モンゴルってどんな国?
教育レベルは?
また教育に目をやると、最近の動きとしてはモンゴルに高等専門学校が設立されました。これも、モンゴル国内に【ものづくり】を導入し、輸入品に頼るのではなく、モンゴル国内でものを製造していくという動きの始まりです。この高専プロジェクトは日本の支援で行われており、過去に日本の高専に留学したモンゴル人が中心となり進んでいます。
医療制度は?
さて前置きが長くなってしまいましたが、ここからは医療や福祉、リハビリテーションの状況についてお話ししていきます。モンゴルの医療制度は国民皆保険制度がとられています。これは社会主義時代からの影響で、基本的な医療は誰でも受けられる仕組みになっておりますが、医療の質は十分なものではありません。脳外科や心臓外科などの高度な手術を受けられる病院は首都のウランバートルにしかなく、その数も1、2カ所。明らかな供給不足に陥っていることが分かります。ほとんどの方は十分な治療を受けられず、日本で助かる病気もモンゴルでは助からないなどということが多々ある状況です。疾病の構造としては、モンゴルも生活習慣に変化に伴い脳卒中や心筋梗塞患者が増えています。また、外傷患者が多いのも特徴です。
リハビリテーションの歴史
リハビリテーションの状況はと言うと、モンゴルで理学療法士の養成が開始されたのは2007年からで2015年3月時点で50名以上誕生しております。それまでは伝統治療と言う枠組みの中でリハビリテーションが行われていました。内容は物理療法が主体の治療で、これをリハビリテーションと言えるのかは難しい部分ではありますが、モンゴル人はリハビリテーションと言っています。現在もまだ理学療法が伝統治療にとって代わる段階にはなっていない状況です。
専門職の養成とは別の動きでCommunity based rehabilitation(CBR)という取り組みも昔から進められています。これは住民主体のリハビリテーションの仕組みづくりという言で、障がい当事者やその親を対象に進められていましたが、最近はこちらの取り組みについても専門職に対しての指導ということに重きが変わってきてしまっている印象でした。 そのようなモンゴルですが、問題点としてはきりがない程あげられるのですが、日本と比較して良い面としては、在院日数がどんな病気でも2週間程度と決まっており転院施設もない状況なので、家族で協力してリハビリテーションも含めて診ていくということが徹底されている点です(せざる負えないと言った方がいいかもしれませんが)。ただ家族にも生活があるので、生きるために必要最低限のケアしかされず、リハビリテーションの概念も含めケアをされるとこまでは至っていないことの方が多いかもしれません。 次回はモンゴルのリハビリテーション専門職についてお話ししていきます。小泉裕一先生経歴
専門学校卒業後、埼玉県内の大学病院で勤務。3年間勤務し、青年海外協力隊員としてモンゴル国立第三病院へ派遣された。派遣中から開発途上国リハビリレポーターというweb企画を立ち上げ運営している。(30ヵ国からのリハビリレポートを日替わりで配信するもの)帰国後は訪問看護ステーションで勤務している。