介入した事により、プラスになっているのではないかと感じる事です。他には、障害件数を4年間計測していますが、年々減少していることです。今までは捻挫が多かったのですが、捻挫の件数が減少している事が目に見えています。ここは本当に密かなやりがいです(笑)
今回、取材をして頂いている事も理学療法士としてこんな仕事もあるとたくさんの人に知ってもらえるので、とても嬉しいです。
ー トレーナーとしての苦労した事はなんですか?
相浦先生:選手に良いパフォーマンスを発揮させる事ができなかった時は、トレーナーの責任であると考えています。そのような時は、事前に最良の準備ができなかったのか振り返ります。
他には、コミュニケーションの部分で、トレーニングを行う際に興味がない選手に対して、積極的にやってもらえない時にどうコントロールするべきか悩みました。また、日本特有なのかもしれませんが、上下関係がチーム内にはあり、若い選手のプレイタイムを伸ばしたい場面でも、ベテラン選手を優先しなくてはいけない状態にあるという事もあります。
後輩が気を使ってしまったりしてしまうため、そのコントロールをトレーナー就任当初は、とても気をつけていました。4年目となった現在では。選手の信頼も得ており、しっかりと説明し受け入れてもらえています。
この仕事は本当にやりたかった事なので、苦労することに対しても、ネガティブに捉えず、次に活かせるよう意識しています。
ー トレーニングの考案はどのようにされていますか?
相浦先生:理学療法士は知識量としてメディカルな点に対して、フィジカルな点は圧倒的に少ないと思います。就任当初は他のトレーナーやコーチにどのようなトレーニングが良いのかよく聞いていました。他には動画を見て試行錯誤しました。現在では解剖、運動、生理学などをもとに、考えるようになっています。結果が出やすい方法を提供したり、選手が飽きたときには、目的を変えずに方法を変えるなど工夫しています。
ー 理想のトレーナー像はありますか?
相浦先生:選手が怪我をせず、試合に出続ける事が一番大事な事だと思います。私の所属チームはたくさんの選手を雇う事はできない状況です。一人選手がケガをすると損失は大きく、それが二人、三人と増加すると大損失を受けてしまいます。
その中で監督・コーチ、会社側から求められていることは、ケガをせずにシーズンを戦えるチーム・選手にしてほしいという事でした。求められる事に対して結果を出せるという事はとても理想のトレーナーなのではないでしょうか。
ー 昨年からBリーグが開幕しましたが、就任してからの3年間と昨年からの1年間で違いはありますか?
相浦先生:メディアの量が大きく変わりました。注目を浴びるスポーツになってきた印象です。トレーナーも見られる職業になってきていると思います。試合を生放送で見る事ができますし、練習の取材も増えました。
観客動員数も増えましたし、Bリーグが始まったおかげでバスケットがメジャーになってもらえると良いですね。実は日本のバスケットの競技人口はとても多いのです。ただ、男子はオリンピックに出ていませんので、注目を浴びていないのではないでしょうか。競技レベルの底上げもトレーナーの役目かもしれません。
ー プロバスケットプレイヤーは野球・サッカーと比べると収入が多くない印象です。 トレーナーはどうなのでしょうか?これからトレーナーになる方、目指している方に伝えていただきたいです。
相浦先生:ピンキリだと思います。スポンサーの規模により、収入の差が生じるのかもしれません。他の方がどのくらいか分かりませんが、僕が感じたのはイメージしていたものよりは貰えている印象です。もちろん、もっと収入が多いトレーナーもいると聞いていますので、目標にできる職業だと思います。もちろん収入が少ないトレーナーもいると聞いています。
トレーナーという職業はボランティアでも良い・安くても良いからチームに関わりたいという方も多い現状です。トレーナーに資金が回らないチームだとそのような事もあると聞いています。
ただ、選手と同様で、結果を出す事ができれば金額が毎年上がっていくのは魅力的な部分ではないでしょうか?
ー 相浦先生の尊敬しているトレーナーやセラピストはいますか?
相浦先生:向上心がある方や熱意がある方に惹かれていきます。私自身、様々な事に興味があり、トレーナーという職業に役立つ情報は、浅く広く素晴らしい方々の尊敬する部分を吸収しています。
ー 相浦先生のお勧めの書籍はありますか?
相浦先生:解剖・運動・生理学の参考書はよく見ています。基本が理解できれば、応用が利くと思いますので、基本はとても重要だと感じています。バスケットに関しては、『スラムダンク』です(笑)。
人生で一番繰り返し読んでいる本です。他には、『プロ論』ですね。ビジネス・スポーツで成功してきた方々の過程が書かれています。
ー 最後になりますが、相浦先生にとってプロフェッショナルとは何ですか?
相浦先生:情熱を注ぐことです。それが無くなってしまった時はやめてしまう時だと思います。情熱がある選手はまだまだ上昇していくと感じます。