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脳・循環器リハは、法成立後どう変わっていくのか【参議院議員 山口和之先生】

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第305回のインタビューは日本で初となる理学療法士国会議員である山口和之先生。昨年成立した脳卒中・循環器病対策基本法成立までの経緯や、現在掲げている日本のリハビリテーション改革に関して伺った。

いい治療を受けるには、当たりを引かないといけない現実

ー 山口先生は脳卒中・循環器対策基本法成立に向けて中心的に活動されていたそうですね。リハビリテーション職の立場から、この法律に求める想いを教えてください。

 

山口和之先生  実は、この法案の中に元々「リハビリテーション」という文言はありませんでした。私が2009年に民主党議員として当選する前から、日本脳卒中協会が脳卒中治療を普及させようと動いていて。その後民主党政権となり、医系議員が集まり法案の検討となり、山口としては、そこに”予防”と”リハビリテーション”と”社会復帰”まで入れようとし「ここを抜きにして脳卒中を語るわけには行かない」と、他の議員、関係団体を説得し、法案を一気に拡大させました。

 

しかしながら、すべての議員の納得を得られるまで行かず、法案成立の直前まで行きましたが一旦断念となりました。

 

その後、2011年の東日本大震災の影響によって断念し、今度は参議院議員として2014年の6月には今度は自民党が中心となり、山口も発議者の一人となりましたが、それも衆議院解散により叶いませんでした。その後も、与野党対立や閣法が多く、チャンスが訪れず、昨年の臨時国会、千載一遇のチャンスとみて、次の通常国会を目指すところを前倒しをお願いし、与野党を綱渡りで取りまとめ、針の糸を通すよう、前例のない状況で、最後の最後に昨年末に成立しました。患者会、各学会とも、ほぼ諦めていた方は少なくありませんでした。

 

元を辿れば、リハビリテーションを含めた脳卒中治療の水準を上げて、どこに運ばれてもいい治療が受けられるような社会を作りたくて。まだ私が臨床にいた頃、親戚が脳卒中で近くの病院で運ばれたことがあったのですが、運ばれた病院は脳卒中治療が得意な病院ではなかったのです。

 

私が務めていた病院は脳の得意な病院だったので、どうにか転院させたかったのですが、もし運んでいる最中に何かあったら…、とすごく悩みました。義理の兄も脳出血で倒れているのですが、同様に救急車で偶然運ばれた病院ではなく専門病院であれば、もう少しいい経過を辿れたのではないかと思っています。

 

リハビリテーションにおいても同様に、残念ながら今は病院やセラピストによって、質が不均等だという問題がありますよね。

 

優れた理学療法士も沢山いますが、そうでない理学療法士もいるのも事実です。物理療法の機械しか置いていないようなクリニックもあります。いいリハビリテーションを受けるためには患者さんが自分で運良く引き当てるしかありません。

 

ある程度の水準が担保されていれば、どこに運ばれてもいい治療を受けることができますし、地域で連携協力体制が整備されていれば、ネットワークをうまく利用して治療を行うこともできるかもしれません。

 

がん医療と同様に均てん化を目指して、全国どこでも標準的な専門医療、リハビリテーション、介護が受けられれば、日本はもっと素晴らしい国になっていきます。

 

自立支援へのパラダイムシフト

 

ー 第十七条に「保健、医療又は福祉の業務に従事する者の育成等」について書かれています。ここに「福祉」が含まれていますが、これは医療従事者だけではなく”ケア”のレベルも上げていかないといけないという解釈で正しいでしょうか。

 

山口和之先生 その通りです。リハビリテーションは、セラピストの能力がいくら高くてもうまくいきません。理学療法士がリハ室で歩行練習をやっている傍で、他の患者さん、利用者さんは車椅子からズッコけたような不良姿勢で座りっぱなしの場面も見受けられます。

 

国会議員となり、当選当初から今まで、一貫して自立支援を唱えてきましたが、安倍総理も『お世話をすることが中心だった介護から、自分でできるようになることを助ける『自立支援』に軸足を置く。」とパラダイムシフトすることを宣言してくれました。漸くです。

 

もっと本人が望む限り、介護が要らない状態までの回復をできる限り目指し、どこの施設に入っても高い水準を保ったケアが受けられるようにしていこうと考えています。ケアが変われば、さらにイキイキ元気に自立した生活を送れる高齢者も増えると思っています。

 

【目次】

第一回:脳・循環器リハは、法成立後どう変わっていくのか

第二回:世界をリードする理学療法士を育てるために

第三回:私が考える東日本復興戦略

第四回:地域包括ケアを支える「高齢者リハビリテーションセンター」構想

 

山口和之先生プロフィール

[ 職歴 ]
◆ 政治家として
2009年 9月~ 衆議院法務委員会委員、衆議院厚生労働委員会委員
2009年 1月~ 消費者問題に関する特別委員会委員
2011年 5月~ 東日本大震災復興特別委員会委員
2013年 7月~ 第23回参議院議員通常選挙にて当選
2013年 8月~ 参議院財政金融委員会委員、参議院東日本大震災復興特別委員会委員
2013年10月~ 党政策調査会社会福祉部門復興担当
2013年12月~ 参議院厚生労働委員会委員(2014年12月~オブサーバー)
2014年 1月~ 参議院東日本大震災特別委員会理事(2014年12月~オブサーバー)
2015年 1月~ 参議員国土交通委員会委員(オブサーバー)、決算委員会(オブサーバー)、東日本大震災復興及び原子問題特別委員会(オブサーバー)
2015年 3月~ 環境委員会、決算委員会、東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会
2016年 8月~ 法務委員会

◆ 理学療法士として

福島県理学療法士会会長、藍野大学医療保健学部非常勤講師。

日本理学療法士協会東北ブロック会長、同協会理事などを歴任。

脳・循環器リハは、法成立後どう変わっていくのか【参議院議員 山口和之先生】

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