今月は2冊献本いただき、ありがたい限りです。なるべく、POSTでは個人の感情入れず記事を配信しておりますが、書評となるとワケが違います。
あくまでも、私個人の意見で今回も書評させていただきます。ジャーナリズムの基本は、批判的視点が重要と教えていただきましたので、なるべく批判的にみたいのですが、豆腐の角にぶつかると死んでしまうほど心が弱い編集長のイマイ(@shunta0701)が今宵もお伝えさせていただきます。
隅から隅まで読んでみた
ズバリ、臨床家が書いた臨床家のための書籍であることは違いありません。しかし、やけに可愛らしいイラストばかりで、読みやすさといえば抜群の一冊。
正直、脳卒中患者の理学療法経験は、少ないですが、内容は読んですぐに臨床へ落とし込める内容かと思います。この手の、医学書は1章を書くだけでも非常に多くの参考文献が掲載されているのが特徴ですが、この書籍は参考文献が非常に少ないなという印象です。
これに関しては、賛否あると思いますが、それほどこの書籍は、The臨床本と言えるでしょうか。ただし、あくまでも臨床家特有の感覚のみの臨床ではなく、エビデンスに基づいた臨床であることに変わりはありません。
図も多く、解説もルー語のごとく、横文字の羅列ばかりではないので、読み込むには時間がかかりませんが、一つ難点を言えば、図の位置と解説が別ページにあるという点はハードトゥリード。
これは、この書籍にだけ言えることではなく、様々な書籍でも言えることですが、文章が先に来て、次のページに図がある構成は、読んでいる身からするとみにくいと感じざるを得ない。
臨床の知恵をキャッチキャッチキャッチ
これまで多くの療法士のインタビューを通して見聞きしていたことの中で、業界内で「有名」「すごい」と称される先生の特徴として、「多視点」という観点があります。
ざっくり言いますと、物事を平面的ではなく多面的に解釈する能力に長けているということですが、この書籍はTheソレです。多くの参考書では、「〇〇」と紹介されているものに対して、こっちの視点から考えたらどうだろうか、という提案が多く書かれている印象です。
あくまでも、ポイントオブビューのチェンジを提案しているのであって、必ずこうしたほうがいいという話ではありません。
つまり、この書籍はもっと根本的な、ポイントオブビューのチェンジをお伝えしている書籍なのではないかと、勝手に解釈しています。
先輩からのレター
書籍にも書かれていますが、この書籍は脳卒中リハのエキスパートが「臨床知」や「経験則」が本音ベースで述べられています。国家試験をパスし、いざ臨床の大海原へオールももたずに飛び出す航海に対して、この書籍は“方位磁石”の役割となります。
来年4月から急に患者さんを担当したとしても、慌てないで臨床を遂行するための予習として、この一冊を活用いただければと思います。
また、冒頭にも書かれている通り、
「脳血管疾患専門ではない」という言い訳は、患者さんには通用しません。
ぜひ、現在脳血管疾患を専門としていない療法士にもご一読いただきたいと思います。私も専門は運動器ですが、専門分野に関わらずヒントとなることが書かれた書籍だと感じました。
この場をお借りして、献本いただきました丸善出版の程田様、監修されました相澤先生、著者の藤野先生に感謝申し上げます。