Interdisciplinary approachとmultidisciplinary approach【西鶴間メディカルクリニック理事長|中西一浩先生】

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慢性疼痛に対する治療戦略についてお話しさせていただきます。

 

複雑な要素が絡み合ってるからこそですね、疼痛に対しては広くアプローチしていく必要があると。そこでIASPは生物心理社会的モデルに基づく学際的アプローチですね、Interdisciplinary approachというんですけれども、それを推奨しています。

 

ここでいう生物心理社会的モデルというのは、人の医学的疾患、この場合は慢性の運動器痛を理解するのに、生物学的因子と一緒に心理学的及び社会的因子も含まなければならないということを提唱する概念的なモデル。

 

ここでは両方ちゃんと含んで診なさいよというような提唱です。また本邦では、慢性の痛み対策研究事業が立ち上がりまして、全国の11大学の病院を拠点に慢性疼痛に対する痛みセンターを構築して、学際的アプローチの有効性を今評価している段階ということであります。

 

また、こういうような学際的アプローチと一緒によく出てくる言葉なんですけど、multidisciplinary approachこれは集学的アプローチといいますけど、これ微妙に意味が異なります。

 

集学的アプローチというのは、異なった二つ以上の専門領域、専門家たちが介入する多様な治療アプローチ。この点では学際的アプローチと似ているんですけれども、主治医の責任が明確です。主治医が1人いてそれに対していろんな専門家がそこに介入してくると。

 

ただし、その中ではお互いのコミュニケーションとかですね、そういう形での関わり合いはあまりありません。ここはわからないからここは診てほしいということで、他の科に頼んで他の科が参加する。これはよく総合病院における各科を見ているようですね。

 

本来それはあんまり良くない。今推奨されているのが学際的アプローチですね。これはですね、各専門領域、そして患者さんもですね、そこに参加して患者さんも参加する包括的ケアを行いなさいと、いうことで視点が異なる複数科の医師及び看護師、理学療法士作業療法士、臨床心理士、ソーシャルワーカーなどがチームとなり対応していくということを推奨されています。

 

これは話し合いを重ねて、お互いを補いながら、問題解決に向かう。評価と改善を繰り返しながら対応していくことです。そして状況に応じて対応する職種は変わってくるというのが学際的アプローチです。

 

メンバー構成としては、どういうものがあげられるかというと、ここに書いてあるようなメンバー構成、これが通常はそのうちのいくつでもいいんですけど、2つでも3つでもいい。大学で進めているのは、様々な職種の方が参加しているアプローチをやっているみたいなんですけど、基本的にはそこまで多くの人がかかわる必要はないと思います。

 

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提供:特定非営利活動法人 ペイン・ヘルスケア・ネットワーク

 

中西一浩先生プロフィール

1986年 日本医科大学卒

1986年 日本医科大学附属病院麻酔科研修医

1988年 日本医科大学附属病院麻酔科助手として勤務

1989年 日本赤十字社医療センター麻酔科勤務 

1992年 国家公務員共済組合横須賀共済病院に麻酔科医長として勤務 

1995年 日本医科大学附属病院集中治療室助手として勤務。重症手術患者の周術期集中治療管理、重症心不全・虚血性心疾患患者の集中治療管理に従事する。 

1997年 日本医科大学附属病院麻酔科医局長に就任 

2001年 日本医科大学附属病院麻酔科講師に就任 

2005年 日本医科大学附属病院麻酔科准教授に就任 

1997年〜2007年は、手術室麻酔管理業務およびペインクリニック外来における慢性疼痛治療に従事する。 

2007年 日本医科大学付属病院緩和ケアチームリーダーに就任、ペインクニック外来兼任 

2008年 日本医科大学附属病院緩和ケア科部長、がん診療センター副部長に就任 

2010年 日本医科大学附属病院麻酔科教授に就任 

2007年〜2012年はがん患者の緩和ケアおよび慢性疼痛患者のペインクニック外来に従事。また、日本医科大学附属病院のがん診療方針・計画の策定に関わる 

2013年 西鶴間メディカルクリニック理事長に就任

Interdisciplinary approachとmultidisciplinary approach【西鶴間メディカルクリニック理事長|中西一浩先生】

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