3月の後半から、国内で感染確認されている麻疹(はしか)。事態は収束に向かっている様子だが、旅行者が増えるGWは、感染拡大の可能性が高まり、更なる注意が必要だ。医療機関では、そのような感染症患者も集まる為、セラピストにとって関係の無い話題ではないだろう。そこで、麻疹の特徴や感染予防の方法などを確認していきたい。
麻疹のウイルスは、感染力が極めて強いのが特徴だ。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%の確率で症状を発症すると言われている。有名なインフルエンザウイルスは飛沫感染つまり、くしゃみや咳などで飛沫した体液によってウイルスが拡散される。しかし、麻疹はそれ以外に、空気感染もする為、同じ部屋などに居るだけでも感染してしまうのだ。通常のマスクを装着しても、麻疹のウイルスは非常に小さく、通過してしまい意味をなさない。これらの事から、インフルエンザウイルスと比べて感染力が6〜10倍にもなると言われている。
感染後の症状は、10〜12日の潜伏期を経て、風邪に似た症状が出現する。それが2〜4日続いた後、体に発疹がみられ、高熱になるのが特徴だ。麻疹に対する抗ウイルス薬は、存在せず、解熱剤を飲みながら3〜4日間この症状と戦う必要があるそうだ。麻疹の恐ろしさは、その合併症であり肺炎、中耳炎、心筋炎、脳炎、また、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)といった死に至るものも、確率は少ないが存在していて注意が必要だ。
感染予防の方法だが、ワクチンの接種、それも2回の摂取が効果的とされている。2014年の麻疹患者462人のうち、ワクチン未接種の患者が47%だったのに対し、2回接種した患者は7%にまで抑えることが出来ている。日本で定期接種の制度が整った、現時点で28歳以下の人は2回の摂取を受ける事が出来ているようだ。一方、制度が整っていない時代に生まれた41歳以上の人も、麻疹に自然感染している為、抗体を持っていて感染リスクが低いと言える。よって28〜41歳の人は、感染の可能性が高く、2回目の予防接種を受けているか確認する必要がある。
3月の後半、沖縄から始まった麻疹の流行。4月11日には、沖縄に行った名古屋市の10代男性が、同月25日には、新たに3人の感染が確認された。25日に確認された3人のうち2人は、この10代の患者が受診した医療機関の職員と患者であった事もわかっている。
海外では、黄熱やデング熱の流行も続いていて、厚生労働省は、訪問先の状況を事前に調べ、ワクチンの接種を検討するよう呼びかけている。
参考: