膝蓋大腿関節疾患の治療

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CSPT(クリニカルスポーツ理学療法)<膝関節編>では、主に脛骨大腿(FT)関節のリアラインにより正常なスクリューホーム運動を回復させることを中心とした講習をしています。

これにより、半月板や靱帯などへのストレスを減弱させ、他動運動を正常化していくことができます。一方で、FT関節のリアラインにより脛骨粗面の外方偏位を改善することができるため、膝蓋大腿(PF)関節のアライメントにも好影響を与えます。

 

■ 膝蓋骨のアライメントの改善

 

FT関節の理想的なキネマティクスが回復し、脛骨粗面の内方化によってQアングルが減少したとしても、さらなる膝蓋骨のアライメントの改善が必須となるような病態が存在します。膝屈曲位で膝蓋骨が外方に偏位するマルアライメントが代表的です。その場合の症状としては、膝屈曲中の脱力感、膝蓋骨内側の痛みなどが起こります。

 

片脚スクワットやランジ動作において膝前面痛が出現するとき、次のようにして病態を絞り込んで行きます。

1)膝蓋骨周囲の圧痛を徹底的に探す(伏在神経、膝蓋下脂肪体、膝横靭帯、膝蓋大腿靭帯、内側側副靱帯の深層など)

2)膝蓋下脂肪体のインピンジメントによる痛みの有無を確認(膝蓋骨圧迫下でのセッティング、膝横靭帯上の癒着など)

3)膝蓋骨の外方偏位を含むマルアライメント関連する症状の有無を確認(膝蓋骨外方偏位が認められる場合、膝蓋骨を内側または外側に向けて押し込みつつ動作を行わせて、主訴の変化を確認)

 

3)について少し詳しく説明しましょう。例えば、片脚スクワットやランジでは、股関節外側の筋などの緊張により、腸脛靭帯や外側広筋の緊張が増強して、膝蓋骨の外方偏位が助長されます。これに対して、下腿内旋を伴うような、例えばバランスシューズ上でのランジ動作などでは疼痛が減弱することがあります。つまり、荷重時の下肢アライメントに影響を受ける大腿外側の筋の緊張の変化に応じて膝蓋骨アライメントが変化し、症状もそれに呼応して変化します。

 

私自身もそうですが、リアライン・コアで骨盤を固定すると、股関節周囲の筋が緩むため、これだけで片脚スクワットの疼痛が減弱することもあります。これは股関節周囲の過緊張が膝蓋骨マルアライメントに影響することを示すとともに、骨盤の安定性低下が膝関節の症状に直接的な影響を及ぼすことを示しています。以上のように、骨盤股関節からの影響は無視することができない影響を持ちます。しかし、それを解決するだけは治療の完成度はまだ不十分と言わざるを得ません。

 

■ 「目に見える形で」改善

 

端坐位や背臥位において膝蓋骨の外方偏位を改善する上で、外側広筋の外側縁周囲および中間広筋の外側縁周囲のリリース、さらには膝蓋骨の下方への滑走性を制限する膝蓋上嚢上端部のリリースが著効を呈します。まずは端座位など非荷重位で膝蓋骨のアライメントを「目に見える形で」改善することが不可欠です。その上で、荷重位の問題を隣接関節からの影響を含めて解明し、総合的に膝蓋骨マルアライメントの解決を図ります。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

セミナーご紹介:蒲田和芳が講師を務める~全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズ~CSPT2018 クリニカルスポーツ理学療法セミナーの受講者お申込み受付中です。

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長期間の「拘縮」や「可動域制限」に対しても、確実に可動性を回復させるための徒手療法技術ISR(組織間リリース®)セミナー2018も受講者お申込み受付中です。

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関節疾病を解決へ導くためには、一時的な症状改善ではなく、根本から治療が必要です。そして、効果を長続きさせること、再発させない状態へと戻すことが重要です。

 

関節疾患の原因へ根本から働きかける治療理論・テクニックは、足関節から膝、股関節、胸郭、肩、肘などほとんど全身の関節を対象としています。ほぼすべての関節の悩みに、この治療理論を適用することができます。

 

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