卒後教育としての人事交換システム
― 県士会の活動をされているきっかけはなぜでしょうか?
山口先生 ここ最近、若い理学療法士が急増して、様々な問題が提起されはじめてきました。例えば、お給料の問題や就職難といったことに集約されます。それらの問題提起の元を辿っていくと、協会や各都道府県士会の活動にヒントがあるいうことがわかりました。
一方で若手の意見を理解し、集約していくためには、このを埋める必要がある、兵庫県理学療法士会の理事に立候補しました。
しかし、初めて立候補した2015年は、落選しています。兵庫県理学療法士会ではなんと20数年間選挙が行われていない状況でしたが、これまで全く県士会の仕事をしてこなかった私が、ポッと出てきたものですから、急遽選挙が行われました。
当時の選挙制度では、投票権は、総会参加者のみに与えられており、おおよそ100名くらいの方々の投票によって決定されました。私は、惜しくも10数票差で落選してしまったのですが、ありがたいことに、この落選を機に県士会の仕事に携わらせていただくようになりました。
今年また2年ぶりに理事選があり、また選挙になると思っていたのですが、定数内の立候補であったために選挙は行われることなく理事になることができました。私は今30代ということもあり、理事の中で最年少なので、若い方の声も届けるようにしていきたいと思っています。また、若さを上手く活かし、良い変化を起こせていけたらなと思っています。
近年では、若い方が本来学びたい分野、例えば急性期病院に就職できなくなっています。今後の社会を考えれば活動の場を地域に移すときにも、急性期における知識や経験は必要です。ですから、卒後研修制度を通して、人事交換を行いあらゆるリハビリテーションの場面を経験できるようなシステムを設けたいと考えています。
すでに地域リハで働いている方は病院におけるリハビリテーションを学び、病院の方は、地域でのリハビリテーションを学びながら、お互いの情報を交換していく制度を想定しています。これを、各病院単位で行うには無理がありますので、県士会や協会が率先して動いていく必要があると考えています。
― 東京ではすでに同じような取り組みが始まっていると聞いています。
山口先生 いよいよ、卒後教育の強化を図っていかないと、まずいことになってくると思っています。私も、自分の会社のことだけではなく、視野を広げ理学療法士が社会に受け入れられる環境づくりを意識して取り組んでいきたいと思っています。
― 本部のほうにも若い理事が入ってほしいですね。
山口先生 この間から選挙制度も変わりましたね。賛否あると思いますが、私はまだまだ県士会レベルでやらなくてはいけない問題が山積みです。協会の仕事をするためには、ある程度本業にゆとりのある方でないと難しいですし、なかなか誰でもできるものではありませんね。
宣伝ですが、今年で兵庫県士会は50周年を迎えます。50周年の式典ということで、「何かおもろいことをしよう」となっています。色々熟考していますが、それほど何もないという。笑
せっかくこの50周年というタイミングで、理事にさせていただいたので、若手の新しい理事が入ったことが感じられる、新しい風を吹かせたいと思っています。
続くー。
【目次】
第一回:素晴らしい論文をエンドユーザーへ
第二回:兵庫県士会の理事へ
第三回:地域の”かかりつけ理学療法士“
最終回:アールイーコンセプトのコンセプト
山口先生のオススメ書籍
山口良太先生のプロフィール
■ 資格等
博士(保健学)・専門理学療法士(運動器)・呼吸療法認定士
作業管理士、腰痛予防労働衛生教育インストラクター(介護・福祉分野)
■ 経 歴
神戸大学医学部保健学科 卒業・神戸大学大学院保健学研究科 修了・
神戸大学医学部附属病院 勤務・神戸大学医学部保健学科 非常勤講師
株式会社アールイーコンセプト 代表取締役
一般社団法人兵庫県理学療法士会 理事
【Dr.Ryo-Tのカラダデザインラジオ】