骨格筋の機能は運動機能だけではないことを、医療職は知っておかなければならない。
横浜市立大学医学部 循環器・腎臓・高血圧内科学の大城光二らは、やせ型インスリン抵抗性の発症・進展に関わるメカニズムの一部を解明。骨格筋で受容体結合蛋白「※1ATRAP」の発現を増加させることにより、やせ型インスリン抵抗性が改善できることを示した。
▶︎ やせ型インスリン抵抗性と骨格筋との関わりを解明 ~糖尿病発症抑制の新たな可能性~
糖尿病や脳心血管病の発症のリスクとして重要なメタボリック症候群は、内臓脂肪型肥満や高血圧、糖脂質代謝の異常が特徴である。
研究グループは以前、ATRAPを内臓脂肪組織で活性化させると、高カロリー摂取でおきる脂肪細胞の肥大化・炎症およびアンジオテンシン受容体の過剰な亢進状態が是正され、内臓脂肪型肥満とインスリン抵抗性が改善することを報告した。
本研究ではさらに、アンジオテンシンII作用の亢進が、肥満を伴わない病態であってもインスリン抵抗性を引き起こすことを示し、これには骨格筋での糖取り込みに関わる機能の変化が重要であることを明らかにした。
また、骨格筋でATRAP発現を増加させることにより、やせ型インスリン抵抗性が改善できることを示した。