忘れてしまった記憶を「メリスロン」という薬が復活させることがで判明した。
▶忘れた記憶を復活させる薬を発見-既存の薬物で記憶痕跡の再活性化に成功-
北海道大学大学院薬学研究院の野村洋講師、京都大学大学院医学研究科の高橋英彦准教授、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループはヒスタミン神経系を刺激する薬が記憶に関係があるか実験を実施した。
はじめに、20代の男女計38名に128枚の写真を見せ、覚えてもらうようにトレーニングを実施。そして、1週間後に写真を96枚見せ、トレーニングのときに見たか、見ていないか質問し、「メリスロン」を飲む前と飲んだ後の正解率を比較した。
実験の結果、メリスロンを飲んだ後の正解率が最大で約2倍上昇することが判明した。
研究チームは、メリスロンがヒスタミン神経系を活性化させることから、この神経系を活性化させることで忘れてしまった記憶を思い出すことができたと考えている。
今後は脳内ヒスタミンや記憶のメカニズムの解明に有益であるとともにアルツハイマー病などの認知機能障害の治療薬開発の一助になることが期待される。
この研究は1月8日付でBiological Psychiatry誌(オンライン版)に掲載された。