都市部と農村部の格差
中国の住宅は農村部と都市部で大きく異なります。農村部には昔ながらの中国の住宅が数多く残されています(上写真)。目覚ましい経済発展を遂げている中国でも農村部ではこのような住宅で生活している人たちがたくさんいます。
都市部の生活では戸建ては非常に少なく、余程の高所得者でない限り持つことができません。マンションや団地がほぼ大半を占めます(下写真)。
「社区」と呼ばれるコミュニティー
また、中国には社区と呼ばれるコミュニティーが存在します。いわゆる団地群のことで、2000年に中国共産党中央弁公庁、国務院弁公庁が交付した「民政部全国都市社区建設推進に関する意見書」では「一定範囲内に居住する人々で構成される社会生活共同体」と定義されています。
都市部には社区がいくつも存在しています。中国で住宅を購入すると引渡し時には部屋の中に何もなく、スケルトン状態で引き渡されます。壁紙、証明、収納、トイレも自分で購入し業者に頼んで設置してもらうか、自分で設置しなければなりません。
ですから同じマンションでも家によって雰囲気も内装も全く異なります。(左写真:購入時の住宅の様子)(右写真:完成時)日本の住宅のように木造の住宅ではなくほとんどはレンガ造りやコンクリート造りの住宅です。
家屋改修が難しい理由
日本の住宅改修は、リハビリテーション病院では退院前に自宅を訪問、または写真を元に改修の提案をして、業者が改修をすることがほとんどだと思います。中国では退院は急遽決まることが多く、家屋改修についても家族まかせになってしまうことがほとんどです。
また「改修して生活を無理に自立させるのはかわいそう。そうするぐらいなら家族が手伝う。」と言われてしまうことも少なくありません。特に患者が家族である場合、無理に生活自立よりも家族のために不自由なところは積極的に手伝うことが重要視されます。
家族介護の問題点
老いた親は子が診る、家族の介護は家族が行う、といった考えは都市部、農村部どちらでも共通していますが、最近はそのような伝統的な道徳観が、一人っ子政策によりもたらされた核家族化により崩れつつあります。
都市部や富裕層では介護が必要となった家族を病院に長期入院させたり、数少ない介護施設に入れることも可能です。しかし、貧困層の方たちは入院させる経済的余裕もありませんし、家で診ると言っても介護士(多くの場合お手伝いさん)を雇う余裕のないため、家族の誰かが仕事をやめて介護に専念することになり、更に経済的に苦しくなるという現状があります。
日本では介護保険サービスを利用して施設に入所したり、各種サービスを受けることができます。中国でも今後介護保険が整備される可能性があり、日本の療法士として、病院以外でのリハ介入のノウハウを伝えるという援助の可能性もあるのではないかと思います。