富山大学医学部疫学・健康政策学講座 立瀬剛志助教らのグループは、働く人の抑うつ症状の発生と抑うつ症状の回復について一年間の追跡調査を行った結果、一年後の抑うつ症状の発生には「仕事への不満足」が、また一年後の抑うつ症状からの回復には仕事の「裁量度」や「要求度」と言った職 務ストレスのほか、慢性疾患が強く影響していることを明らかにした。
▶︎ うつ病予防には仕事満足、うつ病からの回復には職場ストレスの管理が重要
現在、国は働き方改革で労働時間の削減を推奨してきているが、今回の研究では仕事の量を示す労働時間は特に抑うつ症状との関連がみられず、仕事への満足感や職務ストレスといった労働の質が抑うつ症状との関連があることが示された。
抑うつ症状については、CES-Dを用い、19点以上を抑うつ症状ありと評価した。また今回抑うつ症状への影響を観る 2 つの心理社会的指標においては、英国ホワイトホールⅡ研究と同じ国際的な指標を用いた。裁量度は、仕事の選択肢や仕事のペース、仕事方針に関与できるかを指し、 要求度に関しては、仕事量や早急な処理、懸命さを要すかを指す。
この研究成果は科学専門雑誌「Journal Of Occupational and Environmental Medicine」に掲載されている。