慶應義塾大学医学部先進運動器疾患治療学寄附講座の宮本健史特任准教授らは、疲労骨折既往と、疲労骨折発生に関わると考えられる月経障害や食事制限、体重減少の既往との関連を調査し、また血液・尿検査によるバイオマーカーを同定した。
▶︎ 日本人女性アスリートにおける疲労骨折発生の危険信号を同定 -効果的な疲労骨折予防の対策に期待-
対象は、同大学の体育会所属の女性部員56名。調査の結果、13名23.2%が疲労骨折の既往があると答え、月経障害や体重減少、シンスプリントの既往も半数以上に認められることが分かった。これらの項目のうち、月経障害は疲労骨折発生の既往と有意に相関し、そのリスクを8倍に上昇させることが明らかになった。加えて、疲労骨折の既往がある者が、新たな疲労骨折を起こすリスクも約5倍になることが示された。
血液・尿検体では、クレアチンキナーゼ(以下、CK)と乳酸デヒドロゲナーゼ(以下、LDH)は、一般に運動の後で高値を示すことが知られているが、疲労骨折既往者では、その値が非骨折者に比べて有意に高く、また、骨形成マーカーとして知られるオステオカルシン(以下、OC)と低カルボキシル化オステオカルシン(以下、ucOC)の値が有意に低いことも明らかになった。これらのことから、CKとLDHの高値とOCとucOCの低値が疲労骨折の有効なバイオマーカーであることが示唆された。
本研究成果は、2018年12月21日、国際科学誌『Scientific Reports』に掲載されました。