東京農工大学大学院工学研究院の身心一体科学研究チームの大川孝浩社会人博士(文京学院大学)らは、通常歩行中に生じる下肢の捻じれストレスが、足部と骨盤のあいだの相対的な捻れ量に相関することを世界ではじめて明らかにした。
▶︎下肢に生じる捻じれストレスが高まってしまう歩き方を解明|東京農工大学
今回の研究では、骨盤の回旋および足部と骨盤間の相対的な捻れ量(角度)が、足にかかる圧力を中心とした回転する力の強さ(フリーモーメント)の増減に影響を与えるという仮説のもと、歩行中のつま先の向きや骨盤の回旋量といった歩行パラメータとフリーモーメントの大きさとの関係について解析を行った。
解析した結果、足部と骨盤間の相対的な捻じれ量がフリーモーメントの大きさに影響を及ぼし、その捻じれ量が少ないとフリーモーメントが大きくなることが分かった。
足部と骨盤間の相対的な捻じれ運動は、足が身体を支えている際に起こり、主に股関節内旋によって行われている。つまり歩行中に反対の足へ重心が移る頃に股関節内旋が生じない場合、下肢に生じる捻じれストレスが大きくなってしまうことが明らかになった。
下肢に生じる捻じれストレスは変形性膝関節症や前十字靭帯損傷といった疾患と関係があることが指摘されている。また、小児麻痺患者の脛骨や大腿骨は健常者の骨よりも捻じれが強いことも分かっている。
この研究結果は超高齢社会の健康問題、特にロコモティブ症候群解決の糸口となる疾病予防メカニズムの解明に期待できる。