心不全による運動能力の低下は、神経系の成長や維持に不可欠なたんぱく質である脳由来神経栄養因子(BDNF)の投与により治療できることが明らかとなった。
▶心不全による運動能力低下の治療法を開発~糖尿病などでの健康寿命延伸にも期待~
研究では、心筋梗塞手術後の心不全モデルマウスを、BDNFを投与する群とBDNFを含まない溶媒を投与する群に分け、それぞれ2週間投与し、心機能、運動能力、骨格筋ミトコンドリア機能を評価した。
その結果、BDNFを投与した群はBDNFを含まない溶媒を投与した群と比較して、運動能力と骨格筋ミトコンドリア機能が優位に回復した。今回の研究は運動能力をターゲットとした新たな治療法の発見であり、臨床応用を目指した研究へとつながる貴重な基礎研究であると評価されている。
骨格筋ミトコンドリア機能異常に基づく運動能力低下は、糖尿病を始めとする種々の慢性疾患における健康寿命の短縮に関与している。したがって、本研究結果は幅広い疾患への応用も期待できる。
なお、本研究成果は2018年10月29日(月)公開のCirculation誌に掲載された。