「健康な脳」とはどういうものだろうか。「脳」が「健康」であるということは脳の器質的なものを指すのか、認知機能など機能的な部分を指すのか、というところである。
今回、米国心臓協会(AHA)に所属する米国脳卒中協会(ASA)が、成人における最適な脳の健康状態の定義と、脳の健康を維持する方法の指針を米国心臓協会誌オンライン版で発表した。
ASAによると、
認知機能の低下によって起こる認知障害や認知症など、脳の健康状態の悪化には心血管疾患も影響している。つまり、心血管の健康を維持することで脳の健康も維持でき、高齢時の認知症発症を予防できる可能性が高い。
引用元:Aging Style
ということである。
「異なる環境においも適応的に機能する能力を持つ状態」
ASAはAHA脳卒中評議会や米国立衛生研究所(NIH)、米アルツハイマー協会の指導も受けながら、「健康な脳」の定義をこのように定めた。
具体的には感覚器官を通して外部から得た情報を明確に知覚し「考える」「動く」「感情を示す」といった反応を示せる状態で、例として「学習し記憶する」「他者とコミュニケーションをとる」「問題を解決して決定を下す」「感情をうまくコントロールする」などが挙げられる。
この状態が維持される目安である健康指標としてASAは、
1)収縮期血圧120mmHg以下、拡張期血圧80mmHg以下
2)総コレステロールが200mg/DL以下
3)空腹時血糖値が100mg/dL
の3つを提示。
引用元:Aging Style
健康指標としての上記の3つは、一般的な生活習慣病のリスク要因である食事、運動、飲酒、喫煙、睡眠、ストレスなどに気をつけることである程度予防できるものである。今回の報告では、今まで重要とされていた生活習慣病の予防を行うことは、「脳」の「健康」にとっても良い影響があるということが言えそうだ。
実際、ASAは上記3つの健康指標を維持するための健康行動として
・非喫煙
・定期的な身体活動
・公的機関のガイドラインに沿った健康的な食事
・標準体重の維持
を推奨している。
規則正しい生活を送ることで、身体的なアンチエイジングだけでなく、認知症予防など健康な脳を維持することに繋がるということだ。