どうしても習得してもらいたい「精密触診」

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大学生や若手セラピストと接する中で、どうしても習得してもらいたい技術として「精密触診」があります。いろいろな治療テクニックや理論はありますが、触診ができなければ圧痛や癒着を把握することができず、運動器の痛みを理解することは不可能です。

先日、数ヶ月の臥床を経験した人の「殿部痛」の治療を経験しました。いわゆるdeep gluteal painの範疇に入るものでしたが、結果として圧痛は陰部神経、梨状筋深層(関節包側)、小殿筋深層(関節包側)に認められました。しかも、すべて癒着が関与しており、組織間リリースにより疼痛は解消されました。

 

問題視したいのは、これまで様々な治療を受けてきたようですが、これらの圧痛点を見つけてくれたセラピストはいなかったとのことでした。これらを見つけられるか否かで治療結果は大きく差が出ることは明らかです。特に、癒着に基づく症状においては、エコーを含む画像で捉えることも容易ではなく、MRIではほぼ見つかりません。そういう意味で、原点に帰って、痛いところに触れることの重要性が高まるタイプの病態と言えます。

 

疼痛の発生源が見つかれば、その後の治療手段はいろいろあります。徒手的組織間リリース、ハイドロリリース、場合によっては内視鏡手術による剥離術なども選択肢となります。

 

大学3年生にスポーツ外傷治療学を教えています。演習の時間は評価と治療の要点を体験してもらうのですが、その中でも約30分を触診に割いています。骨盤の授業では、PSIS、ASIS、長後仙腸靭帯、仙結節靭帯、梨状筋下縁、坐骨神経など主だった組織の触診を行いました。

 

もちろんうまくできない学生も多いのですが、ISRと同様に指取り指導により、深さ、輪郭に触れた感触を共有することができます。60名いるので全員の指取りは不可能ですが、合計15回の授業で数回は経験してもらえると思います。

 

このような精密触診という概念を改めて提唱し、その教育を本格的に行う必要があると思っています。PT・OTはもちろん、柔道整復師などの治療家、そして医師も対象になると思われます。書籍、講習会、授業などいろいろな形があると思いますが、触りたいと思えば何でも指先で同定できるようになってもらうのが目標です。

 

そして、精密触診に習熟すると、組織間リリースも自然にできるようになります。例えば、中殿筋と小殿筋の間にある上殿神経・血管を見つけることができれば、これらの筋間のリリースも容易になります。「精密触診」の技術の必要性にご賛同いただけると幸いです。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

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