療法士とロボット
POSTインタビュアー:療法士とロボットとの共存というところで、その辺で何か考えているところはありますか?
岩隈さん: 私も現場にいる時、どちらかというと道具を使わない人でした。 使用方法もよくわからないですし、 準備などに時間がかかってしまうと自然とその使用を避けてしまいました。 私が今の会社に入職した当時のロボットは、「ロボットを人に当てはめる」というイメージがすごくありました。
でも私が現在の仕事を通じて気付いたのは、「人間ベースでどうロボットを当てはめるか」ということです。 しっかりと問題点を抽出して、それに対してロボットをどう使うか、ということなんです。 ロボットは完璧ではないですよね、硬いし(笑)だからロボットで出来ないところは人間の手で補えば良いと思っています。そのためには、ロボットの特徴についてしっかり説明できる人がいないといけません。 同時に、ロボットを使用するセラピストが患者を診れないといけません。 要するに、ロボットを役立てるには、「繋げる人」と「使う人」が必要なのだと思います。
販売を行う中で否定されることもすごく多いのですが、 私としてはロボットは完璧ではないというところを踏まえて、 ロボットでしかできない点を理解していただきたいです。それが、共存だと思います。 社会的な人口減少は必然ですので、ロボットとの共存を目指すべきだと思っています。ある調査によると、ロボット導入による介護費抑制効果については、既にデータが出ています。 だから、もはや「使う」か「使わない」の問題ではなく、 「どう使うか」というのを考えなければならない時代だと思います。
よくロボットが発展することでセラピストは必要なくなってしまうのではないか、 という質問を受けますが、確かに人と向き合いアセスメントができないセラピストは、 今後淘汰されていくかもしれないですね。それは自分が一般企業に入って初めて分かったことですが、 経済の動きや社会に動向に視点をあてた時に「そうなる」というのが少し予測できるようになりました。他に、リハビリ現場でロボットなどを使用したほうが良いと思う理由はもう一つあります。 日本のリハビリテーションというものに基準がないわけです。 現在は、各個人の裁量にまかされているので、同じ資格を持っていても、 情熱を持って技術のレベルアップをはかる人とそうではない人がいるので、 リハビリの内容に差があるのが現状です。
そうなった時に道具やロボットなどをつかって、一部スタンダードな治療というものを作ってしまえば、ある一定の質を保つことが出来るのではないかと思っています。もちろん一部です。 そういう意味で道具を使うというのも今後の療法士の質の確保する手段としても可能性を感じています。女性の働き方について
POSTインタビュアー:女性療法士の働き方というところでお話いただきたいのですが、「こういうところがキツそうだな」とか一般企業からの目線としてこう働くといいとかありますか?
岩隈さん: 現状では、やはり女性への理解が大事かなと思いますね。 社会としては女性の雇用を増やさなきゃいけないとか、女性の管理職を増やそうとしています。 しかし、それを推奨する人もいればそうではない人も大勢いると思います。 実際、出産や育児となると女性が働ける時間は少なくなりますので、それを理解してもらいたいですね。
女性でも働きたい人は働けばいいし、休みたい時は休めばいいと思うんです。 女性の方が活躍できる分野はたくさんあると思いますし、 営業活動を見ていても女性のほうが細かく気づく点があったり、 ちょっとした気遣いなどが出来ている気がします。 そういう質的なところの追求には女性の力も必要なんじゃないかなと思います。 私は育児などを行わなければいけない状況になった時にはさっと休んで、 パートみたいな感じで量を調整して働ける環境があればいいなと思いますね。
キャリアアップとは?
POSTインタビュアー:大企業に転職した岩隈さんだからこそお聞きしますが、岩隈さんの中で何をもってキャリアアップなのか教えていただけますか?
岩隈さん: 本当に理学療法士って病院とか施設以外のところで活躍できる職業だと思うんです。 でも、実際に外に出てみると、理学療法士って認知されていないのが現状です。 だからこそもっともっと社会に認知してもらって、その価値を高めていかなければいけないと思います。
社内でも認めて頂かなければならないですし、 将来的に理学療法士の活動領域が広がっていけばいいなと思っています。 そうなったときに自分の役割が果たされたかなと考えます。 大和ハウスというのは本当にいい企業だと思います。 本当に感謝していますし、専門職としての役割を与えてくれているのも、上司が理解してくれているからです。 だから、今後も多くの方ともっともっと繋がり、人が心豊に生きる理想の社会を創っていきたいですね。