臨床でこの2つの筋を明確に触り分けられるセラピストは全体でどれくらいでしょうか?曖昧なまま一括りにハムストリングスとして扱っている方もいらっしゃるのではないでしょうか.私も入職当初はこれらの筋それぞれを個別に評価することはありませんでした.
そのため,この時期は明確な評価が組み立てられずに,治療が曖昧になりやすかったです.仮に痛みや動作を改善できても「なぜ」改善できたかがわからず,再現性の乏しいものとなってしまいました.これではまずいと詳細な触診技術を学ぶためにこの書籍を購入しました.
今回のテーマ本
今回紹介するのは運動器機能解剖学研究所代表である林典雄先生の著書である「運動療法のための機能解剖学的触診技術」です.
触診技術を学ぶ理由として本書では以下のように語られています.
様々な理学所見を取ることで、病態の考察ができる。その代表が圧痛所見であるが、ある組織に圧痛があることはそれ自体非常に大切な所見である。なぜならば、そこになにかの病態が存在することが多いからである。(中略) 組織を適切に触れることができることで可能となる治療技術は、数限りなく存在する。
出典:運動療法のための機能解剖学的触診技術 下肢・体幹
このように,運動療法や各治療手技を行うにあたり触診技術は必要不可欠と考えます.
この本の特徴・見どころ
本書は「上肢」「下肢・体幹」の2編になっています.また骨・靭帯・筋の触診方法がそれぞれの関節ごとに記載されています.
触診技術を取り扱った書籍は多数ありますが,本書の特徴はなんといっても写真・イラストの多さでしょう.また紙面はオールカラーで写真もプロのカメラマンの撮影である.読者に対して視覚的な理解ができるようにという著者や編集者の熱意が伝わってきます.触診方法においてもその過程を文字のみではなく,実際に触診している場面の写真を数多く掲載されています.この過程を写真で確認できることは臨床経験の少ないセラピストにとっては自己練習の場面で非常に役に立ちます.
今後,触診を学びたい・学びなおしたいというセラピストに自信をもってオススメできる一冊です.
今回紹介の本